162話 支配人のスキルと衝撃の脅迫
その男は不気味な笑みを絶やさず話し出した。
「私は回りくどい事が嫌いなので単刀直入に伺いますね」
「はい」
「この店で働いてみませんか?」
「嫌です。絶対にありえません」
「あなた程の逸材なら、特別会員専属でも十分にやっていけますよ」
「いりません。どんなに説得されても変わる事はないです」
そろそろ私の我慢が限界だ。
これ以上しつこく言って来るなら魔法を使うつもりだった。
その言葉を聞くまでは。
「そうですか? 当店だと安心して満足して頂けると思ったのですか」
「大変ではないですか? 性欲Lv7だと」
「!!!!」
「・・な、何を」
「私はスカウトもしておりまして、スキルを使って相手のステータスを覗いて勧誘するのです」
私は声をあげそうになるのをグッと我慢した。
「うちで働く娼婦でも、いや、この国で働く娼婦でも性欲Lv7はいないですからね」
「過去の文献を見ても、性欲Lv7を持つあなたが相当に性欲が強いのがわかりました」
「だから【安全】に、私の店で働きませんか?とお誘いをしているのです」
「結構です。 何も困っていませんし、【危険】な事なんてありませんから」
「本当ですか?」
リデットはスーツの内ポケットから一枚の紙を取り出してテーブルに置いた。
「きゃああああああああああ!!」
な、なんで? え? どうして・・・
テーブルに置かれたのは、私が写っている白黒の写真だった。
「この街の路地裏で撮った写真ですが、よく撮れているでしょう? 仕草も表情も」
「あなたは一部の人から**『幸運の女神』**と称されているのですよ?」
言っている意味はよくわからなかったけど、そこに写っていたのは……性欲のLvを上げる為に鍛錬をしていた頃の私だった。
そして、それは完全にアウトのやつだった。 (誰よ!? 隠し撮りしたのは!?)
この男を殺す? そして証拠を隠滅する?
私が不穏な考えをしていると、くぎをさされた。
「この事を知っているのは私と副店長の二人のみです」
「そして、今、私がこれの交渉をしていると副店長も知っています」
「私に何かあれば、疑いは当然あなたに行き、あなたはお尋ね者になりますのでご注意ください」
こいつ、最初から脅迫するつもりだったのね。
「何もしませんよ? 【今は】。 ただ脅迫するのなら敵対行動とみなします」
「その時は戦います。 相手が誰であっても」
「はっはっは、魔術を極めしユイさんに喧嘩を売るつもりはありませんよ?」
「だから取引をしませんか?」
「身体は売りません」
「確かに魅力的な身体ですが、残念ながら今回は違います。最高の魔術師としての力を貸して欲しいのです」
「・・・内容によります」
「わかりました、それでは取引内容を説明させて頂きます」
「ユイさんには凶悪な蛾の魔獣を討伐してもらいたいのです」
ん? 思ったより普通?
「企業秘密なので詳しい場所は言えませんが、性欲薬を作る材料となる花畑に、その蛾が居座って困っているのです」
「レアモンスターで通常より強いうえに、毒攻撃を使って来るので討伐の失敗が続いているのです」
「場所が秘匿な為、ギルドで依頼を出すわけにもいかず、独自に冒険者を集めて討伐を試みているのですが倒す事が出来ないのです」
「もし、ユイさんが討伐に成功できた時は、報酬として、この写真を渡します」
「また、性欲薬の極秘レシピもお渡しします。いかがでしょうか?」
はあ、これで平和的に解決できるなら仕方ないね。
まあ、私は毒無効もあるし、思わぬ報酬が追加されたし、蛾ぐらい問題ないからね。
(写真は絶対に回収して燃やしてやる!)
「わかりました、それでいいです」
「ありがとうございます」
その後、場所以外の詳細を説明して、リデットは部屋を出て行った。
数分後、ベンダさんが部屋にやってきて一緒に喫茶店へ行き1時間程、話をして私は家に帰った。
ちなみに、ベンダさん曰く、女盗賊の体には3本の爪で引き裂かれた様な痕があったみたい。
やっぱり、当たりだったみたいだね。
でも、今日は精神的に疲れたから、それを伝えるのは後日にした。
そして、ここから私の人生すら変える大きな事件が始まるのだった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。




