199話 ドレスと、新作生地の真実
それからモデルの周囲には人だかりが出来た。
招待客達は遠慮無くモデルの近くまで来て生地をガン見している。
私の回りにも人だかりができているけど、見るならちゃんと生地を見てね?
胸とかお尻の辺りばかり見るなよ?
そんなに近づいてガン見されると流石に透けて見えているかもしれないし。
「ちょっと? 近すぎです」
「ああ、すまない」
男はそう言って離れて行った。
「少ししゃがんでもらえないか?」
は~い! 何て言うわけないでしょう?
バカなの? 単なるエロ親父じゃない!
このスカートでしゃがんだら丸見えじゃない。
フラグは回収しないよ?
だからしっかりと拒否しておいた。
「それは無理です!」
「じゃあ、足を肩幅ぐらいに開いて立ってくれないか?」
「まあ、それぐらいなら」
「「「おおおおおお」」」
なぜか歓声が上がった。
え? 透けてないよね?
私はスカートを見たけど大丈夫だった。
でも、私の回りの男達はしゃがみこんで、ガン見している。
あ!
「それ以上、下から見るのは止めて下さい」
さすがに、このスカートであれだけしゃがんで覗かれたら見えちゃうからね。
しっかり断っておかないと。
あ~ 鬱陶しい。
だから生地を見ろよ、生地を!
それからしばらくは生地とは関係の無い所ばかり見るバカ共の視線にさらされる事になった。
いい加減イライラが頂点に達しそうになった頃にお披露目終了の合図が鳴って、やっとモデルの仕事が終わった。
「はあ、疲れた」
「お疲れさまでした」
「今日は本当にありがとうございました」
「こちらが、お約束していた新商品の生地でございます」
「ユイ様はAの生地のドレスを着用されていたのでAの生地をお渡しします」
「また、そのドレスもお譲りいたします」
「ありがとうございます」
「それでは、これで失礼しますね」
「お、お待ち下さい。こちらのロングポンチョを羽織って下さい」
「ありがとうございます」
私はポンチョを羽織って、手配されていた馬車に乗り、宿屋に向かった。
疲れ切っていた私は宿屋に着くと足早に部屋に向かった。
「はあ、本当に疲れたよ・・」
「特にやらしい男どもの視線はウンザリだったね」
私はポンチョを脱いでドレスのまま、鏡の前に立った。
「本当、このドレスはきわど・・・・・」
「え?」
下を向いてドレスを見た。
鏡を見た。
もう一度下をみてドレスを見た。
そして鏡を・・・・・
「きゃああああああああああああ!?」
「え?」
「え?」
「どういう事?」
私は貰った生地に張ってある紙をよく読んでみた。
この新商品の生地は正面以外から見ると全く透けないが、正面から見ると透けて見える魔法のような生地です。
・・・・・正面から、見ると?
正面?
私は再び鏡の中の自分を見た。
「きゃああああああああああああああああああ」
そういえば・・・ 肩幅に足を開いて立ってから鏡を見た。 ・・・・うん、**ダメなやつ**だった。
私は現実逃避をするべく、魔道具を取り出して実験に没頭する事にした。
そして、朝になって**「結界(防音)」**を作動させていなかった事に気づいた。
「きゃあああああああああああああああああああああああ」
・・・・私、もうこの街には来ない様にしよう。
そしてコソコソと逃げる様に転移魔法で王都に帰った。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次週は【完全版】の方を更新する為、こちらはお休みです。
今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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