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第46話 トナカイ革命(未遂)

 待ち合わせ場所に着く。


「あ、燿くーん!」

 

 夏元が手を振ってるのを見つけて、僕は少し駆け足で近づく。

 

「三人とももう居たんだ」

 

 既に夏元たちは揃ってて、僕だけちょっと遅かったらしい。でも、集合時間は午後四時だし、まだ三時五十分くらいだから遅刻ではないと思う。

 

「燿、ちゃんとプレゼント持ってきた?」

「ほら、ちゃんと持ってきてるよ」

 

 僕は手に持っていた紙袋を持ち上げる。

 この中にはプレゼント交換用のも入ってるけど、四人分のも入ってる。ちなみ交換会用のは僕がクッキーアソートで、周防はチョコアソートだ。

 お菓子ならそこまで外さないだろうという僕たち男組の見解である。

 

「みんなも忘れずに持ってきた?」

 

 三人が同時に頷いた。

 でも全員プレゼントの中身は秘密らしい。そりゃ、交換会の楽しみが半減するかもだからね。

 

「大丈夫? 本当に忘れ物とかない?」

 

 念の為に確認するのは大事だよね。

 僕が聞くと、夏元は少し慌てて持ってきてた荷物を確認しはじめ。

 ほっと安堵の息を漏らす。

 

「だ、大丈夫! ちゃんとあるよ」

 

 冬野も気になったのか確認して問題なかったらしい。秋山は特に確認するそぶりはなかった。

 僕ももう一回くらい袋の中見ておこう。

 一、二、三…………よしよし、ちゃんと五個あるね。

 

「────四名さま、お揃いで」

 

 お、四時か。

 お迎えの周防も到着したみたいだ。

 

「周防くん。ありがとね」

「おう。里菜に頼まれたからな」

「その春木さんは?」

「部屋で準備して待ってもらってる。里菜に寒い中歩かせるのも、な」

 

 役割分担、適材適所ってやつかな。

 

「よし、行くぞ。ちゃんと付いてこいよ」

 

 そう言って周防は歩き始めた。

 

「あ、ここ通ったことある」

 

 夏元は暗くなり始める街並みを眺めながら呟く。

 

「もしかしてランニングとかで通ったりしてる?」

「うん! そうなんだ。そっか……こっちに里菜さんと暦くんの家あるんだ。もしかしたら二人の家の前、通ったことあるかも」

 

 歩きながら、夏元はパン屋であったりケーキ屋であったりといろいろと解説してくれる。

 

「夏元、なんか詳しいな。ここらに住んでる俺より詳しいかもしれないんだけど」

「あはは……ランニングでよく通るからね。どこに何があるかは大体覚えてるよ」

 

 ただ、さすがに誰がどこに住んでるだとかは覚えてないらしいけど。

 

「ほら、ここが里菜の家だ」

 

 周防がインターホンを鳴らす。

 

「里菜、みんな連れてきたぞ」

『ありがとうございます。では、みなさんお入りください』

 

 家の中に入ると春木が出迎える。

 

「メリークリスマスです、みなさん」

 

 春木の家の中は飾り付けられていて、いろいろと食べ物が並べられている。

 ちなみに本日、春木家のご両親は春木がパーティーをするということで自分たちもご飯を食べに行くことにしたらしい。

 子供たちで楽しめるようにという配慮があったんだろう。

 そんなわけで、今はこの家には僕たちしかいない。

 

「寒い中、ありがとうございます。こちらウェルカムドリンクのホットココアです」

「あら、ありがとう春木さん」

 

 春木は人数分を用意してくれてたのか、僕たちの手に一つずつ渡される。

 

「ありがとう、春木さん。いただきます」

 

 あったかいや…………冬の中を歩いた身体に染み渡るぅ。

 

「これ飲み終わったら寝てもいい」

 

 冬野の表情が緩んでる。

 

「冬野さん、まだクリスマスパーティー始まってないからね?」

「燿、始まったら起こして」

「そうなったら、寝る間もなく数秒で起こすからね?」

 

 冬野も本気で寝る気もないだろうけど。

 

「それではクリスマスパーティーを始めましょう!」

 

 全員がココアを飲み終えたタイミングを見計らって春木が告げる。全員で「メリークリスマス」と声を合わせてパーティーを始める。

 

「飲み物も食べ物もご自由にどうぞ」

 

 用意されていた紙コップにおのおの飲み物を注いで食べ始める。

 

「そうです、みなさん。こちらをつけてください」

 

 これはトナカイのカチューシャだ。

 冬野はサンタ帽。夏元もサンタ帽。秋山も春木も。あ、周防は僕と同じだ。

 ……ってこれ、男子がトナカイカチューシャってことなのね。

 

「そしてトナカイさんはサンタの言うことを聞かなければなりません」

「なんて理不尽な王様ゲーム!?」

 

 それはさすがに横暴だと思うんだけど!?

 

「俺たちがそれに従う理由はないぞ!」

「そうだそうだ! 絶対王政反対!」

 

 僕らの抗議の声に春木も「それでは今日は無礼講ということで」と。


「ん?」


 いや、ちょっと待って。

 身分差があるみたいな言い方なんだけど!?

 

「僕たちは法の下に平等!」

「あら、トナカイなのに?」

 

 秋山まで入ってきちゃったよ。

 

「差別だ! トナカイ差別だよ!」

「平坂、俺たちで革命を起こすぞ! トナカイ革命だ!」

 

 そんな寸劇を繰り広げていれば、夏元の笑い声が聞こえてきた。

 

「これ、続けますか?」

「ふふ…………ボクは続けてもいいよ」

「……私、疲れましたので。どうか勘弁してください」

「そっか。じゃあ仕方ないね」

 

 そんなこんなでパーティーも盛り上がる中でプレゼント交換会が開催された。

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