212話 クーラの街の冒険者ギルドへ
馬車を街の入り口付近で降りて、アイテム袋に収納。
馬を近くの預かり所に預けると、私達はいよいよ冒険者ギルドへと歩き出した。
「うわ〜……めっちゃ目立つね、私達」
一歩街に入った瞬間、周囲からの視線が突き刺さる。
まあ、当然だよね。この世界の住人はみんな、茶色とか灰色とか、泥みたいな色の服ばっかり着てるんだもん。
そこに、白と黒のフリフリお揃いコーデで武装した美少女軍団が現れたら、そりゃ二度見もするでしょ?
「私は全然気にしないわ。むしろ見せつけてやるくらいの気持ちよ」
リアは相変わらずの鉄面皮でスタスタ歩く。かっこいいけど、ちょっとは自意識ってものを持とうよ。
「私も、視線が痛いっていうか、なんか落ち着かないよ〜」
メティナはまだスカートの裾を気にしてる。大丈夫だって、黒に染めたから見えてないから!
「ふふん、私達の着ている服が羨ましいのよ。もっと見てもいいよ? 私は歓迎するよ!」
マニカは無駄にポーズを決めてる。その自信、どこから来るの?
「まあ、でも確かに。この辺りで色付きの服を着ている人は全然見かけないね」
ブルーナが少し申し訳なさそうに言った。
「ごめんね、ユイ。うちの商会も、まだここまで流通を広げられていなくて」
「そんなの、ブルーナが謝ることじゃないよ。輸送距離だってあるんだし」
「でも、ユイの夢は『鮮やかな世界を広げること』でしょう? 私の力が足りなくて、まだ世界はこんなに茶色いまま」
「ゆっくりでいいんだってば。一気に変えちゃうと、みんなビックリして心臓止まっちゃうかもしれないしね」
実際、私の夢はこのモノトーンな世界に「色彩」をぶち込むことだ。
でも、現実問題として物流とかコストとか、色々あるんだろうな。
「この街には、ロスさんの商会の支店はないの?」
「あるよ。でも、やっぱり輸送の優先順位は王都に近い方が高いからね。ここみたいな最果ての街にまで新しい生地が届くのは、まだまだ先になりそうかな」
「そっか〜。あ!」
私はいいことを思いついた。
「ねえ、もしよかったら、この街の支店にある在庫の生地、私が今ここで染めちゃおうか? 直接作業すれば輸送コストもゼロだし」
「えっ!? いいの、ユイ?」
「うん。役に立てるなら全然やるよ。あ、もちろん商売の邪魔にならない範囲でね」
「ありがとう! じゃあ、後で私が商会に話を通して調整してくる。明日にでもお願いできるかな?」
「オッケー。任せといて!」
よしよし、これでクーラの街も少しはカラフルになるかな?
そんな建設的な話をしながら歩いていたんだけど。
「ねえ、ねえ、お腹空かない? 私、もう限界なんだけど」
マニカが腹を押さえて弱音を吐き出した。
「私も〜。朝から何も食べてないもん。お腹空いた〜」
テミスまで便乗してきた。確かに、結構歩いたもんね。
「じゃあ、良さそうな店があったら入ろっか」
そう言ってから、さらに20分。
私達は首を傾げることになった。
「ねえ。なんでお店が一軒もないのよぉぉ!」
マニカが絶叫する。
本当に、おかしい。食堂どころか、喫茶店の一軒すら見当たらない。
「変だね。普通、門の近くって一番お店が立ち並んでるはずなのに」
ブルーナが地図を広げて、「あ!」と声を上げた。
「ごめん! 忘れてた。この街、こっち側は『裏門』だったんだ!」
「はえ? 裏門?」
「うん。王都から見て反対側が正門だから、こっちは主に倉庫街とか住宅街なんだって。だからお店が全然ないの」
マジか。
私達、裏口からコッソリお邪魔しちゃった感じ?
道理で倉庫とか、怪しげな建物ばっかりだと思ったよ。
はあ、真実を知って余計にお腹空いてきたよ。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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