第47話 クリスマスプレゼント
午後八時。
プレゼント交換も終わり、パーティーも終わりを迎えた。
外はもう暗い。
「それではみなさん、お気をつけて」
「ありがとね、春木さん。またね」
周防も「またな」と僕らを見送ってくれる。
そうして春木の家を後にする。
僕たちの帰り道。夏元が帰り道を覚えてるってことで、今度は特に周防に案内してもらうということはなくで四人で帰る。
「あ、そうそう…………三人とも」
交換会はやったけど、僕はまだ四人にプレゼントを渡せてない。春木に渡すのは後でいいんだけど、三人には今渡しておこう。
「うん? どうしたの、燿?」
冬野が振り返る。
秋山と夏元も足を止めて僕を見つめる。
「実はね、みんなにプレゼントがあるんだ」
秋山が「プレゼント交換はもう終わってるわよ? 出し忘れかしら?」と。いや、そのことじゃなくてね。
「いやいや、違うよ。これは僕からのみんなに対する日頃の感謝を込めての、個人的なプレゼントなんです。交換会とは別のものなんです」
プレゼント交換も楽しかったけどさ、それだと僕の感謝が伝わりにくいと思うんです。伝わりにくいと思ったんです。みんなとパーティーできて楽しかったっていう思い出もいいんだけどね。
「はい、冬野さん」
一応はラッピングはしてるんだよ。
クリスマス仕様でさ。裸のまま渡すのはクリスマスらしくないじゃん?
「開けてみてもいい?」
「うん」
ラッピングを丁寧に剥がして、冬野が中身を確認して「エプロンだ」と眺める。
「ありがとう、燿」
天使、いや女神か…………。
その笑顔見てると羽が生えるような、どこまでも飛んでいけそうな気がしてくる。
ああ、今にも昇天しちゃいそうなくらい嬉しい…………。
「ごめん。わたし、プレゼントのお返し用意してなかった」
「全然気にしないで。僕はそれを使ってくれるのが一番嬉しいから……!」
「そっか」
一瞬、申し訳なさそうになった顔も、また晴れやかなものになる。
「分かった、大事に使う」
冬野はエプロンを抱きしめる。
「夏元さんにはこちらを」
「ありがと、燿くん!」
ランニングポーチを受け取って「今度からランニングのときこれ使うよ!」と嬉しそうに頰を緩める。
「どう、燿くん?」
「お、早速付けてくれたんだ。ありがと、夏元さん。…………あ。それでそのポーチ、スマホとか財布とかも入れれるし、水筒も運べるんだって」
とっても便利なんだよね。
「わ、すごい便利」
スマホと財布を入れて、その場で夏元が足踏みする。うん、大丈夫そうだね。
「ボクも大事に使うよ」
よしよし、夏元も喜んでくれてる。
秋山も喜んでくれると良いんだけど。
「秋山さん、どうぞお納めください」
「小さいわね」
「……その、必死に考えまして。僕も秋山さんが使うならと思ったので」
ラッピングを解いて、出てきたのは金色のちょっと高い栞。
「読書好きな秋山さんにはこちらかと」
「……ふふ、ありがとう平坂くん。有効に使わせてもらうわ」
「そうしてもらえるとありがたいです」
ちゃんと三人にプレゼントは無事渡せたし、僕も満足である。
「こういうクリスマスも悪くないわね」
秋山の呟きに僕も「だよね、賑やかでさ」と同意して、再びゆっくりと帰り道を歩き始める。
「────それじゃ、平坂くん。冬野さん、夏元さん。さよなら」
秋山が帰っていく。
僕らは挨拶を返して、それを見送る。
今度は夏元と普段別れるところまで来て。
「燿くん!」
夏元は僕の名前を呼ぶ。
「これっ、クリスマスプレゼント!」
ラッピングされたプレゼントを僕に押し渡してきた。
「うん。ありがと、夏元さん」
「う、うん。冬野さんも……はいっ」
冬野にも何かを渡したと思うと、夏元は「そ、それじゃバイバイ!」と言って急いで走り去ってく。
「燿、私のは手作りのクッキーだった」
冬野の手にはクッキーがいくつか入ってる透明な袋があった。
僕も夏元のプレゼントを確認する。
「僕の、は」
これは。
「ネックウォーマー、だね」
グレーのしっかりとしたやつだ。
「あったかそう」
「……大事に使わせていただきます、夏元さん」
冬場はこれが頼りになりそうだよ。
それでは早速、使わせてもらいます。
「わっ、あったかい……」
「こっちも美味しい」
もうクッキー食べてるのね。
「今日楽しかったね、燿」
冬野がクッキーの袋をポケットにしまう。
あとは家で食べるつもりかな。
「うん。交換会も盛り上がったし」
「燿のプレゼントも陽毬のプレゼントもすごい嬉しかった……けど、お礼言う前に陽毬帰っちゃった」
「今度伝えよっか」
「うん。そうする」
「僕も改めてね」
僕たちのクリスマスも終わる。
「来年も楽しいと良いね」
冬野が言う。
「来年のクリスマスもってこと?」
「ううん。来年もずっと……燿がいて、陽毬がいて。旭もいて、里菜と暦もいて」
ああ、そういうこと。
「今年もあとちょっとだね。冬野さん、今年は楽しかった?」
「例年にないほどでした」
僕も楽しかったな、この一年。
まあ今年度で考えれば終わってないんだけど。
「燿……年末、わたし実家に帰るんだけど。年明け戻ってきたら、その時一緒に遊ばない? 二日には戻ると思うから、三日…………大丈夫?」
「大丈夫だよ」
たぶん。
うん、しっかり家族には伝えとかないとだ。




