166話 消えたユイと、絶望の報告
今日は朝早くからユイが蛾の討伐に向かった。
ユイの様子から嘘はついていないだろうけど、何かを隠している感じがした。
多分、言いにくい事なんだな~って思ったから私は何も聞かなかった。
娼館の関係者が絡んでいる所が少し気になったけど、ユイなら大丈夫だよね。
お昼過ぎまでには帰って来るって言ってたから、私は朝から掃除、洗濯、お買い物を済まして、お昼ご飯も作ってユイの帰りを待っていた。
「遅いな~」
もう直ぐ13時になるのにユイはまだ帰って来ない。
討伐に時間がかかっているのかな?
私もその時までは、そう思って心配はしていなかった。
でも、ユイが帰って来ないまま、夕方になってしまった。
何かとても胸騒ぎがする、嫌な予感ばかりが頭を過った。
(ユイが何の連絡もなしに遅くなるはずがない……)
私はユイが依頼を受けた娼館を探す為に、クレイノスさんの家に向かった。
そして、彼が奴隷を買った店の場所を聞いて、その場所に向かった。
ユイの話と、ある程度の予想をして、目星をつけた娼館に入った。
「こちらにベンダさんはおられますか?」
「はい、在籍していますが、本日は既に退社しています」
「でも、珍しいね、一昨日も彼女に用事があるって、女の子が訪ねて来たから」
うん、ビンゴだ。
「その女の子、ユイの事で話があると、店長を呼んでもらえませんか?」
「わかりました、しばらくお待ち下さい」
数分後、私は店の外に出ていた。 結論から言えば、あの店長は嘘を言っている。
「もう帰りましたよ」なんて、言ってたけどウソだとわかった。
しかも、ユイを罠にかけた可能性が大きい事に気づいた。
ヤバイ、これは本当な不味い気がする。
高鳴る鼓動を抑えながら、私は王都にある**「キューデ商会」**の支店に駆け込んで、情報を集める様に頼んだ。
私の越権行為になるのはわかっていたけど、手段を選んでいられなかった。
でも、従業員達は嫌な顔をせずに、総力を挙げて情報収集すると答えてくれた。
「お嬢様は1度家にお戻り下さい」
「もしかすると、ユイさんが帰って来るかも知れませんし」
「ありがとう、お願いします」
後から知った事だけど、王都にある家の商会の全従業員に緊急指令を出して情報収集に当たったみたいだった。
翌朝になっても、やっぱりユイは帰って来なかった。
事態が動いたのは朝7時頃だった。
従業員の一人が家に知らせを持って来た。
「蛾の討伐で罠にはめられて襲撃を受けたと、騎士支部に助けを求めた冒険者が数名来たと情報が入りました」
「何処の支部?」
「西門近くです。外に馬車を用意したので乗って下さい」
馬車を走らせ、その支部に着いた時には、新たにもう一人冒険者が現れて助けを求めて説明をしていた。
「では、その襲撃者はヴァントス盗賊団なのか?」
「はい、間違いないです」
「なんて事だ。わかった、後はこちらで考える。君は休んでいなさい」
「ありがとうございます」
「まって! 」
私はたまらず割り込んだ。
「蛾と戦っていた女の子はどうなったの?」
「麻痺で動けず不意打ちをくらって気絶していた。 恐らく連れて行かれただろう」
「そ、そんな……」
「場所は? 場所はわからないの?」
「騎士団にも話したが、俺の仲間の一人が案内人だった男にこっそりマーカーをつけていたから、同じ場所に連れて行かれているならわかっている」
「地図も騎士団に渡した」
「お願い、見せて下さい」
「ああ、別にかまわないが」
地図を受け取った手が震える。
「ここにユイが・・・」
「騎士団の方達は殲滅に動きますか?」
「それは直ぐには回答出ないな、相手が相手だから作戦の決断まで数日はかかる」
「わかりました、ありがとうございます」
私はそのまま冒険者ギルドに駆け込んだ。
そして、ある程度の説明をして緊急依頼を出した。
「お願い、急いで! 急いで討伐隊を用意して! お金はいくらでも出すから!」
「わかりました。しかし、相手がヴァントス盗賊団となると、かなりの戦力が必要となります。 それなりの時間がかかるのはご了承下さい。どんなに早くても3日はかかります」
「でも、それじゃあユイが、早く助けないと!」
「お願い、ユイを助けて! ユイを・・・」
私はその場に泣き崩れた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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