4話:喧嘩?
「わかった、遊びに行く」
「本当!?やったぁー!!」
彩芽はその場で跳ね回ったり一回転したりと、全力で喜びを表現している。私が我慢すれば全てが平和で終わる、そう感じた。
6月27日、私は昨日彩芽と喧嘩をした。昨日家に誘われた後のことだった。喧嘩の内容は至極普通、私が彩芽と昼休みに遊ぶ約束をしていたが、私がすっかり忘れて紫苑と遊んでしまった事が原因だ。私が忘れるほどのこととしか考えていなかったことと相手が紫苑だった事が重なり、彩芽はすっかり不機嫌になり、私の顔も見たくない様子。今まで彩芽が遅刻することはよくあったのだが、私が遅刻するとすぐ怒るのだ。そのため学校に行くことに気が引ける。絶対面倒くさいことになっている気がする。
そんなことを考えていたら、バッタリ彩芽と遭遇してしまった。彩芽はこっちを見るなり、不機嫌そうに睨んでくる。キーンと耳鳴りがして、動悸が激しくなる。
「何??」
「あ、えっと……」
体が震えて思うように言葉が出てこない。でもここで何も言わないともっとよくない事が起こると思った私は、できる力全てを使い、伝えるべきことを伝える。
「き、昨日はごめんね!!私がすっかり忘れてたから、彩芽を待たせちゃって……」
彩芽は無言で私を睨んでいる。私はこれは謝っても許してくれないパターンだと悟り、きまづいこの空間に緊張していた。
「彩芽??」
そこへ、紫苑がやってきた。私は振り返り、紫苑に助けを求めようとする。しかし意外にも紫苑は、私の顔を見るなり視線を逸らし、彩芽の隣につく。私が唖然としていると、彩芽が紫苑と話を少しして、こっちをみた。
「何??まだいたの??さっさと教室にでも行ったら??」
胸の奥がズキッとした。紫苑の方を見ると、紫苑は目を逸らして何も言わない。その光景は、まるで紫苑が私を裏切ったような構図だった。そのまま彩芽は「邪魔」と言って私を突き飛ばし、紫苑を連れて教室に行ってしまった。私は何が起きたのかわからないまま、突っ立っている。それと同時に、不思議と涙が出てくる。数少ない味方だと思っていた人物に裏切られ、私の心はぐちゃぐちゃになっていた。怒りでもない、悲しみでもない、なんとも言えない気持ちが渦巻いている。
そこから少し時間が経ち、中休みの時間になった。相変わらず紫苑は彩芽と一緒にいる。2人は仲が悪かったはずだがいったい何があったのだろうか、紫苑がいないから何をしようか、そんなことを考えながら教室で窓の外を流れる雲を見ながらぼーっと過ごす。そこへ、彩芽と紫苑がやってきた。
「紫苑が何か言いたい事があるらしいよー??」
そう言って彩芽は、紫苑を私の方に押し出した。紫苑は何やら言いづらそうにこっちを見ている。
「……紫苑はもう、遙のこと友達だって思ってないから」
「……え??」
衝撃的だった。紫苑から絶対に出ないと思っていた言葉が飛んできた。彩芽はニヤニヤしていて、何も言わない。耳鳴りが聞こえる。いつもよりも大きい音でキーンと鳴っている。そのまま彩芽と紫苑はその場から去って行ってしまったため、細かいことは何もわからない。紫苑と喧嘩したことは今まで数えられないほどあるが、これほどの言葉を言われたのは初めてだった。私は溢れそうな何かを堪え、すました顔で中休みを過ごした。
その後、授業が2つあったが、私は授業に集中できなかった。味方だと思っていた人に裏切られ、私の心は空っぽだ。私は紫苑と仲直りしたいと思っていたが、向こうが私を嫌っているのならこっちはどうしようもない。けど私は紫苑とは仲良しでいたい。悩ましい問題だ。そんなことを考えながら給食の列に並んでいる。
「遙、今日の給食美味しそうだね!!」
そんなところへ彩芽がやってきた。先ほどの彩芽とは違い、何やら嬉しそうに私に話しかけてくる。
「……怒ってるんじゃ、ないの??」
思わず私は聞いてしまった。朝はあんなに怒ってたのに、今ではいつも通りだ。すると彩芽は少し恥ずかしそうにしながらこう言った。
「怒ってたけど、よく考えたらあたしたち親友だし、これくらいよくあることだって思ったの!だから許した!!」
「そ、そうなんだ……」
彩芽の言葉に困惑しながらも、少し安心する自分がいた。 彩芽の言葉に困惑しながらも、少し安心する自分がいた。その後はいつも通り、昼休みに彩芽に遊びに誘われて一緒に遊びに行こうとする。するとそこへ紫苑がやってきた。紫苑は私と彩芽を見るなり、目をギョッと開いて驚き、彩芽に問い詰める。
「彩芽!!いったいどういうこと!?」
「何が??」
「あの作戦は!?どこいったの!?」
「ん〜??作戦ってなんのこと〜??」
何やら重要そうなことを話していたのと、紫苑がその場にいて気まずいことから、私はその場からこっそり抜け出そうとした。しかし彩芽に腕を強く掴まれてその場に立ち尽くすしかなかった。そして紫苑はついに私の掴まれていない方の腕を掴み、私を引っ張った。それと同時に彩芽が私のことを、紫苑とは反対方向に引っ張り出す。
「彩芽やめて!!紫苑と遙は話す事があるの!!」
「でもあたしと遙は今から遊ぶ約束してるから、行かなきゃなんだけど??」
二人がバチバチと言い争いながら私を引っ張り合う。私はそのまま抵抗せず腕を引っ張られている。どうしようか困っていたそんな時、彩芽が言い出す。
「遙はどっちと一緒にいたいの??」
まずい状況になった。本心では紫苑と一緒にいたい。しかし紫苑は私のことをもう友達だとは思っていない。残るは彩芽だが、彩芽とずっと一緒にいるのは気が引ける。しかしここで本心を話したらあとで彩芽が面倒くさいだろうし、だからと言って嘘をついたところで、紫苑に余計に嫌われるだけだ。そんなことを考えながら私は俯いている。
「まあいいや、反省文を書くなら許してあげる」
そう不思議なことを言い出したのは彩芽だった。話を詳しく聞いたところ、このような事態にもう2度とならないように2人に謝罪の意を込めて反省文を書かなければならないようだ。
「これに関しては紫苑も賛成、遙にちゃんと反省してもらわないと」
そう言って私は紫苑と彩芽に職員室に連れて行かれ、作文用紙を5枚もらい、反省文を書くことになった。
反省文を書き始めたのは帰りの会が終わってから。そこから2人に監視されながら大体1時間ほどで書き終えた。二人はその反省文を見るなり満足したようで、私に抱きついてこう言った。
「遙はほんとに優しいよね、この反省文からすごくあたしたちを大事にしてる気持ちが伝わる!!」
「紫苑もそれ思った、遙は優しい、これは誰もが納得する事実だよ」
突然褒められて私は少し照れくさそうに俯く。しかしなぜだろうか。褒められたはずなのに、恐怖が不思議と押し寄せてくる。この恐怖はいったいどこから、なぜ出てきたのだろう。そんなことを考えてるうちに、彩芽は急ぎの用事があるようで、私を連れて行かずに珍しくそのまま帰っていった。
〜5話の宣伝〜
どもども、ろったりかです♪
喧嘩で反省文を書くって一体どういうことなんでしょうかね?
ちなみにこれはわたくしめろったりかの実体験だったりします…
次回は遙が不機嫌なようですよ?
ぜひその目でご覧ください!




