18-8. 大衆はブタさん
「愚民共の統治なんて嫌よ。あいつら、ちょっと計算が出来るだけのおサルさんよ」
「お姉ちゃんはチュウニなの? そういうシニカルな事言ってれば、カッコいいとでも思ってるの? バカなの? バカならバカらしく大人しく神輿に担がれなさいよ」
チュウニだよ。もう15歳だけどさ。
小学1年生に正論で説教されてしまったけど、やはり私は国の統治なんてする気になれない。
前世では、何かやらかした記憶もあるけれど。やらかしてるワケだし。
「ええそうよ。バカなのよ。トンコツ以下の価値しか無いのよ。そういうあんたが、大衆に知恵を授けてあげてよ」
「はぁ?わらわだって食えないブタさんの飼育なんてヤだよ」
私の妹も立派なチュウニだった。まだ小学1年生なのになー。
「あんた前回の夏休みでは、王女宣言してたじゃないの。ボコボコにされてたけど」
「あー、人の黒歴史を持ち出すなら、多恵子だって夏休みのアルバイトで王女してたじゃん!」
「は? 何ワケ分かんない事言ってんの? 私のバサキが王宮なワケないでしょ。自転車で何分かかんのよ」
バサキって何だ? 手羽先か? うまそうだな、って思ってからアルバイト先か、と気付く。こんなネタ、笑点のオレンジ色でも言わなそうだけど、敢えて私はやる。ははっ。座布団を取り上げられて、畳を捲られても構わないわ!
しかし、そうかー、多恵子はあの夏の記憶はないかー。エンドレスエイト的な、あの夏の日々。
「あっ! そうか! タイムリープだ! 去年の夏休みから、やり直しましょう!」
「えぇー。行くんなら、おばさんひとりで行ってよね。魔導粒子が勿体ないから、チャリでね」
いやまあ、私自身それはシンドイな、とは思ってたわよ。数子に、止められるまでもなく。
こうして事態が膠着状態となった時。やはり頼りになるのは、我らが長女だ。
「しょうがないのう。じゃったら、滅ぼせばええじゃろ」
「それだよ! 姉ちゃん、さすがだよ! さすにゃあだよ!」
さすにゃあじゃないわよ。滅ぼして、どうすんのよ。新しい黒歴史を作らないでよ。
ああ、元破壊神の私に、こんなにも良心回路が芽生えているなんて!
「ちょっとさー、あんた達が何とかしなさいよ。支持団体なんだからさー」
私のクーデターに支持表明を出してしまった、とち狂った連中に丸投げしよう。
「では、持ち帰って検討して来ますね」
「なるはやでね!」
ニャア様会、ミーナ姫会、雑魚騎士組合のトップに宿題を与えて、時間を稼ぐのだった。
なるはやとか曖昧な事を言い腐りおってぇ、とニャアがぶつくさ言ってたけどね。
「このビハインドカーブな事態をキャッチアップしてソリューションするイノベーティブなアイデアを待って居るわ!」
何言ってんだか、分かんないね?
翌朝目覚めると、グッドモーニングベトナムな気分だった。
早朝のナパーム弾の香りは、一杯のコーヒーよりも目が醒める…、ほんと醒めるわ。
「親分! ハマに潜入したキョーコが、軍部を扇動して攻め込んで来たんじゃ!」
ああ、多数の第三者に認識されないと存在が希薄になってしまうっていう伏線を、今更回収に来たわね。なんて事するんだろうか。
しかし、即座に国立騎士隊と近衛騎士隊の残党が応戦。こっちにもスパイを忍ばせてあったそうで、ハマの軍隊に先手を打って、返り討ちにした。
更に、戦乱に乗じて防衛軍がトウキョウを襲撃。見事に制圧した。もちろん、トウキョウではアオイの忍ばせたスパイが暗躍した。あいつ、まだ合衆国時代の影響力を保持していたのね。
結果として、アオイが合衆国から51番目の州を取り返し、英雄となった。
神聖カワサキ帝国は領土を一気に拡大し、アオイが初代大統領として君臨した。
帝国って何なんだか、もうワケが分からないね。
「ははっ! これで、ジャパニメーションスタジオは、ワタシのものデース!」
アニメーションの制作スタジオは都内に集中してたもんね。
2025年の新作アニメを観たい! っていう懐かしい伏線まで回収して、一連の騒動は幕を閉じたのだった。
短いけど、今日はここまで!




