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カ・ル・マ! ~水の中のグラジオラス~  作者: 后 陸
水の中のグラジオラス 三の章
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策束静巡 参 その5

 中断していた話しを再開しなければならない。

 食事を終えたのが、良いタイミングだ。


 「オレの能力って、そんなに()えんか?」


 鈴木が何気(なにげ)に使った、変則的な術式。

 いや、鈴木は術師が使う(術式)公式を使用してないので、術式では無く、“術”だ。

 感覚的には、結界内のEG使いたちが言ってる“魔術”に近い。


 「みっちゃんの術、、、“激レア”やで」


 そう言われても、ピンと来なかった鈴木。

 聖が“激レア”という()()は、術を習い始めた頃から意識もせずに勝手に出来てしまっていたからだ。

 鈴木にとって当たり前のことなのだが、それは理論をすっ飛ばして高等な術式公式を構築できてしまっているということ。


 「ふ~ん。今まで(みんな)にバカにされて来たのに、、、」

 「それはソイツら全員、みっちゃんの術が何を意味してんのかを理解出来てへんからや」

 「意味を理解出来てへん? そんな大層(たいそう)なモンあんの?」

 「あるある」

 「へ~~。(みんな)からは『水属性っぽぅないなぁ』ってよう言われとったのに」


 聖が、鈴木を見た。

 鈴木は、、、テレる。

 まだこの年下の童子に、ちょー緊張している。


 使う術式も(くらい)も上。

 多分戦闘能力も実戦経験も自分より(はる)か上の術師で、なのに20歳(にじゅっこ)も年下の女の()が魅力的に見えてきた。


 困った鈴木である。


 「みっちゃんて、結界の中に入ったことある?」

 「結界って、、、あの結界?」

 「速水颯太の結界に決まってるやん」

 「無いわ。『()()に入んな』って言われてるし、、、」

 「そうなんや」


 “協会”からのお(たっ)しか?

 それとも、宗興寺の判断か、、、?

 どっちにしろ、勿体(もったい)無いと思う。


 「(なん)で?」

 「結界の中にな、みっちゃんの能力とよう似た術式が(ほどこ)された場所(とこ)()んねん」

 「へ~~、、、って! おまえ結界の中に入ったんか?!」

 「『おまえ』ってヤメて欲しいねんけど」

 「あ、ごめんごめん。せ、聖ちゃんな」


 まだちょっと、テレる呼び方。

 呼んでいちいち、聖の顔色を窺う。

 何やってんだ鈴木。


 「せやけど、結界の(あん)中は頭のオカシイEG使いがゴロゴロ()んねんやろ? 危ないやん?」

 「そういう認識なんや」

 「? ちゃうの?」


 術師から見れば、頭のオカシイEG使い。

 肩書を()(ぱら)って能力者として見れば、どいつも実戦級の優れた使い手と言って過言ではない。


 結界内にはそんな連中がゴロゴロ居るってのに、どうして活用しないのか?

 実戦の経験を積める場と考えれば、もってこいの場所。

 仮にEG使いが1人消えたとしても、誰も気に掛ける者など居ない。

 居るハズが無い。

 そんな場所だ。

 EG使いには悪いが、(おお)いに活用しないとホント勿体無い。


 聖は修行中、土曜日の夜になって師が『サタデーナイトフィーバーやっ!』と訳の解らない雄叫びを上げると、よく1人で結界内に放り込まれたもんだ。

 夜明けまでに最低1人、EG使いを呪包で捕まえて師の前に持って行かないといつもの鉄拳制裁が飛んで来た。


 後半は1千万クラス以上の使い手を捕まえないと、これまた鉄拳制裁。

 何でこんな人の下で修行してんだろうと、真剣に悩んでしまったこともある。


 そんな師だが、実はず~~っとちゃ~~んと聖を見守ってくれていたことを、大分(だいぶ)と経ってから気付いた。

 気付いた時には、『ツンデレか!』と突っ込んで嬉しくて涙がちょちょぎれたもんだ。


 「結界の中の動物園、、、知ってる?」

 「それは知ってる。有名やし。なんや危ないエレクトリック・ゴーストを動物園(そこ)に閉じ込めてんねんやろ?」

 「まぁ、そうやねんけど、、、」


 聖は、熱いお茶を()れ直した。

 (だん)を取るように、湯呑(ゆのみ)を両手で握る。


 「、、、その、エレクトリック・ゴーストをどうやって閉じ込めてるかって事が重要やねん」

 「え? そら御札(おふだ)とか、(なん)かで上手い事やっとんねんやろ?」

 「みっちゃん、、、その理屈を考えんと、成長せえへんで」

 「、、、何かすんません」


 そう言って残りのお茶を飲み干す鈴木。

 (から)になった湯呑をテーブルの上に置いたその手から、聖が無言で湯吞みを下げる。


 「あ、、、」


 ()れた手つきで、新しくお茶を煎れてくれた。


 「ども、、、」

 「動物園の中のエレクトリック・ゴーストってな、、、」


 話しの続きだ。


 「色んな種類が居てんねん。(わか)(やす)()うたらな、四属性それぞれのエレクトリック・ゴーストが()って、さらに特性も有るやん?」

 「、、、あるよな」

 「ソイツら一体々々(いったいいったい)を封じる札とか術式で閉じ込めようってしたら、ナンボ()んねんって話しやんか?」

 「、、、そやな」


 言われて見れば、そうだった。

 同時に、『イヤ待て』とも思う。

 一つの属性に対して強烈な封呪を備えた御札があれば、特性であっても“種”は属性以下の階層なんだから、やっぱ4枚で足りるんじゃないか?


 聞こうと思ったら、鈴木より先に聖が話し始める。


 「それに、エレクトリック・ゴースト同士の喰い合いもあるし、そうなったら“進化”するヤツとか、“新種”とかどんどん中で生まれるやん?」

 「、、、ホンマやな」


 ――そうか、複合種か、、、


 「そう考えたら、一固体に対応した札とか術式は、意味を持たんようになるやん」

 「その通りやな」


 納得した。

 ここまで、(まった)くの異論ナシ。

 異議を唱えるつもりもナシ。



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