185話 メイドさんと、契約の証
「それは止めて下さい。本当に」
「失礼しました。ただ噂通りの方だと思いまして」
また聖女だとか噂が広まったら大変だからしっかりとクギをさしておいた。
一方、奴隷の子達は目を見開いて固まっていた。
「そんな、好条件・・」
「うそ、」
「本当に・・」
「奴隷の私達の幸せの為?」
まだ現実と受け止められていない奴隷の子達にブルーナが声をかけた。
「ユイが言っているのは本心からだから本当の事だよ?」
「私が保証するよ。 まあ、思い付きで行動しちゃう天然なところがあるけどね」
「ちょ、ブルーナ酷い!」
「あなた達も、そんなに深く考えないでいいからね?」
「だから、これからよろしくね」
「「「はい、よろしくお願いいたします」」」
その後、魔道具を使って、奴隷の契約作業が終了した。
私はその作業をじっくりと観察していた。
恐らくレベル3の闇魔法だね。
何度も見せてもらったから私でも使えるね。使わないけど。
それと契約をした奴隷の首筋には刻印が現れていたんだけど、タトゥーみたいでカッコイイなんて思った事は怒られそうだから黙っている事にした。
まあ刻印は後ろ側だから少し長い髪を下ろしておけば全く見えないしね。
「本当にこんな破格の好条件で契約してもらえるなんて」
「うん、期待に応えれるように頑張ろうね」
「うん、頑張る」
皆、笑顔で喜んでいるから一安心だよ。
「う、ううう。 グスン」
ん? 声がした方を見るとライラが、顔を覆って泣き出してしまった。
私は慌ててライラにかけよった。
「どうしたの?」
「すいません、大丈夫です、ごめんなさい」
「謝る必要なんてないよ? 大丈夫だから」
私はライラを抱き寄せて落ち着かせた。
でも、ライラは「ごめんなさい」と謝ってばかりで大泣きしてしまった。
「大丈夫。大丈夫だから。安心して」
私はライラが落ち着くまで抱きしめて励まし続けた。
しばらくしてライラは平常心を取り戻したけど、恥ずかしそうに下を向いていた。
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です。ご迷惑をおかけしました」
「どうしたの? 契約の内容で何か困った事でもあった?」
「とんでもないです、感謝しかありません」
「話しずらい事なら無理にとは言わないけど、出来れば今後の為に教えて欲しいかな?」
「私はこの手の事がよくわかってないから」
「あの、でも本当にくだらない事ですが・・」
「いいよ」
ライラは少しづつ話しだした。
「私なんかが、人並みに生きる道を用意されていると思うと感傷的になってしまいました。ただ、生きる事だけが目的でしたので・・」
貧困の為、親がライラを奴隷商に売った事。
同郷の友達と一緒に売られて来たけど、可愛くてスタイルもよかった友達は、早々に上客のみの特別オークションに売られる事が決まった事。
最初は友達が羨ましく思っていたけど、後々にわかった事はそれが性奴隷専属だという事。
そして、悪評ばかり聞こえてくるソコに行けば、長くは生きられないとわかった事。
だけど私はご主人様に恵まれて教育を受けさせてもらえた上に、生きる希望(自由)も与えてもらえた事。
「そんな事を思い返していると涙が止まらなくなりました」
「そっか、ごめんね。 教えてくれてありがとう」
「ちなみに、その友達の・・えっと」
「名前はデメテルです」
「うん、デメテルは何処に売られたの?」
「わからないです」
「一年に一回だけの特別オークションは今月とだけしかわかりません」
「でも、そろそろ終わっている時期だと思うから、仕える場所も決まったと思うのですが、私にはわからないです」
「そうなんだ」
「ユイ・・・」
「あ、ごめんね。次は何をすればいいのかな?」
「取り合えず、今日の所はこれで終わりだよ」
「そっか」
「今日は準備をしてもらって、明日から我が家で働いてもらう事になるよ」
それから、今後の事を話して私達は帰宅した。
いつも読んでいただきありがとうございます。
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また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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