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魔法と剣は表裏一体  作者: たむーん
第二章 森林、聖エルフ大国編
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セナ対エール

双剣が赤く光る。エールの姿が歪む。

違う、もう目の前にいる。


「っ!」

「まじか。」


危機一髪で躱し、後ろに下がる。

遅れて大きな音が聞こえて、後ろの樹がばっさりと切れる。

切れたところはすぐに塞がっていき、赤い花が咲く。


「今のを避けられるのは、俺の勇者の名前に傷がつくな。」

「いや、俺には見えてなかった。何か来ると思ったんだ。」

「そうか、じゃあもうちょい速くするわ。」


エールは再び構えの姿勢に入る。

先手を打たなければ斬られてしまう。


「飲み込め、万物よ、滅星!」


黄色い球体を生み出し、それを投げつける。

エールはそれを瞬く間に斬り落とした。


「なんだ?あれがお前の魔法か?たいしたことないな。」


真っ二つに割れた球体は地面に落ち、斬られた断面が地面にくっつく。

地響きが鳴り始め立っていられないほどの揺れになり、俺たちは手を地面についた。


「んぐががが、がぁ!な、なんだこの魔法は!」

「これで対等だ。あれ以上の速さは対処できないからな。お前が馬鹿正直に斬ってくれて助かったよ。」

「だが、お前も俺と同じ状況じゃねえか。俺は速さだけじゃねえんだよ!」


この状況で双剣の片方を投げてきやがった。

ただ揺れているだけじゃなく、重力も加わっているので、普通動くのがきついはずなんだが、こいつに普通は通用しないってわけか。

しかも投げた剣がまっすぐ飛んでくる。

まるで意志をもっているかのように、それにこの滅星の効果を受けていないだと!?


「まずい。うわっ!」


肩を掠め、血が飛び散る。


「なんて奴だ。勇者ってのはとんでもないな。」

「まだだぞ?」


後ろに飛んでいった剣は樹の壁に当たり軌道を急に変え、こちらに再び飛んできた。

反射壁か?どうなってんだこの壁は。

鋭い剣先が俺の右足に突き刺さる。

痛みは勿論、出血も酷く、おまけに痺れも感じた。


「でも、これでお前の剣は一つだけだ。乾け、万物よ、緋星!」


赤い球体を投げつけた。

それは、俺とエールのちょうど真ん中らへんに落ち、爆発した。

とんでもない高温の熱風を浴び、俺とエールは干からびた。

俺はまた起きて、状況を確認した。

滅星は緋星によって消滅した。

足に刺さっていた剣は燃え尽き、俺の身体は再生していた。


「っがは。」

「は?」


ありえない。そんなはずは絶対にありえない。

この緋星を生き延びた?馬鹿な。


「...はぁ、流石に苦しいな。...魔王の時を...思い出すぜ。」


剣で身体を支えてはいたが、死なずに生き延びやがった。


「おいおい、こりゃとんでもないな。この緋星が破られるとは。」


連続で使ったせいで疲労が一気に押し寄せてきた。

出血のせいもあって、身体が悲鳴を上げている。


「組織に入ったからには、お前を殺さなければならない。セナ。いや、セン・ドゥ・ナージ。ナージ帝国の王子よ。歴史とともに、消え去れ。」


ぼろぼろの身体で剣を構え突っ込んできた。

俺はその剣を受けた。

心臓を一突き。

心臓が跳ねる。


「これで、終わりだ。」


一気に剣を引き抜き、これまで以上の出血をする。

俺の身体はばたりと地面に倒れ、エールは剣についた血を振り払った。

時空が割れキマリがでてくる。


「エール、まさかセナをここまで追い込むとはね。すごいよ。」

「追い込むだけじゃなく、殺しもした。魔王の時と同じようにな。」

「でもね、これはまずいかもね。僕の魔族として、いや同じ生命として君に教えてあげるよ。

見て見ろよセナの身体を。」


何?と思ったエールは俺の身体を見て驚いていた。

それもそのはず、血は止まり、身体の傷は何事もなかったかのように塞がれていた。


「それにそろそろ来るぞ。僕は巻き込まれたくないから逃げるね。エール、森林と共に永遠に眠ってくれ。じゃあね、一時だったけど楽しかったよ。」


そういってキマリは時空に帰っていった。

先ほどの緋星でまわりの樹々が枯れ、崩れていたのにエールは気づいた。

奥からリナとニェールに担がれたマリーが向かってきていた。

リナは俺が倒れているのを見て急いで駆け寄ってきた。


「お兄、これは!まずいニェール!引くよ。」


流石俺の妹、これから何をしようか気づいたようだ。

リナがニェールを呼び捨てするほどの緊急事態ということにニェールは慌てて担いでたマリーをエールの横に置き、リナと共に逃げ始めた。

何がどうなってるんだという、困惑する状況にエールは動けずにいた。


「俺は言ったよな。森林を消滅させるって。」


俺はゆっくりと立ち上がり、青い顔をしていたエールに言ってやった。


「禁忌。降臨、謁見の許しを請おう。滅べ、消えてなくなれ、万物よ、殲星の名においてこの地を包み込め。」


俺の心臓が鼓動する。俺はにっこりと最大の笑みを浮かべ禁断の言葉を唱える。


「やめて、くれ。やめろ。やめろおおおお!!」

「冥星!」


意識が吹っ飛ぶ。

暖かい何かが俺を包み込み、崩壊を始めた。

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