177話 新たな領域へ
「どう? 魔法による身体強化は有能ってわかったでしょう?」
「ええ、羨ましい能力だわ」
「あなた達も練習して使えばいいのよ?」
「残念ながら私達は魔法が使え無いのよ」
「それは魔法を表に出せないって事でしょ?」
「ん? 魔法を使えないって事よ?」
「魔法はね、魔力を練って、属性を加え、引き金を引いて発動する。それは本来、人族の体では難しい事なんだよ」
「でも、外に魔法を作るのが苦手な人でも、内に魔法を発動するのなら得意な人はいるハズだよ」
「人族って、【外に出せない= 魔法が使えない】と思って諦めている人がほとんどじゃない?」
「まあ勿論、適性はあるけど、私が見た感じたリアは風、マニカは火の適性があるように見えるからね」
「それに二人とも闘気を体内で圧縮して身体強化魔法のような使い方をしてるから、魔法を感じられる様になって、魔力を練る事が出来れば、身体強化魔法は使える様になると思う」
「後、それに魔法を重ねる事が出来たら、接近戦では私でも勝てなくなるんじゃない?」
「本当? やったー! 私頑張る!」
「私も久しぶりに、時間を忘れて修練に打ち込んでしまいそうだわ」
「よかったね? まだまだ強くなれるんだって」
「サラも、ありがとうね」
「いいよ、それに私達がいない時にユイを助けてくれたお礼もかねてるからね?」
「ありがとう」
私は妖精達をまとめて抱き締めた。
「そうだ、ユイ? マニカとリアの魔法の触媒を作って欲しいの」
「うん、直ぐに作るから待ってね」
「待って! 触媒はブレスレット型じゃなくて、マニカはチョーカー型、リアはベルト型にしてくれない? 二人は手で魔力を感じるより、その位置の方がいいと思うの」
「そっか~、わかった」
「でも位置的に木や金属は駄目ね、布では魔石を取り付ける強度が足りないよね」
「防具の継ぎ目に使っている厚手の布はあるけど、理想はやっぱり革かな~」
「使った事がないけど、私が持っている中で使えそうなのは蛇神の革かな?」
「あ、牛の革も持っているんだった。そっちの方がいいのかな?」
「う~ん」
「ユ、ユイ? そんなにこだわらなくてもいいわよ?」
「うん、適当に作ってくれたら・・」
「え? でも見える位置に付ける物だし、可愛い服と一緒に付けても大丈夫な物にしたいし」
「妥協はできないよ?」
「「・・・・・」」
そのやり取りを見ていたブルーナは苦笑いをしてユイに声をかけた。
「ユイ? こだわって作った物は後日でいいから、練習用に簡易の物を作ってあげたら?」
「リアもマニカも今すぐ練習したいよ~って顔をしてるよ?」
「え? ああ、そう? わかった」
『ブルーナ、ありがと~』
『ユイが嬉しそうに思考してるから、今すぐ作ってって言うのを躊躇ったよ、私』
『私も、練習出来るのは数週間先になる覚悟をしたわ』
『ユイはこだわりだしたら、周りが見えてないからね~ 言ってあげないと気づかないから』
『あの状態のユイに声をかけられるのはブルーナぐらいだよ?』
「ん? 何をコソコソ話しているの?」
「何でもないよ~」
「そうなの? まあいいか」
「はい、出来たよ。 取りあえず、これで練習をしてて」
「ちゃんとした物は後日渡すからね」
私は厚手の布で作った魔法の触媒をリアとマニカに渡した。
「「ありがと~」」
その後、二人は嬉々として魔法の練習を始めた。
しかも、魔法に精通した精霊二体がマンツーマンで指導している。
魔力の流れを見ながら細かく正確に教えている、あれは人には出来ない教え方ね。
それから、何やかんやしているうちに、いい時間になったので街に帰る事にした。
「じゃあ、私達はしばらく、この森で過ごしているね」
「シフ、サラ、ありがとう」
「いいですよ、この森も過ごしやすいですから」
「うん、二人の修行場所に丁度いいしね」
「頑張るぞ~」
「私も早く続きがしたいわ」
「駄目ですよ? ちゃんと休まないと明日の修行は中止ですからね?」
「わかってるわよ」
「うん、ちゃんと休む」
明日からマニカとリアは、ここに通ってシフとサラに修行をつけてもらう事になった。
最初はここで寝泊まりをするって言ってだけど、魔力の修行にはしっかりとした休息が必要だから駄目って断られてた。
「あっ、ユイ? 今度、MP増加装備を作る予定なんだよね? じゃあ、あの子にも作ってあげて?」
「あの子?」
「ヘスティアの所で召喚魔法を習得した、もう一人の人族の子」
「ああ、リーニさん?」
「そうそう」
「それはいいけど、どうして?」
「あの子の妖精はずっと成長を拒んでいるの」
「え? どういう事?」
「あの子の妖精にも名前をつけたがっていたんだけどMPが足りてなかったのよ」
「でも2年程前にMPが1500に達したんだけど、名付けしてMP0になるのは心配だからって延期にしてるのよ」
「本来なら数年前に中位精霊になれる条件は得ているのに、名付けをしてもらう為に下位精霊のままでいるの」
「そうなんだ、やっぱり皆、名前が欲しいんだね」
「あ~ 違うよ」
「名前をつけたいって言ってるのは人族の子よ? その子の希望を叶えるために成長を止めているのよ」
「そっか、その妖精もリーニさんの事が大好きなんだね。優しい妖精だね?」
「ふふふ、そうなの」
「わかった、私が何とかするから心配しないで」
「うん、お願いね」
そして、私達はシフとサラだけを残して妖精達を帰還させ、一度みんなで街に帰った。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。




