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第91話 恋人になれたのに

 修学旅行も終わり、冬もそろそろ近づいてくる頃。

 

「…………はぁ」 

 

 僕は少し……じゃないな。それはもう結構なレベルで悩んでいた。

 

「どうかしたんですか? 平坂くん?」

 

 隣の席の春木が僕に聞いてくる。

 

「悩みごと? ボ……わ、私も力になるよ?」

 

 夏元もこう言ってくれるけど。

 

「いや、大丈夫。なんでもないんだよ」

 

 この悩みを女子に聞くのは憚られる。

 実にくだらなさそうで、僕としてはとっても大事なことで。

 

 そう。

 ストレートに言ってしまうと。

 

 ────冬野とセックスするには。

 

 と言うことだ。

 それが僕の目下の悩み。

 手を繋ぐのは付き合う前からできてる。でも、恋人らしいことは全然できてない。

 踏み込んだことをしようと考えると、ふっとゲームのCGが過ぎってしまう。

 そして、ここに立ってるのが、本当に僕で良いのか……なんて思いが浮かんでくる。


「…………」


 僕がもうこの世界のモブでないことはとっくに分かってるし。それに、冬野の恋人になれたってのに。

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