表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/25

9話:おあいこ

「私は大丈夫だよ、紫苑。ほら、時間はたっぷりあるんだから、一緒に遊ぼう」

「う、うん」

 なんていい日なのだろうか。彩芽が寄ってこない、それだけでも最高なのに、その上紫苑と遊べる日が来るなんて。不幸中の幸いと解釈する者が多いだろうが、私の中では誕生日プレゼントをもらった日くらいのラッキーだ。そんな幸せな日々を、数日間過ごした。

 数日後、今日も紫苑と一緒に遊ぼうと教室を出ようとしたその時。

「は、遙……ちょっと、いい??」

 少し気まずそうではあるが、彩芽は寄ってきた。そして私を教室から連れ出し、人気のない階段の方へ呼び出す。そしてついた瞬間、彩芽は私の背中を蹴飛ばしてきた。

「痛っ!!」

 私は訳もわからず彩芽の方を見ると、彩芽は話し出す。

「遙ごめんね、この間の休日のことが少しむかついちゃって……」

「……それで嘘の噂を流したの??」

「うん、本当に悪いと思ってるよ??みんなの誤解もちゃんと解くから、それで許してくれる??」

 彩芽は申し訳なさそうにしているが、私はまだ許せなかった。なぜそんな些細なことで、私がこんな目に遭わなければならないのか。

「ほら、あたしたち親友でしょ??だから今の蹴りでおあいこ!!」

 訳がわからなかった。これでおあいこなんて、これほど比に合っていないおあいこなんておあいこではない。彩芽は一言言われただけなのに、私はクラス中に嘘をばら撒かれた挙句、彩芽に一発蹴り飛ばされている。思わず彩芽に「おあいこって知ってる??」と言いたくなったが、その言葉は心の奥底にしまったまま、「わかった」と言った。

 そしてその後は再び彩芽と過ごした。彩芽はいつも通り自慢話ばかりしていて、私の話をミリとも聞く気がない。正直私はもう諦めている。彩芽が自分以外の話に興味を持つ日が来るなんて、一生ないだろうと思っている。だって彩芽はそういう人だから。そう自分に言い聞かせる。

 次の日の中休み、私は彩芽と一緒に過ごしていた。いつも通り彩芽の自慢話を聞き、やりたい事に付き合っていた。しかし突然彩芽が無言になる。私がどうしたのか尋ねると、少しの間が開いて彩芽はこう言った。

「遙、私のこと嫌いでしょ」

 突然だった。今まで普通に話していたのに、突然聞いてきた。

「……どうしてそう思ったの??」

「だってこの間、遙が本気で怒った時に私に嫌なことしかされてないって言ってたでしょ??」

 確かにそのようなことを言った記憶がある。あの時は堪忍袋の緒が切れていたため、思ったことを全てぶちまけていた。正直何を言ったか詳しくは覚えてないが、彩芽に対する今まで思ったこと全てをぶつけたことだけは覚えてる。その時に彩芽を傷つけてしまったのだろうか。いっそのことここで嫌いと言ったらもう彩芽と関わらなくて済むのではないか。そんなことを考えていると、彩芽が私の顔をビンタしてきた。

「あ、彩芽……??」

「遙、今嘘つこうとしてるでしょ」

 動悸が早くなるのを感じる。自分の心臓が口から出そうな程に波打っている。私の考えてることがバレたが、冷静に考えてそんなことはないはず。しかし彩芽の顔を見るなり冗談ではなさそうだ。私が俯いて黙ってると、彩芽が私の足を蹴った。

「嘘つこうとするなんて、親友失格!!あ、いいこと思いついた!!もう二度と嘘つけないようにしてあげるよ」

 そう言って彩芽は私の顔を目掛けて手を大きく振りかざす。そしてその手は私の頭に命中した。

「痛っ!!」

 痛い。頭がジンジンする。しかしそんな私は気にせず、彩芽は再び腕を大きく振りかざし、私の頭を手のひらで叩く。次から次へと四方八方から彩芽の手が私の顔に直撃してくる。

「彩芽やめて!!」

 そう言っても彩芽は叩くのをやめず、次第に叩く力が強くなってゆく。その上彩芽に壁に詰め寄られているため逃げ場はない。私はその場で両腕で顔を覆ってガードするしかなかった。自然と疑問と涙が溢れてくる。不思議と痛みからくる疑問と涙ではないことはわかったが、正直それどころではない。

 どれくらい経ったのだろうか。私は床に座わりこみ、怯えて泣きながら彩芽に謝っていた。

「彩芽……ごめん、本当に……ごめんなさい」

「……わかってくれた?」

 彩芽の声は冷たかった。氷柱が地面に突き刺さるように私の心を突き刺してくる。正直どうにかなればそれでよかった。全てがどうでもよくて、今ここで彩芽に叩かれている現状が変われば、なんでもよかった。すると彩芽は、私の目の前にしゃがみこみ、わたしを抱きしめた。

「あたしだって、本当はこんなことしたくないんだよ??でも遙が分かってくれたなら、あたしはもうこんなことはしない」

 そう言った彩芽の声は不思議と温かさを感じた。緊張していた体から力が抜ける。顔のあらゆるところがジンジンするが、それよりも彩芽に抱きしめられている温かさに安心する方が勝っていた。それと同時にわたしは「彩芽からは逃げられない」と。

「遙も、私たちは親友なんだから、こういうこともしていいんだよ??」

「わ、私はいいかな……」

 そのまま私と彩芽は一緒に保健室に行き、転んで顔を打ったという事にして保冷剤をもらった。そしてその後は普通にいつも通り、彩芽の自慢話などを聞いて過ごした。だが私の心の中には、新たな恐怖の種が埋められていた。

 昼休みの時間になった。私は紫苑とばったり会って、すごく心配していた。

「遙その顔どうしたの!?」

「ちょ、ちょっと転んじゃって」

「えー??転んでもそんなあざはできないって」

 鋭い。彩芽に叩かれただなんて口が裂けても言えないが、紫苑相手にはなんとなく言っても平気な気がする。

「で、本当は??」

「ほ、本当は……彩芽に、叩かれた」

「え!?あいつ、ついに手まで出し始めたの!?」

 紫苑に隠そうとした私は愚かだった。紫苑には全て話しているのだから、流石にバレる。紫苑は私の腫れ上がった頬を優しく撫でてからこう言った。

「遙、今日の体育でギャフンと言わせてやろう!!」

〜10話の宣伝〜

どもども、ろったりかです♪

何やら紫苑がギャフン!!と言わせられることが思いついたらしいですね?

次回は調節のため少し短いですが……スゥー……オユルシクダサイ

ぜひその目でご覧ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ