第79話 ポスター、遍在する信者
僕の決意も決まり、魁星さんに連絡を入れた。魁星さんも学園祭に来てくれるとのこと。
それから少し。
今日も冬野たちと一緒に登校したところ。玄関前、僕の目には運営委員が刷っただろう学園祭のポスターが映った。
「女神、降誕祭だと……?」
学園祭のポスターじゃなかったっけ?
いや、学園祭とも書いてありますけどね?
女神降誕祭の文字の存在感よ。
「ほら、燿くんが女装するって決めたから」
夏元の言うとおり、たしかに僕の女装は決まったけど。
「にしても、学園祭のメインがこれみたいになってるのはどうなのかな?」
学園祭って他にもいろいろあるじゃない?
ほら、いろんなクラスの出し物がさ。
「燿の女装がそれだけ期待されてるってことじゃない?」
「……なるほど」
……そうか。
それならやっぱりこれは正しかったんだ!
これは魁星さんの言ってた、金になりそうな話なんだ!
そうだよ!
「あ、燿。ここ見て」
「ん? えーと……『女神様の降臨衣装をみんなで決めよう』?」
投票は原則一人一票の平等選挙。
「陽毬、どうする?」
「んー……今初めて見たからもう少し考えよっかな」
なんか二人とも当たり前に受け入れてるみたいだね。うん。
……いやいや、ちょっと待って。
「……話が僕を置いてガンガン進んでるんだけど!?」
去年と同じじゃダメなんですか!?
* * *
「あ、おはようございます」
教室に入り、席に近づくと春木は僕を見て笑顔で挨拶をしてきた。
「おはよう、春木さん。見たよポスター」
「見ましたか」
僕は椅子に座って春木の方に身体を向ける。
「こちらもサポートを頼まれたので全力で頑張ってます」
胸を張って春木が言う。
「にしても、その……だいぶ動きが早くないかな?」
ポスターの件とかなんだけど。
「そうですね。そこは私も驚きでしたが……信者の方々が凄いみたいで。どうにも至るところにいるみたいです。美術部の方々もですし、運営委員や生徒会もですから」
「なにそれ」
ちょっと、スパイっぽいぞ。
そんなに女神の信徒が……女装男子を生贄にしようとする狂信者がいたる所に?
え? 普通に恐怖なんだけど。
「それで……僕の衣装の投票については?」
特に聞いてなかったんだけど。
「あ、それはですね……私としては去年と同じくセーラーがいいと思ったんですけど……」
どうにも運営委員の中でも他の衣装を着て欲しいという意見が上がってきて、平等に投票することで話が決着したらしい。
「それが運営委員内にいた狂信者たちか……!」
見事に分裂したね。
でも理性的でよかったね。
「あ、それと……実は学校運営の観点でも喜ばれてるみたいで。ほら、前にも言いましたよね。あれで入学を希望した子もいるって」
そういえば聞きましたね。
そう言うのも考えれば、より説得力が増してるような気がしてくる。
「もう後には引けませんよ? 平坂くん」
「大丈夫だよ。引く気はないよ」
恐怖心はあるけどね。
一体皆んなは僕に何を着せようとしているんだろうか、と。セーラー服とかできればまともな方でお願いします。




