結局こうなる
森林内では炎を使うな、とマスターに言われていたが、そのマスターがおれらを裏切ったということなら、そんなことは気にしない。
俺たちに常識が通用すると思うなよ。遊んで殺してやる。
「リナ。ニェール、キマリ。いや、キマリは見ていてくれ。」
「分かったよ。ちょうどお腹空いてたし食べさせてもらうね。」
「お兄、どうする?」
「セナさん、もしかしてですけど...。」
「あぁ、そのまさかだ。あっちが裏切ったんならこっちも容赦しなくていい。ニェール、おまえも解放されるんだぞ。リナ、森林を消滅させて驚かせてやろうじゃないか。」
「お兄、いい顔してる。賛成。」
左後ろからまっすぐに魔法が飛んでくる。
難なく躱し、右前からくる王子の斬撃を避けた。
と、思っていたんだが、背中をバッサリと斬られてしまった。
皮膚を裂かれ、激痛が襲いかかってきた。
「おかしいな、俺...今避けたはずだったんだが。」
「俺の斬撃は必中だ。避けなんぞ通用しない。」
溢れだす血のせいで視界が歪んできた。
「ふん、こんな雑魚が最重要指名手配犯なのか。あっけないな、金に換えてやるよ。」
左手には銀色の剣を右手には、見えない何かを掴んでいた。
ゆっくりと歩いてきて、俺の目の前で、
「リナ?だっけか、どんな絶望をみせてくれるかな?」
そういって、見えない何かで首を斬られた。
首が宙に舞い、血飛沫をあげる俺の身体が見えた。
奥ではリナとニェール、マリーとエールで戦いを繰り広げていた。
首が地面に落ちる直前、リナと目が合う。
リナの笑った顔が見えた。
俺も笑い、声が出ない状態で魔術を使う。
「(star、fall。)」
目の前が真っ暗になる前に空中から黒く光ったものが見えた。
目を閉じ、再び瞼を開けると、俺は生命活動を再開していた。
首もつながっていて、背中には傷が無い。
俺がいる中心以外の場所は燃えていた。
燃えているといっても、燃え尽きていたといった方が正しいか。
そしておれの目の前にはところどころが黒く焦げている骨が散らばっていた。
銀の剣は粉々に砕かれ、溶けていたので骨と混ざっていた。
リナたちの方を見て見ると、やはり、骨が残っていた。
ん?骨の塊が一個しかない?
上を見るとリナとマリーとエールが息を切らしながら休戦してた。
「あなたのお兄さんとんでもないね。」
「まさかあのエルモアが瞬殺されてしまうとは。たしかにセナを殺したはずなのに、なぜあいつは生きている?」
「お兄は裏切らない、あなた達とちがってね。」
「お仲間のニェールさんは死んじゃったみたいだけどね。」
めちゃくちゃ上の方で話してるもんでなんて言ってるかうまく聞き取れない。
リナに聞こえるように大声で話しかけた。
「おーい、リナ!来い。」
上の方からはーい、と聞こえてきた。
「私たちは、この森林を壊す。裏切りをする相手を間違えたこと後悔させる。」
「この高さですよ?どうやってあいつのとこの行こうってんだ。」
「簡単、こうするの。」
リナは樹の枝で自分の首を裂いた。
目の前で急に自殺し始めたリナに驚き、マリーとエールはショックを受けていた。
リナの身体は落下していき、まだ熱い灼熱の台地に落ちてきた。
落下の衝撃で四肢はあらぬ方向に曲がり出血でぐちゃっぐちゃになっていた。
俺はニェールの骨とリナだった者に魔法を行使する。
「万物創造、死者蘇生。」
残骸は形を形成し、肉体を再現していく。人の形に戻り、全裸のリナとニェールが生き返った。
俺はすぐに目をそらし、生き返った二人に服を創ってあげた。
慣れているのか、生き返った瞬間に一瞬で服を着ていた。
「セナさん、教えてくだされば回避しましたのに。」
「お兄、ナイス。」
文句を言いながら自分の手足に違和感がないか確かめていた。
「あ、ありえない。」
「禁忌中の禁忌ですね。」
上からだんだん声が近づいてきた。
ゆっくりと降下してきて、地面に足をついた。
「どうする?逃げたいか?生きたいか?選べ。」
「選んだところで死ぬのは確定してるんだ、本気でいかせてもらうぞ。」
エールは自身の腹に手を突っ込み、血を流しながら、小さな結晶を取り出した。
それを握りつぶし、眩しい光が溢れてきた。
光がおさまると、そこには赤黒く輝く美しい双剣が出現していた。
「これは、俺の武器、『酷使』だ。勇者専用武器といってもいいな、これを使うのは久しぶりだ。魔王以来だ。武器も喜んでいるさ、強いやつらを吸収できてな!」
「私も本気で行きます。樹海爆誕。儚く散ってください。」
二人を中心に森が形を変える。
二人からどんどん遠ざかり、あたりは暗い樹々に包まれた。
「お兄、来る。」
見えない場所から黒い斬撃が無数に飛んでくる。
一回一回の斬撃が早く、たまに二つ一緒に飛んでくるので対処が難しく、何度か当たってしまった。
あたっても痛みは無く、血も出ていなかった。
なのでリナは避けることもせず、斬撃が当たった自身の身体を不思議そうに見ていた。
俺とニェールはちょいちょい当たりながら反撃をした。
といっても、どこに攻撃をすればいいのかわからず、斬撃を跳ね返す形で反撃をしていた。
リナの身体が爆散し、あたりに肉片が飛び散った。
飛び散ったその肉片から黒い瘴気が溢れ、俺たちはそれも回避しながら反撃していた。
突然大きな音がし、ニェールの方をちらりと見て見ると、白い手が地面から伸びていて地面に引きずり込まれていた。攻撃をしてもすり抜け、当たっていないように見えた。
やがて完全に姿が見えなくなると、目の前にエールが現れた。
「さっきの仕返しだ。勇者の伝説とくと味わうと良い。」




