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第83話 遅めの反抗期

 学園祭が終わり、二日。

 いわゆる振り返り休日である。

 今日は休みということで、特に何をするでもなく家でダラダラしてた。家族も普通にお仕事なので、ダラダラし放題なのです。


「…………おお」


 現在時刻は正午を少しすぎた頃。

 

「……すっごいサラッと来た」

 

 そんなこんなでなんの緊張感もなく、魁星さんからの『美月の修学旅行費、出して良いよ』とメッセージが来た。

 

「なんかこう……もっと重大な話な気がするのに」

 

 金銭とかが関わってきたりするし、冬野の修学旅行という思い出がかかってるような大きい話だと思うのに。文面だけで見ると、結構あっさりめだ。

 ビジネスメール的なお堅い文章じゃないのもあいまって、余計になのかも。

 

『それにしてもあそこまでやるとはね』

 

 文面だけでもわかる。

 魁星さんめ、絶対に笑ってる。

 

『でもホッとしてますよ』

 

 僕はそのまま『魁星さんにも、僕の女装に価値があるって思ってもらえて』と続けた。

 

『いやぁ、会場の熱気凄かったね』


 未だに思い出すよ。

 あの熱気も。投げた麦わら帽子も。うちわ振ってる主人公も。ステージで転けた自分も。

 思い出して、体の芯から熱くなるね!

 恥ずかしさやら何やらもあってさぁ!


『そうですね』

『あ、栄聖学園公式サイトで女神降誕祭DVDの受注予約開始の告知載ってたね』

 

 なぁ!?

 ど、どこまでやっとんのじゃ、ウチの学園はぁ!?


『もちろん』

『もちろん?』

『オレも買うことにしたよ。早期予約で女神様写真集が付いてくるみたいだし』

 

 おい、僕が知らんことがボロボロ出てきてんだけど?

 

『そんなこんなで君の価値は火を見るよりも明らかになったわけだ』

「は、はは」

 

 その火はゴウゴウと燃え盛ってる気がする。

 まさか、学園が僕を商売に使うとは。ここまであからさまに金が動くとは。

 

「…………いやいや、まさかね」

 

 ……そんな、まさか。

 学園運営者、つまるところ教育者の中に僕の信者がいるわけないだろ。

 僕の考えすぎだよ。

 陰謀論めいた考察だって、そんなの。

 

『美月の修学旅行費はオレがしっかり払っておくから』

 

 それについてはありがとうございますと、お願いしますだね。

 でもやっぱり。

 

『美月さんには今回のこと言わないようにお願いします』


 恩着せがましい気がするし。

 僕としては、素直に冬野に修学旅行楽しんで欲しいから。


『了解』


 魁星さんの返事が来てから、少しして。


『いやぁ、これから大変そうだ』


 なんて、メッセージが来た。

 そんなメッセージが来たもんだから、僕も聞きたくなってしまった。


『生活とか大丈夫なんですか?』


 もしかして今回のがあって苦しいとかじゃ……?


『ああ、そこは全然大丈夫。気にしなくて良いんだよ。まあ、予定外の出費もあるにはあるけど』

『予定外?』

『ほら、さっきの君のDVDの』

 

 そっちは買わなくて良いでしょうが!

 

『精神的な話だよ。これはオレの遅すぎる反抗期ってやつなのかな。ちょっと緊張してね』

『頑張ってください』 

『ふっ。オレの分の修学旅行のお土産、期待してるよ』


 魁星さんには、素晴らしいお土産を買ってしんぜよう。

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