86話 母の教え子
「ユイちゃん、ごめんなさい。辛い記憶を思い出させてしまって」
「そうだな、ユイすまない。でも教えてくれてありがとう」
マティルダさんはそう言って、思い出して泣いていた私を抱きしめてくれた。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」
お礼を言ってマティルダさんから離れた。
「もしかしてユヅキは魔法の触媒を持っていなかったの?」
「はい、このブレスレットをよく付けているのを見かけましたが、あの時は付けてなかったと思います。」
「たまたま、そのタイミングで襲われた?」
「そんな都合よく?」
「それとナルイラから南側だよね? そんな所で盗賊が現れるなんて聞いた事がないわよね」
「もしかして、ナルイラの町に密偵がいたとか?」
「あんな田舎町にお母さんだけを狙うた為に密偵はさすがに無いと思いますけど」
「うん、まあ、そうだけどね」
「私、今度ナルイラに行って探って来る」
「マティルダ?」
「やっぱり、このまま何もしないままには出来ない」
「そう、でも無茶をしては駄目よ?」
「ああ、わかっている」
「そういえば、1年前に魔法を使える様になったって事は、教えたのはユヅキじゃないの?」
「はい、たまたまナルイラの町に来ていた冒険者のリーニさんって人に教えてもらいました」
「リーニ? ユイちゃん、リーニの教え子になるの?」
「はい、そうです」
やっぱり、リーニさんも有名人なんだね。
「そっか~ これはもう運命だね~」
「リーニもユイちゃんに教える事ができて嬉しかったでしょうね」
ん? 話が微妙にかみ合ってない気がするよ?
「えっと、どう言う意味なんでしょうか?」
「え?」
「ユヅキがリーニに魔法を色々教えていたから、その恩返しができて喜んでいるんじゃないか?」
「えええええええ?」
「リーニさんの先生がお母さんなの?」
「ええ、そうだけど。 そういえばユイちゃんはユズキが魔法使いだった事を知らなかったって言ってたね」
「もしかしてリーニはユイちゃんがユズキの子供だと知らないって事?」
「はい、たぶん知らないと思います」
「あら~ リーニも抜けているわね」
「もし今度、会うことがあれば教えてあげて。リーニもきっと喜ぶから」
「わかりました。でもちょっと恥ずかしいです」
「大丈夫、絶対に喜ぶから」
「お母さんとリーニさんって仲が良かったのですか?」
「ええ、とても。年齢は10歳程離れていたけどね」
「リーニを知っているならわかると思うけど」
「二人とも、性格はのんびり屋でいつもニコニコしているでしょう?」
「うん、確かに」
「考え方もよく似ていたし、二人でよくお喋りをしていたわ、敵陣の真っただ中でも」
「はい?」
「あれ? 想像つかない?」
「あ~ はい、そうですね。何となくわかります」
その後も、お母さんの武勇伝等いっぱい教えてもらって帰宅した。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。




