91話 カインPTの死闘
俺はカイン。
AランクPTのリーダーだ。
オーガの軍勢がオウディスに攻めてくると聞き、部隊に加わった。
オウディスは俺が生まれ育った街だ。何としても守ってみせる。
今回、俺たちの役割は**「オーガ王の討伐」**。
斥候部隊の話では、約100体のオーガ軍の後ろに、オーガ王が単身居座っているそうだ。
俺たちの予想では、オーガ100体がルーネの町を襲っている間、王は動かないだろうと思っている。
そのチャンスに王を仕留める事が出来れば、希望は見えて来る。
その為に俺たちは、王の更に後ろ側に回り込んで、オーガの軍が動くのを待っていた。
ルーネの町には防御力の高い部隊を揃えているとはいえ、どれぐらいの時間を持ちこたえれるかわからない。
だから俺たちは出来る限り速やかに王を討伐してルーネに行かなければならない。
ここからではオーガ王は見えないが、斥候部隊の合図があれば王の討伐開始だ。
そして息をひそめて待つ事数時間、ついにその時は訪れた。
ズズズズズ……。
地響きと共に唸り声が聞こえたと思ったら、斥候部隊からの合図が上がった。
「よし、行くぞ!」
俺たちは王に向かって走り出した。
「見えた! よし予想通りだ」
オーガ王は単身そこを動かずに鎮座していた。
俺がターゲットを取り、戦闘を開始した。
王に戦闘を挑んで約1時間が経過した。
やはり王はとんでもない防御力と攻撃力を持っていた。
やっと王のHPを6割ほど削ったぐらいだった。
しかし俺たちの連携もミスなく攻撃を続けている。
まだまだ討伐には時間がかかるが、この状況が続けば勝てると皆が思っていた。
一人の斥候が、その情報を持ってくるまでは。
「後ろから誰か来たよ?」
「ん? 斥候兵か?」
その斥候兵は走りながら俺たちに向かって叫んだ。
「駄目だ! 討伐は中止! 撤退だ!」
「何? どういう事?」
「フォルにいたはずのオーガ300体が、もう直ぐそこまで来ている!」
「ここに来るまで後20分もないぞ!」
「何だって!」
「どうなってんだ!?」
「じゃあオーガの全軍がこっちに来るって事か?」
「どうする?」
俺たちの動揺を感じとったのか、王が攻勢をしかけてきた。
グオオオオオオオン!!
とてもじゃないが逃げれない。
「俺が王を引き付ける! その間に全員逃げろ!」
その言葉を聞き、騎士団達は散り散りに逃げ始めた。
「カイン!」
「リーニ、この戦いは負けだ」
そう言いながらも、カインは決意した表情を浮かべていた。
「だが今後の討伐にお前たちの力は必ず必要になる。だからここで全滅は出来ない!」
「私も残るわ、その方が少しでも長く時間を稼げるでしょう」
「駄目だ!」
「マニカ! リア! リーニを連れて行け!」
「オウディスまで戻れ!」
「ルーネじゃないの?」
「悪いがルーネはもう助けられない。オーガ全軍の強襲を受ければ数時間で滅びるだろう」
「わかった。リーニ行くよ」
「私は大丈夫だから先に行ってて!」
「このままだと本当に全滅だよ?」
「最後ぐらいカインに格好つけさせてあげて?」
「ごめんなさい、私はカインと一緒に逝くわ」
「ゼイナス、お願い二人を連れて行って」
「はぁ、カインよ、こうなったらリーニは言うこと聞かないぞ?」
「リーニ・・・」
「っ!?」
ドスゥゥゥン!!
「全員避けろ~!」
俺達と王の間に、大きなボールの塊が2つ転がってきて止まった。
ボールだと思ったそれは……2匹のオーガだった。
しかも普通のオーガじゃない。
「この二匹は……**『レアタイプ(将軍クラス)』**だな」
「王の側近って事かな?」
「あ~、これは駄目ね。逃げられないよ?」
「カイン、この二匹だけでも倒そう」
「カイン!!」
「ああ、皆すまない」
「もう、周りは俺たちだけだな。しかしあの二匹は何としても片づける」
「ゼイナスは片方とタイマンをして耐えていてくれ」
「ああ、わかった」
「マニカとリアはもう片方のやつを全力で片づけろ」
「わかった。どうせもう後退はないんだから、ここで出し切るわ」
「うん、リア殺るよ」
「リーニは全体のサポート」
「ええ、わかってるわ」
「俺はボスの意識をこっちに向け続ける! 行くぞ!!」
皆、逃げる為の力を温存する必要が無くなった為、後先考えず全力で戦い始めた。
リアとマニカは流石だな。
強力な技を連携して叩き込み、レアオーガを圧倒している。
倒しきるのも時間の問題だろう。
こんなところで失う事になるのはあまりにも勿体無い逸材だ。
俺も頑張ってボスを維持し続けたが、そろそろ限界だ。
横目でゼイナス達を確認したら、二匹目のレアオーガも後少しで倒せそうだった。
だが、すまない。俺はここまでだ。
ガギィィィン!!
予想通り、次のオーガ王の一撃に盾は粉砕され、俺も大きく吹き飛ばされた。
「カイン!」
俺は何とか立ち上がったが、敵の意識を自分に向けさせるだけで精一杯だった。
目の前に近付いて来たオーガ王は、俺に向かって大きな剣を振りかぶった。
俺は目をつぶろうとしたが、人影が俺の前に立ち塞がった。
それはリーニだった。
俺の前に立ち両手を広げるリーニ、そのリーニに振り下ろされる巨大な剣。
「や、やめろ~!!」
その瞬間。
ヒュゴオオオオオッ!!
強烈な風がオーガ王の動きを一瞬止めた。
そして。
ガキィィィィィィィィン!!
リーニとオーガ王の間に**「何者か」**が割って入り、大きく、そして光輝く盾をかざした。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)に関するスタンスを変更するかもです。
まだ未定ですが、活動報告に予定を記載しておきます。
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