111話 大粛清
シーネスに着いた私達はマニカ達がいる支部へ向かう途中で、他のエリアを警備している支部で事情を話して、数名の騎士にはアジトへ向かってもらった。
マニカ達と合流した私達は、捕らえた騎士達も連行しながら領主の元へ向かった。
私達は領主の邸内の広場に通された。
そこには、領主、その息子、文官、騎士幹部達が居並ぶ中、私達と捕らえた騎士、捕らえられてた女性達がいる異様な光景だった。
そこでビオラさんは、事の内容を領主に説明した。
「以上です」
「厳正な処分と、再発防止をお願いします」
「わかった、息子と罪を犯した騎士達は私が責任を持って再教育をする」
うわ~、事実上の無罪放免だね。
そう思ったけど、ビオラさんがそれを許さなかった。
「ベルド・ゴフェル伯爵? 多数の死人も出たと報告しましたが?」
「わかっている、だが処罰を決めるのは私だ」
「そうですか、やっぱりあなたにはもう、領主としての責務すら全うする事も出来ないのですね?」
「なんだと! 不敬罪で捕らえられたいのか?」
「【王命】により、この街の調査をしている私をですか?」
「王命!」
広場がざわつき出した。
「そ、そんなバカな。 そんなはったりは通用しないぞ!」
あきらかに領主は動揺しているね。
「これが証明書です」 ビオラさんは書類を取り出し掲げた。 再びざわつく広場。
そして、冷静さを失った領主はバカな命令をだした。
「こいつらを捕らえろ!」
「しかし・・・」
「あんな物は偽物だ! もし本物だったとしても捕らえてしまえば問題ない」
「お前たちの不正も目をつぶってやっているのは誰のお陰だ?」
「これが明るみに出れば、調査の手が伸びてお前達も処分されるぞ?」
うん、バカな領主だ。 自分で不正を肯定した上に、まだあると暴露しちゃったよ。
でも、これで戦闘は避けられないね。
ビオラさんや女性達を守りながらは面倒だね。 先制攻撃をしようかな?
そう思っていたら、ビオラさんが私をチラっと見て手で制してきた。
え? 私が動こうとしたのがバレてた?
ビオラさん、怖いです。
「私は事前に調査をしていたと言ったのですよ?」
「ここに来る前に既に王都に報告をしています」
「また、その返事を既に受け取っており……現在ヴァルディア公爵がこちらへ向かっています」
「な、なんだと!」
今日一番のざわめきが広がっていった。
「こちらへ向かわれている?」
「ヴァルディア公爵が?」
私にはよくわからなかったけど、後から聞いた話だと、ヴァルディア公爵は王都の騎士団総長にして、最強の騎士でカリスマ的な存在なんだって。
また、彼の名前を聞いただけで、この場にいる騎士達は戦意を喪失したらしい。
「何をしている、さっさと捕らえろ!」
その命令に従う者は誰一人としていなかった。
ビオラさんは更にもう一枚の書類を取り出して掲げてみせた。
「この書類は、あなたを領主から解任し、爵位はく奪、財産没収等が書かれた国王様からの命令書です」
「そ、そんなバカな!」
「さっき、私は返事を得たと言いましたよね?」
「今回の騒動について、罪をおかした騎士に対してはヴァルディア公爵が、領主【達】に対しては国王様が激怒しておられます」
その言葉を聞き、広場にいた何名かは青い顔をして下を向いてしまった。
ビオラさんは更にもう一枚の書類を掲げた。
「これより、シーネスの街はヴァルディア公爵が到着するまでの間、私が一時的に全権を担う事になります」
その場にいた、ほとんどの者が事態を飲み込めていないね、これ。
「さて、ベルド・ゴフェル」
「っ!」
「国王様からのお言葉をあなたに伝えておきます」
「!?」
「『今後の調査で嘘、偽りは絶対に許さぬ』」
「以上です」
ベルド・ゴフェルは青い顔をして下を向きながら弱々しく返事をした。
「わかりました……」
「では、権力を使った犯罪、横領などの汚職に対して、あなたが黙認した人物の名前を全て今ここで言いなさい」
「・・・はい」
この広場にいる文官や騎士たちのなかには、頭を抱えてしまったり、へたり込む者が多数現れた。
話を聞き終わったビオラさんは、広場を一瞥した。
「さて、聞いていましたね?」
「今、聞いた名前の者を全て牢獄へ連れて行きなさい」
それからビオラさんによる大粛清が始まった。
数日後、ヴァルディア公爵が到着した。
私は離れた所から見ていたけど、威圧感が半端ない騎士だった。
犯罪に加担していない騎士ですら、ビビりまくっていた。
数時間後、引継ぎが終わったビオラさんを王都に送り届けた。
「ビオラさん、ありがとうございました」
「良いのよ、またいつでも私を頼ってきてね?」
「はい、私はビオラさんしか頼れる人がいないから」
「ふっふっふ、任せて頂戴」
「はい、お願いします」
「そういえば、そろそろ旅行は終わりかしら?」
「はい、1週間後には帰る予定です」
「じゃあ、オーガの件でも伝える事があるから、リーニ達と一緒に王都のギルドへ来てね」
「わかりました~、必ず向かいます」
「よろしくね」
「はい」
いつも読んでいただきありがとうございます。
私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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