第一章 20.首無し鎧の正体(後編)
「なるほど、過去の変死事件に関しては理解しました。……それで、このお屋敷の有り様は?」
「なに、こいつを捕まえるのにちと派手に魔法をぶちかましてしまってな。まあ、これで依頼は解決だ」
「そ、そうですね。依頼は確かに……」
青い顔をしているマルシアさんと一緒に冒険者ギルドへ、首無しオッパイアーマー改めバケツ頭オッパイアーマーを連れて行く。
なんか妙に懐かれてしまって俺の言うことには大人しく従うんだけど、どうするんだこれ?
ソルさんが言うには同じ魔導鎧に長年乗り続けていると、操縦者とオドイーターの核との精神同調が進み、見えない回路が繋がれたようになることがあるらしい。そうなると魔導鎧に搭乗せずとも、少し離れた場所からでも命令して動かすことが出来るようになるのだとか。
もしかしてあの調伏の真言のせいなのか?
ざわ ざわ ざわ ざわ ざわ
冒険者ギルドの一階ホールは依頼を探しに来た冒険者達で溢れている。今日は忘れずにソルさんにフードを被らせて顔を隠しているのだが、やっぱりいつものように遠巻きにされてひそひそされてしまった。
「見ろよ、あの頭にバケツを被った奴を」
「あの小僧は〈貴族〉の従者だったよな? そうするとあのバケツで顔を隠した鎧の女がもしかして……」
「偉いひとってのは何を考えてんのかよくわかんねえな」
「エルフってこえーなー、オレ今日も仕事を休もうかなー」
フードを被ってるソルさんには気が付かなかったようだが、ここの冒険者達は相変わらず静かに大騒ぎしているな。俺のことは従者だと思われているようだ。別にいいけど。
そして冒険者ギルド二階の応接室である。ソファーに俺とソルさんが座り、オッパイアーマーは俺の後ろに立っている。
マルシアさんはギルド長に報告に行きまだ戻って来ない。たぶん色々と揉めているんだろう。屋敷を壊しちゃったしな。
「しかし、これがエルフが品種改良したスライムだったとはなあ。ソルさんもなんですぐに気がつかなかったの?」
「オドイーターを魔導鎧以外の目的で使うなど聞いたこともなかったからな。外装の鎧は〈帝国〉のものではないから、おそらく〈遺跡〉で壊れた魔導鎧を発見して、オド欠乏で干からびていたオドイーターを見つけた誰かが、核を切り取って適当に手近な鎧に押し込めてみたのだろう。オドを与え続ければオドイーターの肉は外装に合わせて増殖するはずだ」
「そういえば、中身が丸見えなのは気色悪いからバケツを被しておいたら、バケツの中までスライム肉が増殖したみたいだぞ」
「私の魔法を吸収し、ターサンの法力とやらからもエネルギーを摂取して、綺麗な瑞々しい薄桃色になっていたからな」
そんな会話をしていたらようやくマルシアさんが戻ってきた。ギルド長も一緒にだ。
ファンタジーの定番、みんな大好きスライム回でした。
魔導鎧に興味を持たれた方は
「ガラガラポンで転生」
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の第三章からお読みくださいm(_ _)m




