126話 木登りの天才と、サルの称号
「すいません、お待たせしました」
「来たか。間に合ってよかった」
「ありがとうございました。おかげで安心して着替えれました」
「いやいや、気にするな。 こっちも、この競技に女の子が出るのは珍しいから出て欲しかったんだ」
「はい、頑張ります」
その後、私が新人と言う事もあって、若い女性スタッフから競技の説明を受けた。
「先ずは全競技に共通している事ですが、魔法及びスキルの使用は禁止です。
競技中は魔法の触媒を外して頂きます。
そして必ずこちらの首輪を付けて競技に望んで下さい。
これはスキルを封印する為の物なので、競技中に外すと失格になります」
へぇ~~、スキル封印なんてアイテムがあるんだ。 後でちょっと分析してみよう。
「予選の競技用の木は約15メートルです。 途中で落ちても安全な様にまわりにはクッションが敷かれています。
また競技開始から30秒経つとその時点で失格となります」
「これは振るいにかけるためにかなり厳しい設定になっています。 本来ゴールするには成人男性でも平均30秒以上はかかります」
「そして本選に出れるのは上位30名です。 ちなみに20秒を切る事が出来たら本選には間違いなく出れると思いますよ? ここまでで何か質問がありますか?」
「大丈夫です、わかりました。 えっとこの競技の最高記録って何秒ですか?」
「17秒です」
「わかりました、頑張ります」
17秒か~、木登りのタイムなんて測った事は無いけど、何か行けそうな気がする。
競技を見ていたら全員腕力まかせに木を登っているけど、私は足の力で登るつもり。
最初に木の全体を見て足を引っかけれそうな所を確認して、蹴り上げながら登って行くんだよ。
手はあくまで補助だよ、大自然の中で培った技術を見せてあげるよ! ふっふっふ。
準備を終えた私はスタッフに案内されて競技用の木の下に移動した。
「それでは全員位置に着いて~」
私は片足を木に乗せた。
「え?」
何かスタッフさんまで驚いてこっちを見るんですけど? 周りの観客も私を見て失笑しているし。
まあ、私以外は両手で木を抱きしめているから仕方ないね。
「えっと、ユイさん用意はいいですか?」
「はい」
「えっと、木を登るんですよ?」
「はい、大丈夫です」
私達のやり取りが聞こえた観客は可笑しそうに笑っていた。
「あの子、大丈夫か?」
「ルールをわかってないんじゃないの?」
「まあ、女の子が木登りなんて出来ないだろうし冷やかしだろ?」
「きっとスタートと同時に足が滑ってコケるぞ!」
「はははは、違いねえ」
「きっと運営の余興だろ?」
・・聞こえてるっての。 目立つのは嫌だから様子見で行こうかと思ってたけど、ちょっと本気をだしてヤル!
「それでは~ 用~意、、スタート!!」
行っくぞーーー!
ダダダダダッ!!
開始と同時に木を蹴り上げながら爆走した。
うん、この木は滑らないから楽勝!
幼いころから大自然の中で遊んでいて、危険な魔物に遭遇しそうになったら急いで木の上に逃げないといけなかったから、生き抜くために身につけた私だけの技術だよ!
まわりを見ると、他の人はまだ3メートル程しか登ってないけど、私は目的の印にタッチしてゴールした。
「うそーーーーー」
「何だいまの? え? ありえないぞ?」
「魔法かスキルを使ってる?」
「そんなわけないだろう? ちゃんと首輪がついてるし」
「サルかよ?」
「ありえね~」
そこに私の記録がアナウンスされた。
「ユイさんの、ただ今の記録は5.7秒です。 また過去最高記録を大幅に更新しました」
「「「 おおおおおおお!! 」」」
「尚、当運営はユイさんが魔法及びスキルを使用していない事を確認しております」
再度、割れんばかりの大歓声が会場に響いた。
ふふん、どうだ!! 私は胸を張ってドヤ顔をした。
でも誰だ? 私をサルって言ったのは!
その後、全ての予選は終了し本選に進む30名が発表された。
私は当然予選一位で本選に駒を進めた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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