表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/111

第57話 神出鬼没


「周防くん、僕もバイト一緒に行かせてもらうよ」

 

 授業の合間、廊下を歩きながらこの間の話の続きをする。

 バイトの内容は聞いてて、そのことは水瀬にも伝えてる。それも問題ないらしい。

 

「お、そうか。早速返事ありがとな」

「で、悪いんだけどさ」

「ん?」

「もう一人追加になっても大丈夫かな?」

「おう……全然いいぞ」

「じゃあ、あとで紹介しよ────────」

 

 僕の言葉に被さって「いやいや、今でも大丈夫っスよ〜!」と水瀬の声がした。

 僕と周防はピタリと立ち止まる。

 

「お疲れ様っス! 燿センパイ」

「水瀬さんや、何でこんなところにいるのかな?」


 今も授業の合間っスよ?

 それにここ、一年生の教室からは離れてるよ?


「ふっふっふ……燿センパイ、それを聞くのは野暮ってもんスよ」

 

 いや、これは野暮とかじゃないと思うんだよ。ああでも……あとで話す手間が省けたね。

 もうこのまま行こう。

 だって、このまま行った方が話早いし。

 

「平坂、コイツは……」


 周防は突然現れた水瀬に困惑しちゃってるけど。


「あ、そうだね。ほら、水瀬さん」


 僕が自己紹介するように促すと、水瀬は周防に身体を向ける。


「あ、すみません、どもっス。あたしは一年、水瀬蓮っス」


 ペコリと一礼。


「おお……俺は二年、周防暦だ。よろしくな、水瀬」

「はいっス。暦センパイ」

 

 周防が僕の方を見てくる。

 

「平坂。追加メンバーって、この水瀬であってる?」

 

 そうです、この水瀬です。

 僕が頷けば、周防はまた水瀬に目を戻す。

 

「いや〜、今からバイト楽しみっスよ」

 

 ほらね?

 ニマニマとしてる水瀬に僕は「どう? 周防くんとも仲良くできそう?」と聞いてみると。

 

「燿センパイの友達っスよね?」

「そうだよ」

「なら大丈夫っスよ」

「そう?」

「そっス!」

 

 周防からは「平坂。お前、信頼されてんのな」と言われてしまった。


「その通りっすよ! あたし、燿センパイのこと尊敬してますんで。バイトでもっと燿センパイのこと知れたらいいって思ってるス」


 そこまで?


「ちなみに僕の何を知りたいの?」

「そんな本人の口から直接なんて……見て覚えます!」


 職人みたいなこと言い出したぞ。

 まあ、とにかく。

 僕は周防に視線をやる。


「ゴールデンウィークはバイト仲間になるからな。俺ともよろしく頼むぜ、水瀬」

「はい、よろしくっス」


 それから詳しいバイト内容とかの伝達のために、水瀬と周防も連絡先を交換して。

 

「燿センパイ、暦センパイ。それではまたあとで〜!」

 

 水瀬は去っていく。


「おう」

「またね、水瀬さん」


 水瀬が見えなくなってから、周防は僕の方に向く。

 

「それで、平坂」

「うん?」

「どんな経緯で水瀬と知りあったか聞いてもいいか?」

「いやいや……僕はただ、下校途中に困ってそうだったから声をかけたんだよ」

「ああ〜……」

「傍目からはナンパに見えたみたいだけど」


 秋山には見境ないって言われたし。


「そりゃ……まあ、そうだろ。ほら、俺が知らない女の子に声かけてたらどう思うよ?」

「……え? 周防くん、浮気とか最低かよ」


 春木を放って、別の女に行くなんて。

 そういうのよくないと思います。


「めちゃくちゃ冷めた目で見てくるじゃん。おい、拳を作んな……怖いって。俺はそんなことしない。作り話、例え話だっての」

「知ってるよ」


 周防がそんなことしないってのも、作り話だってのも。


「なら、その拳を下ろせ!」

「お、ごめんごめん」


 拳を作ってた右腕を下げる。

 まあ、彼女持ちじゃなかったら知らない女の人に声かけるのってナンパに見えるよね。


「…………ともかくね。それで話してると夏元さんの後輩ってことがわかって。で、そのあともいろいろあってさ」

 

 そしたら、いつのまにかこんな感じだよね。

 

「そうだったのか」

「そうだったんだよ」

「それで水瀬と、か」

 

 周防も納得したらしい。


「とりあえず、俺らも授業行こうぜ」


 と言って歩き出した。僕も「そうだね」と並ぶ。

 



* * *



 

 

「ゴールデンウィーク、どこか出かけようよ」

 

 放課後、帰り道。

 夏元がそう言った。

 

「五月二日から三日で隣町でお祭り、かな? そういうのがあるんだってさ。ね、二人とも。それとかどうかな?」

 

 あ、それピンポイントに僕たちの行くバイトのやつですね。

 

「その……夏元さん、ごめん」

「燿くん、ダメだった……?」

「あの……そこピンポイントに予定入ってるんだよね」

「うーん……そっか。ね、美月さんは?」

 

 夏元が冬野の方を見ると「わたしは大丈夫だよ」と答える。

 

「それで、燿。予定ってなんの?」

「それがね……周防くんにバイトに誘われてさ。僕もそのバイト行くんだよ。で、そのバイトが夏元さんの言ってるお祭りの手伝いでさ」

 

 僕の事情を聞いた冬野が少し考える素振りを見せてから。

 

「ね、陽毬。なら、その日遊びに行くついでに燿の働きぶり見に行こ」


 そう夏元に提案した。


「おお、それいいね! 燿くん、隠れないでね?」

「あはは」


 大丈夫だよ、隠れないよ。


「一応、バイト以外の日だったら僕も空いてるよ?」

 

 遊びに誘ってくれても全然オーケーですからね?

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ