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5話:真実と無自覚

反省文を書き始めたのは帰りの会が終わってから。そこから2人に監視されながら大体1時間ほどで書き終えた。二人はその反省文を見るなり満足したようで、私に抱きついてこう言った。

「遙はほんとに優しいよね、この反省文からすごくあたしたちを大事にしてる気持ちが伝わる!!」

「紫苑もそれ思った、遙は優しい、これは誰もが納得する事実だよ」

 突然褒められて私は少し照れくさそうに俯く。しかしなぜだろうか。褒められたはずなのに、恐怖が不思議と押し寄せてくる。この恐怖はいったいどこから、なぜ出てきたのだろう。そんなことを考えてるうちに、彩芽は急ぎの用事があるようで、私を連れて行かずに珍しくそのまま帰っていった。

そして紫苑と2人きりになってしまった。私は紫苑に言われた「もう友達と思ってないから」が頭から離れず、俯いていた。すると紫苑が私に抱きついてきて、こう言った。

「遙、ごめん……ごめんね!!」

 私は思わず困惑する。今日1日中私のことを冷たい目で見ていた紫苑が私に抱きついて謝っている。

「ど、どういうこと??」

「今日紫苑ね、彩芽に脅されていうこと聞かされてたの」

「え……紫苑が??」

「うん、それで遥にもう友達じゃないって言わされたの……でもそれがまさか罠だったなんて……」

 どうやら紫苑の推理曰く、彩芽は私と紫苑を引き離そうとするために、紫苑に言うことを聞かせ、私との距離を作ろうとしていたらしい。そして紫苑には「言うことを聞かないと、遙に酷いことするよ」と脅し、作戦の全貌は話さなかったとのこと。私はそれを聞いた瞬間、彩芽の恐ろしさに思わず震え上がった。

「いったいどこまで考えてるの……??」

「本当かは彩芽にしかわからないけど、多分そう言うことだと思うの。だから遙、もうあいつとは関わらないほうがいいよ」

 そう忠告してくれている紫苑の顔は、いつもとは違い悲しみと怒りが同時に伝わってくるような表情だった。しかし私は断る事ができない。断るという選択肢はない。しかしその考えを紫苑には隠し、「頑張ってみる」と一言言い残し、その場を後にした。


 次の日、私は紫苑と一緒に登校していた。久しぶりに紫苑と一緒に登校できて正直嬉しい。この時間だけは彩芽のことを忘れられる、数少ない時間だと、私は感じた。しかし教室に着けばその気持ちは消え去る。教室に入れば、紫苑は別のクラスだからいなくなり、代わりに彩芽が教室にいる。今日もいつも通りだ。

「遙おはよう!!」

「おはよ」

「ねえ聞いて!!あたし昨日の夜ね??大の大人を論破したんだよ!!」

「へー」

 いつもと変わらない自慢。正直毎日興味もない自慢話ばかりされてうんざりする。耳を塞ぎたくなるが、そんなことをしたら後々面倒くさいため、我慢する。

「それでその時なんて言ってやったと思う??」

 なぜかはわからないがだんだん彩芽の声にイライラしてきた。今すぐにでも耳を塞ぎたい。正直うるさいカラスが鳴いているようにしか聞こえない。

「え、それってダメなことですよねって言ってやったの!!すごい勇気あると思わない??」

 その言葉を聞いた私は思わず我慢できず、勢いよく椅子から立ち上がり、ずんずんと歩いて廊下へ出てしまった。初めは彩芽が悪いと思っていたが、時間が経つにつれて彩芽を無視して廊下へ出てしまった自分への罪悪感が襲ってきた。おそらく彩芽は絶対的に怒っている。このまま教室へ戻ったらまた睨まれて無視されるだけだろう。でもこれから朝の会が始まってそのまま授業が始まるため、私は教室に戻らなければならない。仕方なく私は重い脚を引きずって教室へトボトボ戻る。戻った際に自分の席は彩芽の後ろなため、顔は見えなかったが、不穏なオーラを纏っている彩芽の背中だけが目に入った。

 中休み、彩芽は珍しく話しかけてこなかった。私が彩芽の方を見ると、彩芽は気まずそうに視線を逸らす。私は不思議に思ったが、向こうからよってこないのはむしろ好都合だったため、そのまま中休みは一人で過ごした。

 そのまま時間は過ぎ去り、帰りの会が終わった。珍しく彩芽とは朝以来話をしてない。そのためか私は少し気が楽だった。その気持ちのまま家に帰ろうと、私は教室を出ようとした。するとドアのところに彩芽がいた。彩芽は何やらしゅんとした顔で、話しかけてくる。

「ねえ遙、私、遙に何かした??」

「……え??」

「私が何かはるかの気に触ることをしちゃったから、遙、私のことを無視したんじゃないかって思って……」

 この時私は確信した。彩芽は今までの行動全てを無自覚でやっているのだと。自慢話やら、この間の100枚書かせた挙句いらないと言ったことやら、他にもまだまだ沢山あるが、何個上げたとしても彩芽が無自覚なことに変わりはない。私は小さくため息をついて、肩を落とす。

「……朝はちょっとイライラしてて、落ち着くために教室を出たんだ」

「あ、そうだったんだ!!それならそうと早くいってよ!!あたしがそのイライラ吹き飛ばして上げれたのに」

 私はそうゆうことじゃないと思いながら苦笑いをした。耳鳴りが遠くからキーンと聞こえる。彩芽が今までのことを無自覚でやっているのなら、私は今後、卒業するまで救われないだろうと思った。

〜6話の宣伝〜

どもども、ろったりかです♪

さて、6話では遙妹が思い切った行動をして、遙はヒヤヒヤ!?

それに加えて遙一家が家族旅行に行くそうですよぉ?

ぜひその目でご覧ください!

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