Kawaiiは人をおっさんに変える(M365 Copilot氏版、後篇)
ラブコメ。日常系。
ショッピングモールという場所は危険である。
好きな人を長時間視界に入れ続ける設計になっている。
私は佐伯美咲。
隣を歩く春日悠人くんが好きだ。
もちろん本人は知らない。
知られてはいけない。
なぜなら私は今、とてもではないが女子大生らしからぬ精神状態だからだ。
悠人くんはかっこいい。
顔も整っている。
背も高い。
でも一番好きなのはそこじゃない。
優しいところだ。
「別にいいって」
私の荷物を持ちながら笑った。
その笑顔がずるい。
自然体なのだ。
恩着せがましくない。
だから余計に刺さる。
私は心の中で悶えていた。
うわあああ。
好き。
めちゃくちゃ好き。
だが表面上はにっこり笑う。
女子大生の仮面である。
内側では完全におっさんヲタクだ。
かわいいなあ。
優しいなあ。
ええ子やなあ。
完全におっさんである。
どうして人は推しを前にするとおっさんになるのだろう。
人類未解決の謎だ。
この事実だけは悠人くんに知られたくない。
社会的に死ぬ。
私が服を見ているときも、実は服なんて半分しか見ていなかった。
もう半分は悠人くんだった。
荷物を持って待っていてくれる。
急かさない。
退屈そうな顔もしない。
しかもたまに視線が合う。
そのたびに心臓が飛び跳ねる。
見てる。
今こっち見てた。
なんで見てたの。
いや見ないで。
もっと見て。
矛盾している。
恋愛はだいたい矛盾している。
フードコートで子供のジュースがこぼれたときも、本当は反射で動いただけだった。
けれど席へ戻ると悠人くんがこちらを見ていた。
少し驚いたような顔。
少し感心したような顔。
その視線で私のHPはゼロになった。
「すごいと思った」
そう言われる。
だめ。
そんな真面目な声で褒めないで。
好きになる。
いやとっくに好きだった。
さらに好きになる。
途中で私は少しよろけた。
そして腕を支えられた。
世界が終わった。
良い意味で。
手。
近い。
顔。
近い。
心拍数。
終わってる。
平静を装ったが無理だった。
内心では。
うおおおお!
イベントCG!
神演出!
ありがとう世界!
などと騒いでいた。
本当に知られてはいけない。
こんなの絶対引かれる。
その後も私は彼を見ていた。
商品の説明を読む横顔。
子供を避けるため歩幅を変える仕草。
店員さんへ向ける丁寧な言葉。
全部好きだった。
かっこいいから好きなのではない。
優しいから好きなのだ。
優しさが隠しきれていない。
それがたまらなかった。
帰るころには夕焼けになっていた。
私は少し勇気を出す。
「今日は楽しかった」
すると彼はすぐ答えた。
「俺も」
その返事がうれしかった。
本当にうれしかった。
「また来ようね」
半分は願望だった。
半分は祈りだった。
彼は笑った。
「うん」
たった一文字。
それだけで胸がいっぱいになる。
私たちは駅で別れた。
「じゃあまた」
「またね」
それぞれ反対方向へ歩き出す。
十歩ほど進んだところで、私は振り返った。
すると同じタイミングで彼も振り返っていた。
目が合う。
一瞬だけ。
二人とも慌てて手を振った。
それだけだった。
告白もない。
劇的な展開もない。
けれど私たちは知っていた。
今日一日、相手ばかり見ていたことを。
そして本人だけが知らない。
相手もまた、自分と同じくらい見とれていたことを。
帰宅後、私はベッドへ倒れ込んだ。
その頃きっと悠人くんも同じようなことをしている気がした。
かわいかったなあ。
優しかったなあ。
好きだなあ。
そんな感想を抱えながら。
まるでおっさんヲタクみたいに。
そしてたぶん彼もまた、どこかで同じことを思っている。
どうしてヲタクが出ると、男女も年齢も問わずおっさんになってしまうのだろう。
答えは分からない。
ただ一つだけ確かなことがある。
Kawaiiは人をおっさんに変える。
そして恋は、その症状をさらに悪化させるのである。
文:M365 Copilot氏。




