人間かどうか分からない写真クイズ(前篇)
学園日常コメディ。
放課後のゆるい会話劇。
放課後の教室。
部活のない金曜日ということもあって、生徒たちは次々と帰っていく。
窓際の席に集まった三人だけが、まだだらだらと残っていた。
仲良し三人組のリーダー格である健太。
少しおっとりしているが観察力の鋭い女子生徒、さゆり。
そして、いたずら好きでいつも何か企んでいる大輝。
「暇だな」
健太が机に突っ伏した。
「じゃあゲームしようぜ」
大輝がにやりと笑う。
「また変なこと考えてる顔」
さゆりが呆れた。
「変じゃないって。スマホの写真クイズ」
「写真クイズ?」
「スマホの中に入ってる写真から一枚選ぶ。最初にヒントを出す。答えが出なければ、はい・いいえで答えられる質問をする。で、当てたら勝ち」
健太が起き上がる。
「それだけ?」
「いや、特殊ルールがある」
大輝はわざと間を置いた。
「人間は人間じゃないものみたいに説明していい。逆に人間じゃないものは人間みたいに説明していい」
「ややこしくするなあ」
さゆりが笑う。
「だから面白いんだろ」
「よし。じゃあ俺から出題する」
健太がスマホを取り出した。
写真を眺める。
そして数秒考えてから口を開いた。
「問題。この写真には大勢の人間が写っている」
「ふむ」
「でも正解は人間じゃない」
「いきなりルールを活用してきた」
大輝が吹き出す。
健太は続けた。
「赤い服を着ている」
「人間っぽいな」
「かなり目立つ」
「うん」
「腹が黒い」
「悪口?」
さゆりが笑った。
「黒い腹にでかい文字が書いてある」
「待て待て待て」
大輝が机を叩く。
「腹に文字?」
「そう」
「生き物?」
「質問タイム?」
「まだヒントだけで考える」
大輝は腕組みした。
さゆりも首を傾げる。
「赤い服」
「腹が黒い」
「人がいっぱい周りにいる」
「観光地とか?」
「答え言うなよ」
健太は笑うだけだった。
数分考えたが、二人とも降参した。
「質問する。人工物?」
大輝が言う。
「はい」
「建物?」
「はい」
「中に入れる?」
「はい」
さゆりが目を輝かせた。
「日本にある?」
「はい」
「東京?」
「はい」
「有名な観光地?」
「はい」
二人は一気に候補を絞り始める。
「東京タワー?」
「違う」
「スカイツリー?」
「違う」
「神社か寺?」
さゆりが尋ねた。
「はい」
「赤い」
「観光客が多い」
「黒い腹」
大輝が突然顔を上げた。
「腹って提灯か!」
「正解に近い」
「雷門!」
「正解」
健太が親指を立てた。
「なるほど!」
さゆりが納得する。
「門を人間みたいに説明したのか」
「赤い服が柱や外壁。腹が黒いは提灯」
「確かに間違ってない」
大輝は悔しそうだった。
「次は私ね」
さゆりが自分のスマホを開く。
しばらく写真を探し、見つけると微笑んだ。
「この写真の主役は、とても真面目そうな人です」
「人?」
「それは秘密」
「なるほど」
健太が頷く。
「白い服を着ています」
「うん」
「細身です」
「モデル体型?」
大輝が言った。
「足がすごく長いです」
「羨ましい」
健太が即答した。
「喫茶店の前に立っています」
「店員?」
「さあ」
さゆりは意味ありげに笑う。
「かなり長い鼻を持っています」
大輝が爆笑した。
「待てよ。急に怪しくなったぞ」
「真面目そうで白い服で脚長で長い鼻」
健太も考え込む。
「質問タイムにします」
さゆりが宣言した。
「生き物ですか?」
健太が聞いた。
「はい」
「哺乳類?」
「いいえ」
「鳥?」
「はい」
「飛べる?」
「はい」
大輝が手を叩いた。
「分かったかもしれない」
「どうぞ」
「くちばしが長い?」
「はい」
「全身ほぼ白い?」
「はい」
「水辺でも見られる?」
「はい」
「サギ!」
「正解」
さゆりが嬉しそうに笑った。
「喫茶店の前に立ってたから、人間のお客さんみたいに見えたんだよ」
「そういう写真だったのか」
健太が感心する。
「確かに初見なら分からないかも」
「店に入ろうとしてるみたいだった」
「それ絶対面白い写真じゃん」
三人はひとしきり笑った。
そして大輝がスマホを取り出した。
怪しい笑みを浮かべながら。
「よし。最後は俺だ」
その顔を見て、健太は少し嫌な予感を覚えた。
だがまだ、その正体までは分からなかった。
画像:Win11 Copilot氏。




