171話 天才と呼ばれた男と、達人たちの驚愕
【彼】は、盗賊から奪った武器を使って次々と敵を殲滅し始めた。
マニカやリアみたいに派手さは無いけど、必要最低限の動きで波いる敵を次々と屠って行った。
「お前らみたいな、何の技術もないヤツらが、何百人いようと俺の敵ではないな」
その言葉が肯定する通り、一切の傷を負わなかった。
私は【彼】の戦いを見ていた。
『凄い!』
背中に目があるの? って思うぐらい全ての攻撃を避けている。
そして、スッと敵の急所を突いて倒していく。
「なんだコイツは? 当たらねえぞ?」
「当たりそうで当たらない!」
「こいつは魔法使いじゃないのか?」
「こんな動きは見た事ないぞ?」
「ぐあっ」
1度も攻撃を受けないまま、既に半分以上の敵を殲滅していた。
「ねえ、リア? 起きてる?」
「ええ」
「ユイが武器で戦っているよ?」
「ええ」
「あの動きヤバくない?」
「・・・」
「私、攻撃を当てる自信が無いんだけど?」
「ええ、当たらないでしょうね」
「一撃は私の方が大きいよね?」
「そうね」
「剣速はリアの方が早いよね?」
「そうね」
「踏み込みも私達の方が早いよね?」
「そうね」
「でも、勝てないよね?」
「勝てないわね」
「意味がわからないんだけど?」
「あれは、私達が目指して修練してきた【強さ】とは全く違うモノよ」
「マニカは撃ち負けない【一撃の威力】を追求し、私は後だしでも負けない【剣速】を追求した」
「私達は長所を伸ばし強化する事で、誰にも負けない【強さ】を手に入れた」
「でも、あれは力や速さで打ち勝つ事を目指していない」
「全て避ける事を前提で相手を間合いに誘い込み、武器で相手の急所に触れるだけ」
「斬られた奴を見ていると即死では無く、致命傷を負っているでしょ?」
「ほら、今のもナイフで首を触る程度で何の威力もないけど、完全な致命傷よ」
「でも、なんで当たらないの?」
「恐らく、向かって来る全員の動きを完全に把握して、何十手も先まで動きを先読みして動いている」
「そんな事が可能なの?」
「無理よ? そんなの修練のしようが無いわ」
「初めから、そんな事が出来る才能を持っていないとね?」
「凄いね~」
「ええ、本当に」
しばらくして、殲滅が終了した。
『これで後は大丈夫か?』
『はい、ありがとうございました』
『凄かったです』
『まだ、砦内には数名は残っているから気をつけなよ?』
『はい、それぐらいなら大丈夫です』
『じゃあ、俺は行くから、また何かあれば呼んでくれ』
『え? 魂の召喚は一回だけなので・・』
『俺の魂は君の中にあるから、その制限は対象外だよ?』
『そうなの?』
『現に俺は召喚されて30分近くたっているしな』
『ああ、そういえば』
『じゃあ、また何か聞きたい事があれば呼ばせてもらいますね?』
『わかった』
『じゃあな』
『はい』
「ふう~、何とかなった~」
「「 ユイ! 」」
マニカとリアは私に駆け寄って来た。
「二人とも大丈夫?」
「ええ、お陰で傷はふさがったから私達は大丈夫よ」
「ユイは? 本当に何もされなかった?」
「うん、本当に何もされてないから大丈夫だよ?」
「こんな、危険な所まで助けに来てくれて本当にありがとうね、マニカ。リア」
「当たり前でしょ? 友達なんだから」
「そうだよ?」
マニカはそう言って私に抱きついてきた。
「はあ~、癒される~」
「こら、マニカ!」
「いいよ、今日ぐらいは」
私もマニカをギュッと抱きしめた。
「そうだ! ユイ? さっきの武術は何?」
「本当だよ? なんだったのアレは?」
私は【彼】の事だけを隠して二人に説明をした。
「~それで、体を自動で動かす魔法をかけて戦ったの」
「凄いね~、あれは自動で動いていたんだ」
「うん、私の意思で動かしていないよ」
「それに触媒無しで魔法を発動させるなんてね?」
「私も必死だったから」
「さすが、ユイだね」
「そうね、全ての発想がぶっ飛んでいるわ」
え? 何か酷いこと言われた気がするのだけど?
「さあ、取り敢えず外に出よう」
「あ、待って。 私の荷物が多分この奥の部屋にあると思うの」
「うん、じゃあ私達が、先行するよ。まだ残党がいるから」
「うん、お願いね」
そして、私達は残党を処理しながら、私の装備一式を回収して、カインさん達と合流した。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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