215話 リアの清掃活動!?
活気あふれる街のメインストリート。
行き交う馬車や、屋台から漂う香ばしい肉の匂いを背景に、私達は道のど真ん中で立ち尽くしていた。
「あれ? リア達は何処に行ったのかな?」
私は背伸びをして、人混みの向こうを見渡した。
「う~ん、見当たらないね」
隣でブルーナも困ったように首を傾げている。
さっきまでギルドの前にいたはずのリアとマニカの姿が、綺麗さっぱり消え失せていたのだ。
神隠しかな? いやいや、あの二人を攫えるような命知らず、この世界にそうそういないよね。
「絶対、マニカが何か面白い物を見つけて、わーって走って行っちゃったパターンでしょ、これ」
「ふふふ、ありえそうね」
ブルーナが苦笑いする。マニカの自由人っぷりは今に始まったことじゃないしね。
「どうしようか、この辺りで待ってる?」
「うーん、私はここで待ってるから、ブルーナは先に商会に行ってて?」
このまま全員で足止めを食らうのも効率が悪いしね。
「いいの?」
「うん、 確か、この道を進んで二つ目の筋を右って言ってたよね?」
「うん、合ってる合ってる。じゃあ先に話を通してくるね」
「うん。マニカ達が戻って来たらそっちに行くよ」
「わかった。じゃあ先に行って来るね」
「はーい、気をつけてね」
ひらひらと手を振ってブルーナを見送った後、私は近くの建物の壁に寄りかかってぼーっと通りを眺めていた。
暇だ。当ても無く探すわけにもいかないし、マジでやることないね。人間観察でもするしかないじゃん。
しばらくそうして待っていると、人混みを縫うようにして、見覚えのある小柄な影がタタタッと駆け寄ってきた。
マニカだ。
「あ、ユイ! 待たせちゃった?」
「もう、遅いよー! あれ? リアは一緒じゃないの?」
息一つ切らしていないマニカの背後を覗き込むが、もう一人の姿はない。
するとマニカは、まるで「今日のおやつはクッキーだったよ」くらいのテンションで、とんでもないことを口走った。
「ああ、なんか路地裏にバカな集団がいたから、リアが潰しに行ったよ」
「・・・え?」
思考が三秒ほどフリーズした。
え、今なんて? 『潰しに行った』? いやいや、何の抗争だよ!?
「私はユイ達にその事を伝える為に、一旦戻って来たの!」
えっへん、と謎に胸を張るマニカ。いや、そこ褒めるとこじゃないから!
「えっと、それ大丈夫なの? トラブルになってない?」
「大丈夫だよ、いつもの事だし!」
いつもの事!? 街に着くたびにチンピラを物理的に粉砕してるの!? 治安維持活動としては満点かもしれないけど、レディとしてどうなの?
「そ、そう? でも、ほどほどにするように言っておいてね?」
「うん、それでね、もう一つ伝える事があって」
「何?」
「この道を進んで二つ目の筋を左に行くと、すごく良さそうな宿屋があったから、もう6人部屋を取っておいたよ!」
おや?
「そうなの? それはありがとう。めっちゃ有能じゃん」
「えへへー!」
さっきの物騒な報告から一転、素晴らしい手際だ。この落差は何なんだ。
「じゃあ、ブルーナが向かった商会とは、ちょうど反対の方向だね」
「そうなんだ。あ、ブルーナは?」
「先に商会に行ってもらったよ」
「そっか。じゃあ私、リアのところに戻るね! 終わったらリアと一緒に帰るから、ユイ達は先に宿屋で待ってて!」
「わかった。じゃあ、ブルーナの用事が終わったら、先に宿屋に行っておくね」
「うん、じゃあ、また後でー!」
マニカは再びタタタッと来た道を戻っていった。その後ろ姿を見送りながら、私は深いため息を吐き出した。
「絶対トラブルだよね、あれ」
バカな集団(おそらくタチの悪いチンピラか何か)の安否が本気で心配になってきた。いや、自業自得なんだろうけどさ。
「でも、これでまた、この街で『ヤバい奴ら』として恐れられる存在になっちゃうのね」
「黙っていれば、二人ともすっごい可愛い美少女なのにね?」
「ね~」
中身が戦闘狂じゃなかったら、絶対ファンクラブとかできてるレベルのビジュアルなのにね。
「ほんと、勿体ない」
誰もいない空間に向かって、私は一人同意するように呟いた。
さてと。
これ以上ここで待っていても仕方ないよね。
私達はブルーナを迎えにいくべく、歩き出した。
とりあえず、早く宿屋のふかふかのベッドでゆっくり休みたい。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。




