88話 ビオラへの緊急伝達
私は転移魔法を使って王都に飛び、わき目も振らずに冒険者ギルドに駆け込んだ。
注目を集めるけど今は気にしている暇がない。
「ビオラさん!」
私は大きな声でビオラさんを呼んだ。
彼女はそれに気づいて、今やっていた事務作業を放り投げて私の方へ走ってきた。
「ユイちゃんどうしたの? とりあえず、こっちで話を聞くわ」
個室に案内されて、ビオラさんに大まかに内容を説明をした。
「こちらが頼まれていた書類です」
ビオラさんはサっと書類に目を通した。
「これは……」
「ユイちゃん、少し待っててね」
ビオラさんは走って出て行ったけど、ギルマスに報告に行ったのかな?
そして直ぐにギルマスと一緒に戻ってきた。
「緊急の伝達を感謝する。明日の午前中に、もう一度ここに来てくれ」
え? どういう事?
「ユイちゃん、ごめんね」
「これからギルマスと二人で王城に行って軍を動かすように頼んでくるけど、戻って来れるのが明日の朝になるから、もう一度ここに来てくれない?」
「オウディスに届けて欲しい書類を作っておくから」
「はい、わかりました」
「わるいな。これもギルドからの緊急依頼として扱っておくからな」
「じゃあ、お願いね」
二人は慌ててギルドを出て行った。
仕方ないから今日は宿でゆっくりしておこう。
宿の部屋で、もしもの時用にHP回復薬と、MP回復薬を大量に作っておいた。
そして図書館通いで得た知識の1つで、**「属性強化の薬品(ドーピング薬)」**も作っておくことにした。
材料の都合上、今作れるのは「光属性」と「風属性」の強化薬のみ。
この薬品を使用すると一時的にその属性の力が強化される。
あ、でも副作用は無いよ?
制限と言えば1日一回しか服用できない事ぐらいかな。
例によって作った薬品は全て最高品質で完成した。
これで準備は万端だね。後はゆっくり休んで明日に備えよう。
翌朝、宿屋で準備を終えた私は冒険者ギルドに向かった。
私は討伐に参加するつもりなので、ミリタリー装備に着替えてミスリルの剣も腰にぶら下げておいた。
気合を入れてギルドに来たけど、ビオラさんも、ギルマスもまだ戻って来てなかった。
そして一人寂しく個室で帰りを待つことになった。
待つ事2時間ほど。
二人はやっと戻って来た。
私がいる個室に来たのはビオラさんだけだったけど。
「ごめんね。待たせちゃって」
「いえ、大丈夫です」
「それで軍は派遣できそうですか?」
「ええ、すでに第一陣が出て行ったわ」
「よかった~」
「ただ、やっぱり時間的に厳しいわね」
そう答えたビオラさんの表情は曇っていた。
「それでユイちゃん? 聞きたいのだけど」
「はい、何でしょう?」
「もしかして転移魔法を使えるようになったの?」
!!!
今回は緊急だから仕方ないけど、報告書に書いたのかな?
「椿さんからの報告ですね?」
「え? どうして椿?」
あれ?
「あ、いえ、転移魔法が使えるのを知っているのは椿さんだけだったので?」
「そうなの? でも違うわよ。報告書には一切触れていなかったから」
・・・・え?
「ただ、報告書の日時からユイちゃんが届けてくれた日時があまりに早すぎたからね」
あああ、そういう事か。私の自滅だ。
「それにしても、椿ったら私に教えてくれないなんて……お仕置きが必要ね」
えっ!?
「ち、違います! 私が頼んだんです。 勝手にビオラさんの名前を使って!」
私はビオラさんに、ことの内容を詳しく説明した。
「なるほど、そういう事ね。 ……椿ったら私より先に転移魔法を体験するなんて、お仕置きをしないといけないわね?」
えええええええええええ?
「ちょ、ビオラさん?」
「ふふふ、冗談よ?」
「もう、冗談でも椿さんにしちゃだめですよ?」
きっとビオラ信者の椿さんは冗談でも泣いちゃうよ?
「はい、はい。わかってるわよ」
「それで、ユイちゃん? 転移魔法で私を一緒にオウティスに連れて行って欲しいのだけど」
「わかりました」 「じゃあ、直ぐに向かいましょう」
「はい」
私達は足早に王都にある転移魔法陣のところまでやって来た。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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