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戦極結承 ◇◇ ~バッドエンドへ向かう少女の物語~  作者: 空斬しゅう


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209/215

209話 ディネのスパルタ教育

ミリルナの街を出発し、目的のクーラの街へ向かってから数日がたった。

私たちの旅は、特に大きなトラブルもなく超順調に進んでいた。

鬱蒼とした森を抜け、視界が一気に開ける。

どこまでも続く青空と、風に揺れる緑の草原。



「ん~っ! もう、完全に山を抜けたね!」



私が大きく伸びをしながら言うと、隣に座っていたリアが風になびく髪を押さえながら頷いた。



「そうね。この調子だと、予定通り明日にはクーラに着きそうね」


「でもさー、こんなに開けた土地にオークなんて出るのかな?」



マニカが周囲をキョロキョロと見渡しながら首を傾げる。



「ねー。これだけ見晴らしがいいと、どんなに遠くても、あんなバカデカい魔物なんて直ぐに見つかるよね」


オーク。ミリルナの冒険者ギルドで、受付嬢のお姉さんに半ば強引に押し付けられた討伐依頼のターゲットだ。


「オークって、そんなにデカいの? 私のイメージだと豚の獣人みたいな感じなんだけど」


「えっとね、大きさはオーガを横に一回り大きくした感じかな? 筋肉と脂肪の塊って感じ」


「うわ、ゴツそう」


「でも、動きはノロマだからね~。格好の的だよ、あんなの」



マニカは余裕しゃくしゃくといった感じで笑う。



「それは、マニカの規格外な攻撃力があるから言えることだよ?」



ブルーナがツッコミを入れると、テミスも同意するように頷いた。


「そうだよ。普通はあの分厚い皮膚と脂肪のせいで、剣が急所まで届かずに倒すのを苦労するって聞いた事あるし」


「まあ、そうかもね。でも、、」


チャキッ。


リアが腰の刀の鯉口をわずかに切って、刃を輝かせた。



「私も早く、この刀でオークを斬りたいわ。ふっふっふ、、」


「リア? だから危ない人に見えるから、ニチャアって笑いながら刀を抜くのやめてね? 」



私が慌てて止めに入る。

ホント、ウチのパーティーは戦闘狂バトルジャンキーが多くて困る。


そんなワチャワチャしたやり取りをしていると、不意にパーティーの引率役(?)でもある精霊のディネが、スッと前方を指さした。



「試し斬り、できそうだよ」


「ん?」


「いるよ?」


「何が?」


「オーク」


「えっ?」



ディネが指差した遥か彼方の地平線。

目を凝らすと、そこには土埃を上げながら蠢く、巨大な肉の壁のような集団の姿があった。



「本当だ」


「ってか、なんか思ったより多くない!?」


「二、三十匹ぐらいいるわね」


「しかも、真ん中にいる一匹は他よりさらに一回り大きいね。レアタイプかな?」


「いやいや、いくらなんでもこんな見晴らしの良い場所に、あの数のオークが群れでいるのは異常でしょ?」



しかしディネが嬉しそうな、いや、底知れぬドSな笑みを浮かべてオークの群れを見つめた。



「フフフ……確かに良い的ね?」



嫌な予感がする。ディネ先生のスパルタスイッチが入った音がいま、明確に聞こえた。



「テミス、メティナ。あれで練習しようか」



ディネの言葉に、名前を呼ばれた二人がビクッと肩を震わせる。



「えっ!? で、でも! あの魔法、まだ完成してないですよ!?」


「そんなの実戦で完成させるものだよ? ほら、早く準備して」


「「…………っ!」」



テミスとメティナが、子犬のような涙目で私に助けを求めてくる。

ごめんね。

私はそっと目を逸らし、顔を横に振った。



「頑張れ~」


「「…………っっ!!」」



二人の絶望に満ちた無言の抗議が突き刺さる。



「仕方ないわね。ここはメティナ達に獲物を譲るわ」



リアが残念そうに刀から手を離した。



「うん、そうだね。私設応援団に回るよ」



涙目のテミスとメティナは、覚悟を決めたように前へと進み出たのだった。

いつも読んでいただきありがとうございます。

私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。


また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。


最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。

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