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戦極結承 ◇◇ ~バッドエンドへ向かう少女の物語~  作者: 空斬しゅう


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70話 砕かれた理想

私は、椿さんの家を出てからブラブラとあても無く歩いていた。

宿に帰るには、夕方までまだまだ時間があるしね。


そして何気に歩いていると……来てしまった。 目の前には、例の**「錬金術士のお店」**が。


うん、本当に営業しているみたいでお店が開いてるよ。

さっきの「準備中」はやっぱり、そういう事(事後)だったのかな……。


ま、まあ例の「闇」の事は置いといて、私は商品を見たいだけだから!

あわよくば、レアな素材がないか見るだけだから!

私は出来るだけ店員の方は見ない様に意識して入店した。


カランコロン♪



「いらっしゃいませ~」



元気で明るい店員さんの声がした。 ……けど。 え?

聞き覚えのある声に、思わずカウンターにいる店員を見てしまった。

そしてあまりにビックリして、石のように固まってしまった。

店員さんも固まってしまった私を見て、不思議そうに首を傾げた。



「どうしました?」



やっぱり、この声、間違いない。 見た目もそうだけど……え? なんで?



「・・・どうして、ここにいるんですか? ミナさん?」


「あら? どこかでお会いしましたか?」



ミナさんはキョトンとしている。



「私です。ユイです。1年前にミリルナでお会いした……」



私の言葉を聞き、彼女は目を見開き、カウンターから飛び出して私の方へ駆け寄って来た。



「うわ~! 本当にユイちゃん!? いやいやいや、成長し過ぎでしょう!?」



そう言って私の胸(と身長)をまじまじと見ていた。そして再び私の顔を見た。



「もともと身長もあったけど、完全に追い抜かれてしまっているわね」


「成長期でしたので」


「まあそれにしても、成長しすぎて誰かわからなかったわよ~」


「お久しぶりです、ミナさん」


「本当、久しぶりね。元気してた?」


「はい、元気だけが取り柄ですので……あと、ここで何をしてるんですか? 向こうでお店を継ぎましたよね?」


「うん。でも先月こっちに引っ越して来て、ここでお店を出したのよ」


「じゃあ、やっぱりここはミナさんのお店なんですね?」


「そうよ、良いでしょう? 王都に近いから素材も集まりやすいし」


「そう、ですね・・」


「どうしたの? 元気ないわね?」



ミナさんは昔と変わらない笑顔で私を見ている。 でも、私は椿さんから聞いた話を思い出して、胸がざわついて仕方がなかった。

私はどうしても確認をしたくて、ミナさんに聞いてしまった。



「今日のお昼ごろ……このお店に来たんです」


「え? そうだったの? ごめんね、気づかなくて」


「でも、大勢の**【若い男の人】**が店を出て行った後、すぐに閉まってしまったから・・」



私の言葉を聞いて、ミナさんの笑顔が消えた。 そして、少し困ったような、諦めたような顔をした。



「そう……。じゃあ、知っているんだね?」


「なんで? どうしてです?」


「・・やっぱり、レベルを上げたかったの」



やっぱり、そうなんだ。 ミナさんは、あの「闇」に手を染めてしまったんだ。



「でも! キーゴさんの妹は回復したって聞きましたよ? もう、急いでレベル上げをする必要ないじゃないですか!」


「……うん、そうね」


「だったら!」


「でも、私も錬金術士として、やっぱり高みを目指したいの」


「でも!!」


「ごめんね。でも、これは自分で選んだ道だから」



ミナさんの静かな言葉が、私の心に突き刺さった。 選んだ? これを?



「そんなの! そんな男に媚びを売って得たスキルに、何の意味があるんですか!?」


「そんなの自分の価値を上げるどころか、落とすだけじゃないですか!」


「ユイちゃん……」


「ミナさんは、あんな事言ってたけど……本当はキーゴさんが好きなんだってわかってましたよ?」


「だけど私にはわからない理由で、わざと遠ざけている事もわかってました」


「それでも! いつかは二人で幸せになって欲しくて、障害となってた病気の薬を作って渡したんですよ!?」



涙が溢れて止まらなかった。



「それが私の自己満足だって事はわかってます! でも、でも・・!!」



あんなに頑張り屋で、綺麗だったミナさんが。 私の大好きなミナさんが、こんな方法でしか夢を叶えられないなんて。



「ユイちゃん。ありがとう……私なんかの為に・・」



ミナさんは声が震えていた。泣いていたのかもしれない。 でも私は、ミナさんの顔を見る事が出来なかった。

今のミナさんを、どんな目で見ればいいのかわからなかった。



「ごめんなさい。ちょっと混乱して取り乱してしまいました。落ち着いたらまた来ます」


「ユイちゃん……ごめんね・・」



私はそのまま店を出て、逃げるように宿屋に帰った。 そして部屋に引き籠り、布団を被って耳を塞いだ。

読んでいただきありがとうございます。

基本は一週間ごとに更新するつもりです。

ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。


また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。


最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。

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