68話 可愛い椿さん
ちょっと迷子になりかけたけど、大通りに戻るのは比較的簡単だった。
当初の目的を忘れたわけじゃ無いけど、ここ数日はまったりとした生活をしていた。
そして今日も今日とて街の観光をしつつお店巡りに向かった。
私は将来的に自分の家が欲しいと思ってる。
その夢のマイホームに必要であろう家具を見ながら、あれこれと想像するのが最近の至福の一時なの。 また雑貨も店によって商品が独特で見てて楽しかった。
それに雑貨屋の店主が錬金術士だと、余計に個性的な商品が置いてあった。
まあ、欲しいかどうかは別の話としてね。
それと、噂では**「レベル3の錬金術士」**が経営してる雑貨屋があるのだけど、いつも店が閉まっていた。
もしかしたらお昼から開店なのかな? 場所が外壁側に近い場所だから午後からは中々そっちには行かないからね。
それもあって今日はお昼ごろにその店を訪れた。
するとお店の入り口から客がぞろぞろと外に出て来た。
ビンゴ! 開店直後かな?
私は店から出て来る客が途切れるのを待った。
「やっぱここの子は最高だな」
「ああ、もっといっぱい稼いで通わないと」
「そうだな、さっそく狩に行こうぜ」
「俺もお得意様一番を目指すぜ!」
「いいや、一番は俺だ!」
だらだら喋ってないで早く店から出て行って欲しいよ、入れないじゃない。
しばらく待って10人程が店から出て来たところで流れが途切れたから、店に入ろうと扉の前に立つと……。
バタン。 **【準備中】**の札と共に扉が閉められてしまった。
な、なんでよーー!!
私は思わず叫びそうになったけど、まわりにはまだ人がいたからグッとこらえた。
この店は時間不定期で開店するって事なの!?
今日は店を早く開けたら、もう商品は売り切れたって事なの?
もういいもん。 他の店に行くからもういいもん。 もうこの店には来ないもん! 私はチョッと拗ね気味に決意し、その場を後にした。
どこに行こうかと思ったけど昼食がまだだった事に気づいて、メインストリートに戻った。
そして何を食べようかとキョロキョロ周りを見ながら歩いていると、見知った人と目があった。
「椿さん、こんにちわ」
「あら? ユイさん、こんにちわ~、これからどこかに出かけるのですか?」
「いえ、お腹が空いたので食べる所を探していたんですが・・」 私は周りを見たけど、どこも混雑していた。
「丁度、昼食時ですもんね」
「う~、テイクアウトにしようかな?」
「じゃあ、私もそうしようかな」
さっきから何か違和感があると思ったけど、その正体に今気づいた!
「そういえば、いつもの受付嬢の制服じゃ無いんですね?」
「今日はお休みなんです。よかったら一緒に食べませんか?」
「はい、食べましょう。食べましょう!」
椿さんが私服だからか、仕事モードを解除している為かわからないけど、年齢以上に幼く見えた。
「椿さん、可愛いですね」
「突然なんですか? 煽てても何もでませんよ?」
「だっていつもキリッとしてるのに今は、ほわ~って感じで服も可愛いから」
「もう~、私だって仕事の時のオン・オフは切り替えますよ」
「そうですよね~、じゃあ、今度私が作った可愛い服をプレゼントしますよ」
「え? それってユイさんが良く着ている感じの服ですか?」
「そうです」
椿さんは何故かピクピクと顔を引きつかせていた。
「う、嬉しいですが、出来ればもう少し抑え気味なのでお願いします」
「抑え気味??」
「私、一応今年で二十歳ですし、可愛い過ぎるのはチョッと・・・」
「そうですか? 椿さんは十分可愛いから大丈夫だと思いますが、まあその辺りは考慮して作っておきますね?」
「う、うん。ありがとう」
「いえいえ。 まあ、今は食べ物が先ですよね」
「そうですね。 この辺りなら、あそこのお店のサンドイッチが人気ですよ」
「じゃあ、そこにしましょう」
私達は、椿さんのお勧めのパン屋さんに入って、それぞれ気に入った物をテイクアウトした。
「どこか座れるところは無いかな?」
「ん~、この時間はどこもベンチが埋まってるね」
私は再び周りをキョロキョロしたけど、空いてる席はなさそうだった。
「ここから近いので、よかったら私の家で食べますか?」
「良いんですか?」
「もちろん。 じゃあ行きましょう」
私は椿さんのお宅にお邪魔していた。
ちなみにここは、それなりにお高い集合住宅の一室で、賃貸ではなく購入したそうだ。
受付嬢ってそんなに儲かるの? って聞いちゃったけど、「それなり(危険手当込み)」って答えてくれた。
後は、女の一人暮らしだからセキュリティがしっかりした場所を選んだって。
そして部屋の中はこれである! 凄く整理整頓されてて清潔な感じの部屋だった。
「本当、凄く綺麗なお部屋ですね。雰囲気も良いし、こんなお部屋に私も住みたいです。あ、このたまご焼きサンド美味しい~」
「ユイさんは、もっともっと稼ぐ冒険者になるのは確定ですし、活動拠点に家を買っておくのも早くないと思いますよ? ん~、美味しい。やっぱり私はこっちのフルーツサンドが最高」
しばらく二人でモグモグと至福の時を過ごした。
その後、昼食を食べ終わって、椿さんが用意してくれたジュースを飲みながらお喋りをしていた。
「酷いですよね? 目の前で扉を閉められて入れなかったんですよ!」
私は今日の愚痴(例の錬金術店)を椿さんにぶちまけていた。
けど、何か微妙な表情をしたと思ったら、言いにくそうに話してくれた。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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