134話 英雄の帰還と、拗ねたお嬢様
クシオスまでの馬車の旅は順調、順調。
特に問題も無く、賢い私の馬は勝手に進んでくれるし、結界のお陰で夜は熟睡できるからね。
だから、私はジャージを着て一日中、馬車でゴロゴロしていた。
王都を出て数日後、ついにクシオスの街が見えて来た。
でも、もう夕方だから今日は宿をかりて、明日の朝からブルーナに会いに行こうかな。
私はクシオスの街に入って馬車を預けてから歩いて宿屋を探した。
でも、何か周りがざわざわしているのに気が付いた。
ん? 何だろう? 私は耳をすませると、聞きたく無かった言葉が聞こえてきた。
「聖女さまだ」
「英雄だ」
「聖女様がお帰りになられたぞ」
「英雄が帰って来たぞ!」
ああああ、しまった。
この町でジャージは駄目だった~! すっかり忘れていたよ。
私は見つけた宿屋に慌てて駆け込んだ。
翌日、私はジャージを止めてパステルイエローの膝丈ワンピースに着替えた。
これで大丈夫なはず?
うん、大丈夫だった。
英雄だの聖女だの言われる事は無く、無事にロスさんの邸に到着した。
そして、警備の人に声をかけるとあっさり邸内に通されて、ロスさんやブルーナがいる部屋まで案内された。
この扉の向こうにブルーナがいるのね?
ふっふっふ、喜んで抱き着いてくる姿が想像できるね?
私はノックをして部屋に入った。
「お久しぶりです、約束通り戻ってきました」
「ユイさんお久しぶりです。 わざわざ、ありがとうございます」
「ブルーナ、ただいま!」
あれ? ブルーナが仁王立ちして怒ってる? 何で?
「ブルーナ?」
「おーい?」
「ブルーナ?」
え? なんで? どういう事?
「ああ、ユイさん、ブルーナは昨日ユイさんが街に帰って来たのを聞いたのに、直ぐに来てくれなかったから拗ねているのですよ」
「え? だって夕方だったし、お邪魔するには遅い時間だって思ったからだよ?」
「時間なんて関係ないの! 直ぐに会いにきて欲しかったの!」
ブルーナは、ほっぺを膨らまして怒っているけど、表情が可愛くて笑ってしまった。
「も~、怒っているのに笑わないで~」
「ごめん、ごめん、ブルーナが可愛かったから思わず微笑んだだけだよ?」
「今度からは時間に関係なく直ぐに来てね?」
「わかったから、もう怒らないで?」
すると、ブルーナは走ってきて私に抱き着いた。
「ユイ、おかえり」
「ただいま、ブルーナ」
私はブルーナの頭を撫でてあげた。
彼女は満面の笑みで嬉しそうだった。
よかった。機嫌は直ったみたいだね。
その後、ブルーナの家族と一緒に食事をして、ブルーナに誘われるまま出かける事になった。
しばらく歩いて、人気のない広場でブルーナが魔法の修業の成果を私に見せたいと言ってきた。
「じゃあ、私はここで見ているね」
「うん、ちゃんと見ててよ?」
ブルーナは詠唱をして、30m程離れた小さな的に向かってダークアローを放った。
シュッ! ドスッ!
「おお~、的の中心に当たったね」
「修業の成果はまだまだ、これからだよ」
一回ずつ詠唱は必要だけど10回放って、10回とも的の中心に当たっている。
「凄いじゃないブルーナ、大した命中率だよ」
「うん、ありがとう」
「でも、これじゃ不意打ちぐらいにしか使えないよ。ユイみたいに連続で撃ち続ける事が出来ないから」
「あ~、私を基準にしない方がいいと思うけどね」
「だから、私の出した答えは一撃必殺! それを目指す事にしたの」
ブルーナはそう言って、3倍程の時間をかけてダークアローの詠唱を行った。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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