169話 友達の為に
私達は依頼を達成し、王都の冒険者ギルドに戻って来た。
既に報酬は受け取ったけど、話があったからビオラさんの帰りを待っていた。
「ユイはもう王都に戻って来ているかな?」
「どうかな? 私達も結構早く戻ってこれたしね?」
「話したい事もいっぱいあるしね~」
「うん、作ってもらった武器の感想もちゃんと伝えないと」
そんな事を喋っていると、どこかでざわついている声が聞こえて来た。
「ん? なんだろう、受付で揉めている?」
「どこかのお嬢様っぽい子だね? 私達と同い年ぐらいに見えるけど」
「お金にものを言わせてわがままでも言ってるんじゃないの?」
確かにあり得そうだけど、凄く必死で、よく見ると泣いているように見えた。
そして、聞き逃せない言葉が聞こえた。
「お願い、ユイを助けて! ユイを・・・」
私は女の子に駆け寄って声をかけた。
「ユイに何かあったの? 詳しく教えて!」
私と同時に声をかけている女の子もいた。
そして教えてもらった内容は衝撃的なものだった。
ユイが捕まった?? 盗賊に?
横を見るとリアも絶句している。
捕まったのが昨日? もう間に合わない?
もしそうなら、ユイがもう笑ってくれないかもしれない。
生きる希望をなくしてしまっているかもしれない。
もし、もしそんな事になっていたら絶対に許す事ができない。
許さない。許さない。ユイを傷つけるヤツは絶対に許さない。
私は怒りの感情を抑える事が出来なくなった。
「ゆるさない! 絶対に許さない!」
「ええ、ヴァントス盗賊団は……皆殺しよ」
私達は途中で合流してきたカインと目的の場所に到着した。
まわりが何かを言っているけど、全く頭に入って来なかった。
今ある感情は盗賊団の皆殺し。
それ以外は考えてなかった
私とリアは洞窟に突入し、群がって来るゴミを駆逐しながら奥へ奥へ進んで行った。
確かに盗賊団は噂通り強かった。
しっかり連携して攻撃をしてくるし統率も取れているから、下手な軍よりも強かった。
それでも、私とリアを止めれる程のものではなかった。
私は後ろを**【見た】**。
カイン達はさすがだね。距離は離れているけど退路を確保しながら進んで来ている。
私の役割さえ果たせば、後は任せられるね。
「マニカ、どう?」
「うん、さすがだよ。しっかり退路を確保しながら進んでいる」
「じゃあ、大丈夫ね」
「うん、私達はここにいる8人の幹部を全員殺す!」
「それさえ出来ればカイン達が上手く脱出できるわね」
「うん、後の事は考えず全力で殺る!」
見えた! あの大きな扉のはず。
「じゃあ、予定通り私が先に行くね?」
「ええ、わかった」
私は雑魚を殲滅しつつ、目の前の大きな扉を破壊した。
ドゴォォォォン!!
その目に飛び込んできた光景は……裸で身体を押さえつけられて泣いているユイだった。
「殺す!!」
私の全ての理性が吹き飛んだ。
一直線にユイに向かって走った。
すると明らかに他とは違う洗練された動きをする者が、死角の無い連携攻撃をしてきた。
こいつらが幹部の4人か。
後はユイよりまだ後ろで動く気配が無い。
凄まじく早く力のこもった剣が私に迫ってきたけど、私は避ける事なく更に踏み込んで相手の胸に一撃を入れた。
ドスッ!
相手は即死したけど、惰性で動いていた剣が私を襲った。
私は傷を負ったけど立ち止まらなかった。
そして左右から全く同じ距離と速度で私に迫って来る剣。
私は左を無視して右の敵にカウンターで一撃を入れて相手を屠った。
バキッ!
無視した左の敵には背中を向ける事になって、大きく斬られてしまったけど、まだ大丈夫。まだ戦える。
気合で痛みを無視して、振り向きざま回転を利用したバックアンドブローでもう一人屠った。
ドガッ!
前を見ると剣が私のお腹に触れる寸前まで迫っていた。
でも私は前に出た。
わき腹をえぐられたけど、敵は私の間合いに入っている。
スキルを伴った蹴りをだして、敵の背骨を粉砕した。
ゴッ!!
そして再び前に加速し、ユイを押さえつけている3人を瞬殺した。
「ち、化け物め!」
この男も幹部なんだろうね、流れるような動作で剣をつかみ私に斬りかかってきた。
「だが、それだけの傷を負っているなら、俺の剣は避けられねえだろ?」
私は脚がグラついて倒れる様に前にかがみ込んだ。
「死ね!」
キンッ!!
私の真後ろから延びて来た刀は剣を大きく弾いて、もう一振りの刀が男の首を跳ねた。
ザシュッ!!
それと同時に後ろにいた幹部3人と、それに近い動きをする副官が6人の計9人が、いっせいにリアへ攻撃した。
リアも斬られながらも確実に一人ずつ殺して行き、最後の一人を屠った。
「バカな・・」
「なんだこいつら」
「化け物だ・・」
「幹部と副官全員が殺られたぞ」
「どうすんだ?」
残された盗賊達は混乱しざわめき出した。
「逃げるか?」
「バカを言うな、そんな事をしたら、後でお頭に殺されるぞ?」
「よく見てみろ、こいつらも限界だぞ?」
「これなら俺達がいっせいに攻撃したら勝てるか?」
「ああ、殺るか?」
「てめえら~! ビビるな! あいつらは、もう虫の息だ!」
「首を取ったやつは幹部候補だぞ?」
「おおお!!」
そして、いっせいに私達に向かってきた。 体はもう動かない。視界も霞んでいる。
それでも!絶対にユイは救い出してみせる!
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。




