72話 番外編Ⅴ ~錬金術師ミナ:茨の道の始まり2~
私は今日した約束の事、そして明日の事を考えると、ジッとしていられなくなった。 そして、キーゴの後ろから抱き着いた。
「な、なんだよミナ!」
「ねえ、キーゴもこの前15歳になって大人になったんでしょう?」
「そうだよ!」
「私と……大人の関係にならない?」
「は!?」
「・・・しよっか?」
「な、な、な、何を言ってるんだ!?」
「いいじゃない、やろうよ?」
「だ、ダメだ。そう言うのはもっとこう・・順序とか・・」
「そんなのはいいから!」
「だめだって!」
「・・本当に私とはしたくない?」
「・・だから俺は」
「私ね、今日イケメンの男性に告白されたんだ。 誠実そうだったから付き合う事になったんだけど、明日が初デートなの」
「!!」
「私の****を奪われちゃうかもしれないよ?」
「な、何いってるんだよ! それならその男に捧げるのが普通だろ!」
「・・・本当に良いの?」
「・・普通そうだろ」
「そっか、わかった」
そしてまた会話の無いまま時間だけが過ぎていって、キーゴは何も言わずに帰って行った。
翌日、約束した場所に向かった。 そこには既に、昨日の男が袋を持って待っていた。
「お待たせしました」
「いや、いいよ。それより約束の物だ」
男は手に持った袋を私に渡して来た。 中身を確認すると、本当に私が欲しかった薬草が入っていた。
「ありがとう」
「約束だからな。 それよりこっちの約束は」
「はい、大丈夫です。 私もちゃんと約束は守ります」
私の言葉を聞き、男は少し安心したみたいだった。
「あ、その前に! 俺の名前はモクロ。Cランクの冒険者だ」
「私はミナ。 錬金術士を目指しています」
「そっか。 それじゃあ、早速デートに行こうか」
「はい」
モクロが手を差し出してきたから、その手を繋いで町に戻った。 大きくない町だから当然、直ぐに私が彼氏を連れているって話が知り合いに知れ渡った。
昼食をとった後に、モクロが私の耳元でこそっと話をしてきた。
「なあ、ミナって男性経験ないよな??」
私は顔が真っ赤になりそうなのを何とか抑え込んで、冷静を装って返事をした。
「そうだけど、何か問題があるの?」
「いやいや、そうじゃ無いんだ」
そしてモクロは考える素振りをして、再び私に耳打ちしてきた。
「なあ、俺とする前に**『ソレ』**を売らないか?」
「はあ?」
「それだけの美貌なら、高く買ってくれるヤツがいるぞ?」
「な、なにを言って・・」
「どうせならお金が欲しくないか? 俺はその後でも良いし」
「・・・そんな事してバレたら困るから」
「それは絶対に無い! もし売るなら金額はコレぐらいだ」
そう言って提示された金額を見て、衝撃を受けた。想像以上の金額だった。
「ほ、本当にこんな金額なの?」
「ああ、間違いなく」
「本当にバレない?」
「大丈夫だ」
「・・・わかった」
「おし! じゃあ、ちょっと連絡してくるから待っててくれ」
はあ、 もうさっさと始めて早く終わらせて帰りたい。
しばらくして戻ってきたモクロとデートを再開した。
それから一時間後、ついに休憩所に向かう事になった。
休憩所はどこの町にもあるんだけど、言ってしまえば行為をする為の部屋を貸してくれる所で、それ以外の目的で使う事はまず無い。
「じゃあ休憩所に入ろうか」
「はい」
「君を買ってくれた人は先に部屋で待ってるから。 終わった後も住民にバレない様に、数時間後に1人で帰る手はずになっているから」
「わかりました」
地獄の時間が終わった後、男は袋を二つ私に投げてよこしてきた。
中を確認すると、一つは約束通りのお金と、もう一つは薬だった。
「今回は特別だぞ? 気分がいいからそれもくれてやる。
もし妊娠したら使え、その薬は**『堕胎薬』**だ」
堕胎薬? これも高位の錬金術士が作る物だから高額な薬だ。
それが5錠入っていた。
「ありがとうございます」
「俺は隣りの部屋で数時間寝てから出るわ」
男はそう言って部屋を出て行った。
「ラッキーだったな? あの男、金はもってるが余程機嫌が良い時でないとその薬はもらえないぞ?」
「そうですね。予想以上の報酬です」
私は、この日を境にほぼ毎日、薬草を受け取っては、その報酬を体で払う日々が続いた。
それと奇跡的にかどうかはわからないけど、妊娠したのは一回だけだった。
すぐに堕胎薬を飲んで事なきをえたけど、一回で済んだのは、運がよかったのかもね?
私達の、この関係は約半年続いた。 関係が終わったのは、モクロが別の依頼で町を離れる事になったからだ。
そして町を去る当日に、モクロが1人の男を紹介してくれた。
私は紹介してもらったその男と契約をした。
モクロの時と同じく、薬草と引き換えに身体を売る事。
後、追加した条件は、若くて出来ればイケメンが良い事。
そして、堕胎薬1錠を私に先払いする事。
それを伝えてモクロが手配してくれたのが、この男だった。
それからは契約者が町を去る時に、次の契約者を紹介してもらうようになった。
そしてそれは1年半続いた。
なんだかんだと気が付けば、私は17歳になっていた。
あの日から2年間、契約者が途切れた日は一度も無かったし、堕胎薬は7回使用した。
ちなみに今は契約者がいない。
1週間前に最後の契約者が、次の人を紹介できなかったのが原因だった。
だけどこの頃は既に錬金術のレベルが2に上がっていたから、じっくりと次の契約者を探しているところだった。
そしてそんな時に、あの子に出会った。
これまでの常識の全てを覆すような女の子、ユイに。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。




