89話 女王様降臨!?
私はここに向かって歩いている間に、転移魔法の使用について説明をしておいた。
なのでビオラさんは準備を終えていた。 魔法陣の中央で両手を広げて。
「何かちょっと恥ずかしいです」
「どうしてよ? 椿もこうやって一緒に転移したのでしょ?」
「いや、そうなんですけど……」
椿さんは身長が155cmぐらい? だから、私からしたらお人形を抱える感覚。
でもビオラさんの身長は、私とほぼ一緒。 多分、2cmぐらい私の方が高いぐらいかな?
目線とか色々誤差範囲です。
これは、お人形を抱える感覚では無いです。 **「愛を語り合う距離」**です。
「さあ、早く行きましょう」
私も早く行きたいから恥ずかしいのは我慢をする事にした。
「はい」
私は魔法陣に触れて起動させ、両手を広げて待っているビオラさんに抱きついた。
柔らかい。 そして凄くいい匂いがする。
うん、やっぱりこれは知らない人が見たら色々と駄目なやつだね。百合の花園だ。
「じゃあ、そろそろ飛びます」
「いつでもどうぞ~」
「オウディス」
シュワンッ!
光に包まれて目を開けたらオウディスだった。
うん。ちゃんとビオラさんも一緒に転移出来たね。
「ありがとう。でも本当に凄いわね」
「出来る限りでいいので内密でお願いします」
「ええ、わかってるから心配しないで」
「早く冒険者ギルドに行きましょう」
「そうですね」
私達は急いで冒険者ギルドに向かった。
ギルド内はいまだに喧騒に包まれていて、忙しそうにしていたけど、椿さんに声をかけた。
「椿さん、戻りました」
「おかえりなさい。ユイさん、ありがとございました」
「それで、ユ……」
「椿。今すぐギルマスを呼んできて」
「ん? え? ビオラさん?」
「椿! 早く!」
「あ、はい! すいません。今すぐ行きます!」
椿さんは慌てて奥の部屋に走って行った。
しばらくして、椿さんはギルマスを連れて戻ってきた。
あれ? ギルマスの後ろから一緒に出てきたのは、この街の騎士かな?
「ビオラか、わざわざここまで来てくれたのか」
「ええ、すでに緊急事態を出しているのでしょう?」
「ああ、すでに出ている」
「王都の援軍はどうなった?」
「すでにフォルの町に向けて出発したわ」
「おお、これで希望がでてきたぞ!」
後ろにいた騎士達が嬉しそうに喜んでいる。
「でも、正直に言って間に合わないわ」
「こちらの準備はどうなっているの?」
「この国の必要最低限の防衛戦力を残して、集まった戦力を再編して今朝方出発した」
「なんですって?」
え? ビオラさん、怒ってる? 物凄く険しい顔をしてるし。
「まさか、報告書にあった作戦を実行したのじゃ無いでしょうね?」
「その通りだ。ギルドと騎士団の合意のもと、領主様の承認を得ている」
「バカ! 今すぐ呼び戻して!」
「オーガがフォルの町に攻めようとしているのは罠よ」
「オーガは全軍でルーネの町に攻めて来るわ」
「それは無いだろう、それに斥候部隊が確認しているし」
「じゃあ、なぜオーガは直ぐに攻めて来ずに留まっているの?」
「こちらの戦力の分散を狙っているからでしょう?」
「それに報告書にはオーガの中に魔法使いの個体を発見したと書いてあったでしょう?」
「ああ、フォルの町側の部隊に数体いるのを確認している」
「だからよ!」
「オーガの魔法使いは攻撃魔法は使え無いでしょう?」
「オーガの魔法使いは幻術のみを使うと言われている」
「過去の前例から、斥候部隊が見たフォルの町側のオーガ軍は幻影を見せられたと考えるべきだわ」
「しかし、それはお前の予想だろう?」
「ええ、そうよ」
「悪いが今の作戦のままで続行する」
「最悪の想定は、ルーネの町にすら攻めずにオーガの全軍がこの街に攻めて来るわよ?」
「それはない。我々、騎士団も現状の作戦のままを支持する」
「それに領主様の承認もあるから簡単には変更ができない」
「そう、わかったわ」
ビオラさんは、ため息をついた後に気を引き締めて大声で宣言した。
「これより、『国王承認特別権限』の行使を行います」
「この権限の発動と共に、この街の領主、ギルド等の全ての権限を一時的にはく奪します」
「今後、この街の指揮は私がとる事になります」
その場にいた全員が驚愕の顔をしてビオラさんを見ていた。
そして堰を切った様にざわつき始めた。
「ありえねよ、そんな権限!」
「そんな、バカな! ギルドの受付嬢ごときに!」
「そんな大それた嘘がバレたらただではすまないぞ!」
騎士団達は騒いでいるけど、ギルマスは青い顔をしてうつむいている。
「これが証明書です」
ビオラさんは賞状のようなものを取り出して掲げて見せた。
「これは国王様から直々の命令書です」
「発行は数年前ですが、内容は緊急事態またはそれに近い状態の時に、その街の権限を全てはく奪し、私に全てを譲渡する命令書です」
「ほ、本当に国王様のサインと国印が押してあるぞ……」
「ありえない」
「ギルド内での権限を色々もっているのは知っていたが、こんな物まで……」
「マジか……」
「今すぐ決めなさい! 私に従うか、この街を去るか!!」
「「「「 従います! 」」」」
うわ~、凄い。 室内のほぼ全員が即答した。
ビオラさんカッコイイね。 その凛とした姿は、まさに女王様だね。 ビオラさんを見る椿さんの目にお星様がたくさん輝いていた。(昇天寸前だね)
「そこの騎士の人!」
「はいっ!」
「今朝、出発した軍は、今すぐ呼び戻して!」
「わかりました」
「ただし、軍の先頭から半分は、そのままルーネの町へ」
「残りはオウディスの街の防衛につく事、半分にわける目測はあなたに任せます」
「承知しました。 では先日、出発した第一陣はどうしますか?」
「第一陣はそのまま、フォルの町で待機です」
「わかりました。直ちに向かいます」
騎士たちは走ってギルドから出て行った。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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