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魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
18. 単体テスト報告書 -王女様は、諸国を漫遊したい-

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18-5. 大怪獣モスモス

「これでは、諸国漫遊の旅に行けませんわ!」

 コバトが、嘆いている。

 パスポートの審査に通らなかったからだ。

 パスポートといっても通行手形ではない。

 国境に関所があるワケではないから、国外への出入りは自由なんだよね。

 必要になるのは、国際ブランドのクレジットカード。

 我が国では、それをパスポートと呼んでいる。

 国内では、カワサキカードが電子マネーになるけども、国外では使えない。

 だから、クレジットカードが必要になるワケだけど。

 川崎コバトの身分は出来たばかりなので、信用情報がまっさら。

 クレジットカードは、発行されなかった。

「お姉様! 家族になりましょう! 家族カードを発行するのですわ!」

「残念だけど、私も審査落ちだよ」

 私は、億単位の借金を踏み倒したので、信用情報が真っ黒。

 コバト以上に、クレジットカードが発行される可能性は無い。

 そういえば、ゴールドの相場操作をする件、すっかり忘れ去ってた。

 借金を踏み倒して、担保のゴールドを差し出してしまったので、もう意味が無い。

 多恵子に乗せられちゃったなあ。

「実をゆうと、ワシらもパスポート無いんよ」

 ミーとハーも、資産運用でやらかした過去があるので、信用情報が低属性。

 パスポートを所有しているのは、スズメだけ。

 元近衛騎士隊長で、コバト学園の教師でもあったからね。

 元から、パスポートは持ってた。

「さすがに無理だな。外貨を現金で引き出せるのは、国内だけだしな」

 カワサキカードがあれば、日本円を現金で引き出す事は出来る。

 しかし、国外では電子マネー機能同様に、カワサキカードが使えない。

「信用情報が低属性のクズは、国外へ行くなと言いますの!?」

「お前が作った制度だろ。因果応報だな」

「むきー! そうでしたわー!」

 元国家元首であるコバトに、巨大なブーメランが突き刺さったのだった。

 見かねた多恵子から、提案が。

「あんたら、つくづくクズねぇ。国外旅行なんて分不相応よ。無職のカスらしく、工場見学でもして世の中を学んで来なさいよ」

 ひどい言われようだけど、その通りだわ。

 私は、この世界の事を、未だによく分かっていない。

 ミスリルやオリハルコンが存在するなんて、つい最近知ったばかりだし。

 石油が枯渇してるから、合成繊維も無いし、樹脂も無いんだよね。

 ガンプラの素材とか、どうなってんの?

 パソコンやスマホの基盤だってそうだよ。何で出来てんの?

「工場見学かー。そっちのが楽しそうだなー」

「では、わたくしと家族になりましょう!」

「何が、ではー、なんじゃ? いつも通り分からんのじゃがー」

 コバトがうるさいので、養子縁組をした。

 川崎コバトは、多摩コバトになった。私の、娘だ。

 ミーとハーも便乗して、私の娘になった。

 娘達が、母親である私よりも、遥かに年上なんだけど。

 そういうのは今更なのでどうでもいい。

 養子縁組は、特殊な手続きではないので、裏技も無しで、オンラインでさらっと完了した。

「ほいじゃー親分。どこ行く?」

 娘になっても、親分呼びなのは変わらない。

 もちろん、コバトのお姉様呼びもそのまま。

「製糸工場とか? 養蚕業もいいね」

 合成繊維が存在しないのだから、養蚕も盛んなのではないだろうか?

 国内では、桑畑なんて見た事ないけど。

 多摩区の梨畑以外にも、農業あんのかな?

「養蚕なら東扇島ですわ! 工場がありますのよ! モスモスが糸を吐いてますの」

「モスモス?」

「巨大な、蛾の幼虫ですわ! ご存じありませんの?」

 それ怪獣じゃないの?

 想像しているアレの通りなら、膨大な量の糸が採取出来そうだなー。


 巨大怪獣モスモスの工場見学は、許可が下りなかった。

 国家機密だから見せられないそうだ。

 コバトが「伝手がありますわ!」と、鼻息荒く工場の広報に連絡したのだけど。

 何で、知ってるんですか? と、先方に怪しまれたよ。

「うっかりしてましたわ!」

「道理でワシらが、知らんワケじゃ」

 国家機密と言っても、工場で働いてる工員から漏れそうなもんだけどね。

 モスモスの事は、ミーとハーもご存じなかった。

「モスモスがダメなら、巨大なすっぽん工場とか無いんじゃろか」

「それは聞いた事ありませんわね。神話では、多摩区に巨大なカメが現れた逸話がありますけど」

 ちょっと、その神話読んでみたい。

 神話と聖書が趣味のニャアなら、既に読んでいるのだろうか。

「ラゾーナ宮殿の隣に、大手電機メーカーのやってる未来科学館があるわよ。そこに行って来たら?」

「それいいな。超電導とかあるんだっけ」

 多恵子のアドバイスで、未来科学館に行く事にした。

 予約も無しに、フラッと行って入れるそうだ。

 それはいいのだけどー。

「ちゃんとレポートも書くのよ」

 などと、多恵子が、面倒な事を言う。

「え? なんでよ?」

「あんた達、フリースクールの事忘れてない? このままだと最終学歴が、小卒になるわよ。社会科見学として授業って事にしてあげるって話よ」

 あー、そういえばそうだった。

 私とスズメは、数子の経営するフリースクールに通う中学生だったわー。

 これまでは保育園で保育士やってたのが、職業体験って建前なんだった。

 その保育園が閉園した今、他の何かそれらしい事をやらないと、フリースクールに通った実績が認められない。

 小卒だと、将来の選択肢がぐっと狭まってしまうわ。


「なあ、王家の家紋を印籠にして持ち歩かなくていいのか?」

 なんだかんだ言って、ご老公と愉快な仲間たちの世直し旅に、前向きなスズメ。

 こいつ武士だからなぁ。昔、ニンニン言ってたし。それは忍者だっけ?

 カクさんポジションで活躍してみたいのだろう。

「あー、それだけどさー。こいつ王女オーラ無いから、誰もひれ伏さなくない?」

 コバトには、王女オーラが無いらしい。

 こうして、ラゾーナ宮殿を歩いていても、誰も気付かない。

 あれ? お隠れになられたはずの王女様じゃない? どうして?

 なんて、誰も言わない。 

 印籠出した所で無駄なんじゃないだろうか?

「親分の方が、王者感あるのう」

「私が、ご老公やれっていうの?」

「いやいや、そこはわらわの出番でしょう」

 社会科見学には、ミーナもついて来た。

「そうだねー、真の姫様だもんねー」

「そうそう。みんな、土下座だよ。焼き土下座だよ」

「印籠なんか見せるまでも無いよね」

 ミーナには、ミーナ姫会もついて来た。

 ミーナ姫会のメンバーは、アイ、マイ、メイ、ユイ、ケイといった、名前にイが付くシリーズだ。

 ヨが付くシリーズの、ニャア様会とはまた違った宗派の天使の軍団なのかも知れない。

 こっちは、保育園ではなく小学校で出会っている。

「ニャア様なら、どうだろうか?」

「焼き土下座でも、許さないでしょ」

「皆殺しじゃないの?」

「印籠じゃなくて、デーモンズコアとか出しそう」

「デーモンズコア、科学館にあるかな?」

「あるわけないじゃろ」

 ミーナが居るなら、当然というかニャアとニャア様会も付いてきている。

 もちろん、チョココロネと雑魚貴族組合も。

 こっちは、何やら重要な使命を勝手に背負っている模様。

 知ったこっちゃないんだけど。

「なんで子供の社会科見学に同行しとるんだ?」

「バカか。辺境伯と繋がりを作るチャンスだぞ」

「第一王女だの第二王女だの、あり得ない事言っとるんだが」

「それこそバカか! 我が国の闇に触れるな、一族まとめて消されるぞ」

「なあ、このイベント企画したの第三王女だってほんとか?」

「おまえ、それどこで聞いた。今すぐ忘れろ!」

「反王女派閥が天下取っただんよな?」

「だからこそだよ。我々貴族は結束せねばならん」

「反王女派閥は、貴族廃止を狙ってるもんなあ」

 団体客になってしまったので、ちゃんと事前に予約したよ。


「ところで、あんたら小学校は、どうなってんの?」

「クーデター軍が、あちこち壊したけえの。しばらく休校じゃ」

「死体もゴロゴロ転がってるもんね」

 そういえばそうか。

 これって、アルティメットクリーナーで掃除したらいいんじゃないの?

 同じ事は、貴族連中も考えた様だ。

「うちの清掃業者も参画しようかな?」

「無理じゃないか? この子達の親、企業のトップとか官僚らしいぞ」

「そうかー、チャンスだと思ったんだけどなあ」

 社会科見学のはずが、国家の将来を左右する出会いの場になりやしないだろうか。

 まあ、知ったこっちゃないんだけど。

 

 科学館では特に事故も起こらなかったよ。

 もちろん、デーモンズコアも無かった。

「小学校の掃除? うちは清掃業者じゃないんだけど」

 私は、地下で戦艦の復旧作業をしている数子のところで、社会科見学のレポートを書いている。

「よし、これで40秒だけ稼働出来るよ」

 機関の改良で、一日に一回だけ、40秒間ではあるけど、戦艦のメインコンピューターを起動出来るようになってた。

 次の段階は、常時起動。そこから携帯化へと段階的に進めて行く計画。

 アルティメットクリーナーも小型化して、一緒に持ち出せれば、無敵の清掃業者になれるんだけど。

 数子は、そういうのは興味無いらしい。

「じゃあ、メインコンピューターに、レポートの代筆を頼みたいんだけど」

「そんな事に、使わないでもらえる? うちは代書屋でもないよ」

「だったら何屋さんなのよ?」

「叔母さん、分かってないなー。科学ってのは目的のためにあるんじゃない。手段こそが目的なんだよ!」

 何を、熱く語っておるのか。しかし、分からんでもない。

 自作PCとか、組んでるうちに、ベンチマークのスコアを上げる事が目的になったりするよね。

 ゲームしたりマイニングしたりするわけでもなく、そうして無駄にハイスペックなマシンが出来上がっていく。

「マスター数子。御用でしょうか?」

 メインコンピューターが起動して、コマンドプロンプトの状態になった。

「おいしいカレーのレシピをちょうだい!」

 あんたこそ、何に使ってんのよ。

「それは、禁忌です。他の、ご命令を」

 カレーのレシピが禁忌だというメインコンピューター。

 どっかで聞いた事ある話だなあ。

「じゃあ、社会科見学のレポート書いてよ」

「承りました」

 メインコンピューターは、何故か私の命令にも従順だった。


 せっかく代筆してもらったのに。

 レポートは、多恵子に赤点を貰った。

「カレーのレシピ持って来て、何考えてんの?」

 あれれー?

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