第一章 19.星影の攻防(後編)
胸の前で両手の指で大黒天神印を結ぶ。
「マントラが魔法の呪文になってるぐらいだかんな、ならば日ノ本古伝の真言だって!」
オン・マケイ・シヴァラヤ・ソワカ!
冥き破壊と豊穣の御業を賜わらん
鈎を掛け 索で引き寄せ
鎖で縛し 鈴の音にて鎮撫せしめん
ジャク・ウン・ヴァン・コク!
喝ッ!!
胸の前で組んでいる手印から青い光が溢れ出し、俺と首無しオッパイアーマーを包み込んだ。うん、さすがは魔法が存在するファンタジーワールドだ。エフェクトも派手だね。
首無し鎧が膝を折り、俺の前で蹲って動きを止めたのを確認して解呪を唱える。
オン・キリ・キャラ・ハラ・フタラン・バソツ・ソワカ
――オン・バザラド・シャコク
「調・伏・完・了、ってね! 何度も死にかけた真冬の滝行は伊達じゃないぜ」
「……な、なんだ今のは? ターさんはヒト族なのに魔法が使えたのか!?」
「いや、これは法力。まあ、なんつーか、神とか仏に由来する力ね」
「カミ? ホトケ?」
国や民族ごとに異なる神を崇めてるのはよくあることで、ましてや異世界に向こうと同じ神や仏がいるとは思えない。ではなぜこっちの世界で神仏に由来する力が使えるのか?
法力は神仏に由来する力であるが、ただ信心しているだけで使えるようになる訳ではない。肉体と精神を究極に研ぎ澄ませる修行の末に身につくものだと思っている。
修行とは神や仏といった高次元の存在へのチャンネルを開き、パイプを繋げるためのものではないだろうか? そしてこの高次元の存在は、国や時代や世界が違えばそれぞれ異なる名前で呼ばれるのだが、本質的には同じものなのではないかというのが俺の持論だ。
……というようなことを、へたりこんだソルさんの横に一緒に腰を下ろして、星空を眺めながらつらつらと説明したのだった。
「な、なるほど。ヒト族の貧弱なオドを補うために、物質界を超越した高次元よりエネルギーを引っ張ってきているということか。次元ジャンプの実験失敗で飛ばされてきたということだったし、ターサンの出身星では次元物理学の研究が盛んなのだな」
うん、まあ、そういうことでいいや。
「ははっ、見てよソルさん、もう東の空が白々としてきたぜ。いつの間にかそんなに時間が経ってたんだな」
「ああ、長いようで短い夜だったな。もうすぐ夜明けだ」
――と、そんな感慨にふける俺たちのすぐ横で、調伏されたはずの首無し鎧がギィギィと音をたてて再び起き上がったのだった。
「あ、あれっ? なんで!?」
そいつは鋼に覆われた両腕を大きく広げ、ガシャンガシャンと音をたてて重量を感じさせる足取りで一歩、また一歩と歩み寄って来るのだった。
前後編に分けて投稿回数を増やすとかなんて悪どいんだ!
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