205話 絶壁の攻防と、まさかのハプニング!2
後方の二人は少し休むとの事だったので、私は構わず前の二人の後を追った。
しばらくして、今度は先導していたトウガから注意が促された。
「止まれ! 今度は上から突風が吹き下ろして来るぞ!」
再び全員がその場に止まり、岩にしがみつく。
直後、思っていた以上の強風が上から叩きつけるように吹き下ろして来た。
うわ〜、凄い風圧だ! これ、本当にしっかり握っていないと振り落とされそうになるね。
先を行くトウガとゲルは、後続の安全を確認する為に下を見下ろした。
「ユイさん! 大丈夫ですか!」
「大丈夫です!」
「「うおおおおおおおおっ!?」」
今度はトウガとゲルが見下ろした先。
上からの強風によってユイの胸元が大きくたわみ、服の隙間から中身の二つの果実が、上からバッチリと丸見えになっていた。
それを見た二人もまた、顔を真っ赤にしてその場にうずくまるようにしゃがみ込んだ。
「すいません……少しだけ、休憩させてください」
「ごめん……動けない。色んな意味で」
「? わかりました」
ユイは再び不思議そうに首を傾げ、二人の体調が回復するのを大人しく待った。
その後、全行程の9割ほどを進み、いよいよ山頂が見えてきた所で、トウガが鋭い声を上げた。
「上空に鳥の魔獣がいます! 恐らくこっちを狙ってます。ユイさん! 殲滅できますか!?」
「はい、こちらでも確認できました! 視認できる距離まで接近したら殲滅します!」
「お願いします!」
鳥の魔獣たちは私達を餌だと認識したのか、キーキーと甲高い鳴き声を上げながら一斉に急降下して襲い掛かって来た。数はざっと50匹以上。
「来たっ!!」
私は両手で岩をしっかり掴んだまま、頭だけをグッと上に向けて狙いを定める。
視界に入って来た魔獣たちを片っ端からロックオンし、無詠唱で放つ『アイスアロー』の弾幕で次々と撃ち抜いていった。
空中に無数の氷の矢が出現し、正確に魔獣の急所を貫く。
「「凄ぇーー!!」」
「あんなデタラメな魔法、見た事ないぞ!?」
ものの数秒で群れの殲滅は終わった。
……んだけど、ここで想定外の出来事が起こった。
上空で撃ち抜かれ、氷漬けになった鳥の魔獣の死体が、バサバサバサーッ!と頭上から大量に落ちて来たのだ。
質量を持った氷の塊が降ってくるようなものである。
「ご、ごめんなさい! 皆さん大丈夫ですか!?」
私の問いかけに、男たちは笑って答えてくれた。
「ははははっ! 大丈夫、大丈夫!」
「これぐらい気にするな! 護衛としては完璧だ!」
「ああ、体にかすりそうなのは精々1~2匹程度だ!」
まあ、確かに殆どは私達の背後の空を落ちて行くだけだね。
そう安心した直後だった。
「痛っ」
不運な事に、周りの状況を確認する為に横を向いてた私の目の前スレスレを落ちていった魔獣の鋭い爪が、私の頬をわずかにかすめた。
チリッとした痛みが走る。
「ユイさん、大丈夫ですか!?」
「大丈夫です、ちょっと掠っただけなので」
私はとりあえず無詠唱の回復魔法を自分にかけて、頬の掠り傷をスッと消した。
そして気を取り直して岩登りを再開し、数分後にはついに目的の山頂付近の平地に辿り着いた。
「ふう〜、着いたー! 楽しかった!」
私が崖を登り切って一息ついていると、直ぐに男たちも次々と登り切ってきた。
全員が平地に揃ったところで、口々に無事を祝って笑い合う。
「皆さん、お疲れ様でした!」
私も全員に向かって笑顔でお礼を述べた。
……けれど。
その瞬間、男たち全員が私を直視したまま、ピタッと石像のように固まった。
え? 何で? 私、何かおかしな言い方した? え??
「・・・えっと?」
私を見て数秒間フリーズしていたマキさん達は、やがて硬直が解けたようにボソッと呟いた。
「えっと、その、非常に言いにくいのですが・・」
「はい?」
「服が裂けてて、その、モロ、です、、」
「、、は???」
最初はマキさんが何を言っているのか全くわからなかった。
けれど、全員の視線の先を辿って自分の胸元を見下ろした瞬間――私の思考は完全に停止した。
さっき魔獣の爪が頬をかすめた時、どうやら同時にキャミソールの胸元も大きく切り裂かれていたらしい。
布地がパカッと左右に大きく開いていて、完全に、モロ出しになっていた。
風が吹くたびにスースーする。
え? えええ? ええええええっ!?
「きゃあああああああああああああああああっ!!」
私は山頂に響き渡るような悲鳴を上げ、慌てて右手で隠すと、左手でアイテム袋から予備の服を引っ張り出した。
一応作っておいた、クライミング用のスポーツブラだ。
完全にテンパった私は、後ろを向くことすら忘れて、男たちの真正面に立ったまま着替えを始めてしまった。
しかも、破れたキャミソールを脱ぎ捨てるのに必死になるあまり、胸を隠していた右手まで離してしまうという痛恨のミス。
なんとかキャミを脱ぎ捨ててスポーツブラを着けようとしたんだけど、焦りすぎて腕が上手く通せず、モタモタと手間取ってしまった。
その間、私の全ては男たちの目に焼き付けられていた。
ようやくブラを装着し終えてホッとしたのも束の間、今更ながらに強烈な恥ずかしさが込み上げてきて、私は顔から火が出そうな思いで下を向いた。
「「ごめん!!」」
「「ごめん!! 見るつもりはなかったんだ!!」」
「本当にごめん……!」
男たちが一斉に平謝りしてくる。
「こ、これで私の依頼は達成だよねっ!? 護衛は終わったもんね! 私、先に帰るから」
「わ、わかった。本当にすまない!」
限界突破した羞恥心をどうにかする為、一秒でも早くこの場を離れる口実が欲しかった私は、そそくさとその場を離れた。
そして、帰り用に張られていたロープを掴むと、振り返りもせずに一人で猛スピードの垂直降下を始めたのだった。
私の背後からは、「あんなに急いで降りて大丈夫か!?」という心配の声が聞こえていたけれど、今の私には一切届いていなかった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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