第36話 コスプレ喫茶になりました
普段通りの日々だ。
いつもと同じように冬野と夏元とお昼を食べたり。いつもと同じように春木と秋山と談笑したりと。
夏休み前と変わらないような日常を過ごしてた。
それでも、今日も『四季彩少女』の世界はつつがなく進行してる。
僕はそう思う。
「えー、みなさん。我ら一年C組の学園祭の出展、決まりました」
それも、学園祭実行委員からの連絡があったから。
「コスプレ喫茶です!」
うん、本当に。
コスプレ喫茶とかやるってなるとゲームとか漫画って感じがしてくるなぁ。ヒロインたちの生コスプレを僕も楽しみにしてます。
* * *
「あ、平坂くん!」
移動教室が終わり教室に戻る途中、学園祭実行委員女子の梅宮が僕に声をかけてきた。
「梅宮さん?」
僕は足を止めて振り返る。
「あのね、コスプレ喫茶のことで聞きたいことあってさ。いいかな?」
「うん。いいよ」
「ありがと。それで……平坂くんってなにか希望とかあったりする? 他のみんなにも聞いて回ってるんだけど」
「希望?」
というと?
僕が首を傾げると、梅宮がちゃんと教えてくれる。
「あ、衣装ね。衣装のこと。アタシが衣装についてもやるから」
「ああ。衣装、かぁ…………うーん」
僕のコスプレ……は、そこまでこだわりとかないし。何の格好がやりたいかとか全然思いつかないんだけどなぁ。
「別に今すぐじゃなくてもいいよ?」
あ、いいんだ。
それなら。
「じゃあ、ごめんなんだけど……一旦保留にしてもらえないかな?」
「うん。了解」
「今は全然思いつかななくてさ。もうちょっと時間欲しいかも」
「そっか、ありがとね。平坂くん」
梅宮が去っていく。
「そういうことでお願いしまーす」
僕は彼女の背に向けて言う。
僕も歩き出そうとしたタイミング。
「燿くん、全然決まってないんだ?」
夏元が隣に来て、聞いてくる。
「まあ……夏元さんはもう決まってるの?」
僕は夏元と話しながらも歩き始める。
「ボクは……うん、あんまり恥ずかしくない格好。ほら、ミニスカートとか短すぎじゃないやつ。ズボンとかが良いかなって話したよ」
「ズボンか……そうだね」
前に買い物に行った時もショートパンツ諦めてたもんね。
「夏元さんがこれなら大丈夫だって思うのがいいと思うよ」
僕も賛成。
「うん。だよね、燿くん」
夏元が頰を緩めた。
「そうだよ」
教室に戻り僕が席に着くと、すでに戻ってた春木が「平坂くん、夏元さん。衣装のこと聞かれましたか?」と尋ねてきた。
ということは、だよ。
「春木さんも聞かれた?」
「はい」
あ、やっぱり。
梅宮、仕事早いね。
「それで春木さんはなんて答えたの?」
「私はありきたりなんですが」
そんな前置きをして。
「この機会ですから……メイド服が着てみたいと思いまして。梅宮さんにはそう伝えました。平坂くんと夏元さんはなんて答えたんでしょうか」
「えーと……ボクはズボンとかが良いなって」
「ほうほう……夏元さんはズボンですか。それで、平坂くんはどうなんですか?」
春木がこっちを向いた。
「あー……僕の方は、ね。なかなか考えれなくて。正直なところなんでもいいったらなんでもいいんだよね」
本当に。
でも希望は考えとかないとなぁ。
なんでもいいってのは困るだろうし。
「それで、ちょっと保留にさせてもらってるんだよ」
「そうなんですね」
「そうなんだよ」
とりあえず、まだ時間あるだろうし。コスプレについてはゆっくり考えようかな。
「それにしても、春木さんはメイド服ね」
「一度でいいから着てみたかったんです」
「うん、似合うと思うよ」
「ふふ、ありがとうございます」
コスプレって言えばって感じはあるよね。
メイド服とかナース服とか。そういうのが王道って感じがするよね。
「今から楽しみですね」
春木が微笑む。
「うん、ボクもみんなのコスプレ楽しみだ。美月さんとか、何にするんだろ」
夏元もワクワクしてるのか、目が輝いてる気がする。
「冬野さんですか……そうですね」
冬野も夏元も、春木も秋山も。
奇抜でもない限り、ほとんどなんでも似合うと思うんだけどね。
「そうだ。夏祭りの時、思ったんだけど。美月さん、浴衣すごい合ってたよね!」
「おお、そうでしたね」
春木と夏元で話が盛り上がる。
楽しそうで……良いねっ!




