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戦極結承 ◇◇ ~バッドエンドへ向かう少女の物語~  作者: 空斬しゅう


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214/215

214話 オークロードの討伐報告

冒険者ギルドの重厚な扉を押し開け、私はいつものように受付へと向かった。



「依頼達成の報告をお願いします。あと、ちょっとお話ししたい事があって」



そう言ってカウンターに自分のギルドカードをコトリと置く。

それを受け取った受付のギルド嬢は、カードの情報を確認した瞬間、目をクワッと見開き、息を呑んだ。



「ひっ!? し、少々お待ちくださいませ!!」



そのまま脱兎のごとく、ものすごい勢いで奥の部屋へとダッシュしていった。

うん、デジャブ。最近このパターンめっちゃ見るんだけど。

私のカード、どんだけヤバい扱いになってんの? 心当たりがありすぎるのが辛い。


しばらくして戻ってきたギルド嬢に案内されたのは、ギルドの奥にある立派な別室だった。

ふかふかのソファとかあって、明らかにVIP用じゃん、ここ。



「お、お待たせいたしました! 申し遅れましたが、私は当冒険者ギルドで受付をしております、トルーネと申しますッ!」



ガチガチに緊張した様子のトルーネさんの隣には、顔に傷がある、いかにも歴戦の猛者って感じの渋いおじ様が座っていた。



「私がここのギルドマスター、ビキコーダだ。さっそくだが、相談があるとの事だが、どういった内容だろうか?」



ビキコーダさんが、深刻そうな顔で腕を組む。



「え? 相談?」



私は思わず首を傾げた。話があるとは言ったけど、そんな重々しい相談を申し込んだ覚えはないんだけど。



「ん? 違うのか?」



ギルマスも拍子抜けしたような顔になる。

私とギルマスの視線が、自然と案内役のトルーネさんへと集中した。



「え、えっ!? だって、ユイさんがお話があるって言われたのと、このカードの特記事項に『ビオラ様が頼って来たら絶対に断るな』って指令が書かれていたので、てっきり、何か重大なご相談かと!」



様? 今、ビオラ『様』って言ったよね?

あ~なるほど。この人も重度のビオラ信者ですか、そうですか。

ビオラさん、どんだけ熱狂的なファン抱えてるんだろ?



「す、すまない。こちらの完全な早とちりだったな。しかし、何か話はあるんだろ?」



コホンと咳払いをして、気まずそうにギルマスが話を戻した。



「はい。オーク討伐の達成報告なんですけど、倒した群れの中に『王』が含まれていたので、念のためその報告をと思いまして」


「何? 王だと? 君達もオークロードを倒したのか!?」


ん? 「達も」?



ギルマスの言葉に引っかかりを覚えたけれど、彼はズイッと身を乗り出してきた。



「もし、今その戦利品等を持っているなら、見せてもらえないか?」


「あ、はい。いいですよ。ちょっと狭いかもですが」



私は持っていたアイテム袋から、ドサリとオーク王の巨大な死骸と戦利品を床に出した。



「こ、これは間違いない。確かにオークロードだ」



ギルマスの顔色が、みるみるうちに険しくなっていく。

トルーネさんも口元を押さえて青ざめている。

え? 何で? ボスクラス倒したんだよ?

普通「おおー! やったな!」って褒め称えられる流れじゃないの? なんでお通夜みたいな空気になってんの!?



「えっと、もしかして、倒したらダメだったやつですか?」


「いや、いや! 倒してもらった事には心から感謝をするし、報奨金も適正に上乗せさせてもらう。ただ」



ギルマスは額に汗を滲ませながら、私を真っ直ぐに見据えた。



「この王を倒した『日時』と『場所』を教えてもらえるか?」



ただならぬ雰囲気に、私は背筋を伸ばし、記憶を頼りにほぼ正確にその内容を伝えた。



「ありえないです」



トルーネさんが震える声で呟く。



「いや、これは最悪の事態を考えねばならぬかもな」



ギルマスが頭を抱え込むようにして天を仰いだ。



「えっと、だから、どういう事でしょうか?」



たまらず私が尋ねると、ギルマスは重い口を開いた。



「ああ。実は昨日、この街の別の冒険者が、オーク王を討伐したんだ」


「へっ?」


「死骸も確認した。ギルドでも確認を取っているから間違いない事実だ。だが、その数時間後に、今度は西側の森で『オーク王を見た』と報告があったのだ」


「え? 王様なのに、一日で三匹も出たってこと?」


「そういう事になる。そして君がこのオーク王を討伐したのは東側であり、かなり離れているから、時系列的に考えても別の個体だと考えられる」



意味がわからない。王って、群れのトップでしょ? トップが何人もいたら、それもう王じゃないじゃん。



「どういう事ですか?」


「これはあくまで推測でしかないが、この一帯に、複数の王を束ねる『オークエンペラー』がいるのかもしれない」


「オークの皇帝?」



うわぁ、めっちゃRPGの終盤に出てきそうなヤバい名前出た!!



「ああ。もし実在するとなれば、オーガ王並みに危険な敵だ」


「も、もしかして、この街に攻めて来るとか?」


「わからない。しかし領主様に至急相談せねばならない事態だ」



うわー、完全に巻き込まれフラグ立ってるじゃん。のどかな冒険ライフはどこ行ったの!?



「あ、あの! 私達に何か出来る事はありますか!?」


「いや大丈夫だ。今のところは憶測でしかないから、特別な要請は出さない」


「そ、そうなんですね。よかった」



ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間。



「ただ、緊急時には全冒険者に招集をかけるから、その時はぜひ手助けをお願いする」


「わかりました(断れる空気じゃないよね、これ)」



重い空気が流れる中、トルーネさんが「あ」と小さく声を上げた。



「忘れておりました。ユイさん宛にメッセージが届いていたのでお伝えしておきますね」


「え? 私?」


「はい。オウディス冒険者ギルドの『椿』から、お伝えしたい事があるので来て欲しいとの事です」


「椿さん? なんだろう?」



わざわざメッセージを送ってくるなんて珍しいね。



「内容は記載されていませんのでわからないです」


「わかりました。また今度訪ねてみます」


「はい、お願いします」



その後、私達はオーク王討伐の報酬をもらってギルドを後にした。

お財布はずっしりと重くなったのにオークエンペラーの不穏な気配のせいで、私の足取りは信じられないくらい重かった。

本当、余計なトラブルは勘弁してほしいよ。

いつも読んでいただきありがとうございます。

私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。


また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。


最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。

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