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第66話 海水浴(前編)

 

「海っスよ! 燿センパイ、陽毬センパイ、美月センパイ! ほら、海っス!」

 

 潮風が吹いてるね。

 ギラギラと照らす日光を僕は目を細めて見上げた。

 

「ついにこの日が来た……!」

 

 楽しそうにはしゃぐスポーティーな黒ビキニの後輩と、ラッシュガードを着た二人の同級生。夏元は白で、冬野は黒と。

 二人とも……一体、その下はどうなってるんだ……!

 

「蓮ちゃん、海はパラソル立ててからだよ?」

 

 夏元が言うと。

 

「じゃ、あたしパラソル借りてきます!」

 

 砂浜を水瀬が走っていく。パラソルの貸し出しもやってる海の家に向かって。

 

「おおっ、水瀬さんも速いなぁ」

 

 さすが元陸上部。夏元の後輩だ。

 

「……陸上部は次元を超えなきゃ通用しないってこと?」

 

 冬野が遠くなった水瀬を眺めてつぶやいた。陸上関係者のみんながみんな超常の存在になってるわけじゃないと思うんだよ、僕は。

 そう、陸上部の中でも夏元と水瀬は上澄だったんじゃなかろうか。

 

「お待たせしましたぁ!」

 

 戻ってきた水瀬はパラソルを砂浜に軽く突き刺した。僕はそれを引き抜きながら。

 

「全然全然、そこまで待ってないよ。てか、普通に早くない?」


 ここ砂浜よ?

 そうか、これが陸上部なのか。


「ささっ、さくっと立てちゃいましょうよ」

 

 それから全員で協力してパラソルを立ててから、僕は一息吐く。

 

「よーし、出来たよ!」

 

 パラソルの設置が終わると。

 

「ほら、行きましょうよ。陽毬センパイ! 燿センパイ! 美月センパイ!」

 

 水瀬は海に向かって走っていく。

 

「負けないよ、蓮ちゃん!」

 

 その後ろから夏元が怒涛の追い上げ。置いてかれちゃったよ。

 

「よ、燿……待って」

 

 冬野に呼ばれて僕は振り返る。

 

「砂浜だもんね。僕らはゆっくり行こうか」

「うん」

 

 僕と冬野がゆっくり海に近づいていくと、もう既に夏元と水瀬は海を楽しんでた。

 

「あ、二人とも!」

「先に楽しんでましたよー」

 

 冬野は僕を見つめて。

 

「わたしたちも海入ろ?」

 

 そう言って僕の手を取って、海の中に引っ張ってく。

 

「うわぁ、冷たーぁ!」

 

 まず足先。

 

「でも、気持ちいいよ?」

「気温高いからかな」

 

 今日は海水浴日和な晴天だね。

 

「おお……」

 

 腰まで来たぞ。

 

「んー……」

「どうしたの? 冬野さん?」

「……これ、脱ぎたい」

「うん?」

「このまま行けるはずだったけど、思ったより動きにくい」

 

 濡れて重たくなったのかな?

 

「あはは。じゃ、一旦戻ろっか」

 

 海に入って数分経たず、僕らはパラソルのある場所に戻ることにした。

 

「二人とも、僕たちちょっと戻るよ」

「え? 早くないスか?」

 

 一応、夏元と水瀬にも伝える。

 

「休憩とかじゃなくてね? そんな大した用事じゃないから、すぐ戻ってくるよ」


 冬野と一緒にパラソルのところまで戻る。


「燿。すぐ脱ぐから、ちょっと待ってて。んっ……と」


 冬野がラッシュガードを脱ぐと、白い肌と派手すぎないタイプの水色のビキニが現れた。


「おおっ。冬野さん、大変似合ってると思います」

「燿のお眼鏡に適った」


 ふと冬野が頰を緩める。


「はい、もうバッチリです」

「燿も似合ってるよ」


 海パンに似合うとかそんなにあるかな? でも、褒められたからね。


「ありがとね、冬野さん」


 そんなこんなで再び海へ。

 海よ、僕たちは帰ってきたぞ。


「あ。美月センパイ、脱いできたんスね」

 

 僕の隣にいる冬野をひと目見てから、水瀬はチラリと夏元に視線を送る。すると夏元は身体を縮こまらせる。


「陽毬センパイ」

「ご、ごめんね、蓮ちゃん……!」

「いやいや大丈夫っスよ。こっちこそです」


 脱ぐか脱がないか的な話かな?




 


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