19話:自決と救い
「ちょっと、出かけてくる」
「どこにいくの??あたしもついて行っていい??」
「……大丈夫、すぐ戻ってくるから」
「そっか!わかった!なるべく早く戻ってきてね!」
「……うん」
そう言い残して私は教室をゆっくりと出る。そして向かってついた先は屋上。今日は風が吹いているから寒く感じる。そんなことを思いながら、私は校庭を見下ろす。下では生徒達が楽しく遊んでいる。それと比べて私の心はどうだろうか、まるでドス黒い絵の具で塗りつぶされたかのように空っぽでずっしりしている。
「……」
私が思いついた名案、それは怪我をして学校を休むというものだ。彩芽に頼るくらいならいっそのこと怪我をして卒業まで学校に来ない方がマシだ。高いところから落ちれば両足骨折くらいはするだろうか。頭からいけばもう嫌なことを考えなくて済むようになるのだろうか。正直目的地はなかったがそんなことを考えていたら、屋上に来てしまった。私は吸い込まれるように屋上のフェンスを登る。そしてフェンスの外側に立ち、風を感じる。屋上は3階の上、つまり4階分の高さがある。鳥のように自由に空を飛んでこんな現実から逃げてしまいたい。ここから落ちれば確実に怪我ができる。そう思い、私が飛び降りようとした次の瞬間。
「だめ!!」
誰かが私の腕を掴んだ。誰かと思って振り返ると、そこには三雲先生がいた。三雲先生は私の腕を強く握っていて、絶対に離さないという意志を感じた。
「なんて事をしようとしてるんですか!!危ないです!!」
「……」
私はそのまま三雲先生に支えられながらフェンスの内側に戻り、叱られた。
「何であんな危ないことをしたんですか!!」
「……あはははは」
不思議と笑いが込み上げてくる。最近は彩芽のせいで感情が鈍っていて、笑ったことなど滅多になかったのに、今に限って心の底から笑いが込み上げてくる。
「あはは!!何で??この状況から逃げられるなら、私は何だってするからだよ!!あはは!!」
「遙さん……あなた……」
ずっと辛い。こんな毎日を過ごすのはもうやめたい。彩芽から離れたい。紫苑となっちゃんと楽しく笑っていたい。数々の願いが出てきたが、もうすでに遅い。この状況を作ったのは私、それを私が受け入れなくてどうする。本当に自分が馬鹿らしく思える。あれだけ紫苑となっちゃんは私に忠告してくれていたのに、私は無視し続けた。だからこんなことになった。なのに私は今更逃げようとするなんて、本当にダメな人間だ。
「本当に馬鹿だよね!!自分が悪い!!全部自分のせい!!あはは!!」
すると何かを察した三雲先生は、静かに私を抱きしめる。私が突然のことに困惑していると、先生は私を抱きしめながら、頭を撫でてくれた。
「よくがんばりました、一人で抱えて辛かったでしょう」
「……何のこと??私はただ、自分のせいで……」
「そんなことないですよ、もうあなたは一人ではないです、私がついてますから」
なぜだろう、心が暖かい。そう感じたと同時にぽつり、ぽつりと頬から涙がこぼれ落ちる。不思議な感覚だ、腹が捩れるほど面白さを感じているというのに、涙も滝のように出てくる。
「あ、あはは……ははは……うっ、うぅ……」
「泣いていいですよ、あなたは十分、頑張ったんですから」
私は泣いた。人生でこれほど声をあげて泣いたことがないほどに泣いた。その時私は、今まで誰にも助けてと言えなかった自分が、初めて心から自分の声で「助けて」と言えた気がした。
その後私は三雲先生とのカウンセリングで全てを話した。今まで彩芽にされたこと、「嫌だ」が言えないこと、紫苑となっちゃんに見捨てられたこと。全てを話し終えても三雲先生は真剣な眼差しで私の話を最後まで聞いてくれた。
「これから卒業まで、私がサポートしていきましょう、もう一人で悩まないでいいですからね」
その言葉を聞いた私は思わず肩の力が抜けた。さっきまでガチガチに肩に力が入っていたのに、不思議ともうストンと落ちている。それをみた先生は少し笑っていた。
「まずは目の前の問題を一つずつ解決していきましょうか、平井さんはどの問題から解決したいですか??」
私は考える。まず現状の何を一番に変えたいか。少し考えて出てきたのは、紫苑となっちゃんの顔だった。二人に見捨てられたこと、原因は私にあるが、それでも仲直りをしたい。
「紫苑となっちゃんと、仲直りがしたいです」
「わかりました、それじゃあ早速、今日の放課後にここに呼びましょう。そこでお話しできそうですか??」
「……がんばります」
こうして私は放課後に紫苑となっちゃんと話をすることになった。何を話すかをまとめておくといいと三雲先生に言われ、3時間目は授業を受けず、考える時間にした。私は言いたいことをまとめるために、紙に箇条書きをした。結構話したいことが出てきたが、大切なことだけに絞り、合計3つになった。
そしてついに放課後になった。三雲先生は先に紫苑となっちゃんをカウンセリング室に呼び、そこで少し待機させることになっている。そして教室に戻ってきたら美雲先生が私を連れて、カウンセリング室で話をするということだ。
「準備はいいですか??」
「……はい」
そう言って私と三雲先生はカウンセリング室に入る。
〜20話の宣伝〜
どもども、ろったりかです♪
いやぁー危ない危ない、危うく主人公がいなくなるところでしたねぇ
次回の話し合い、うまく行くといいですねぇ……
ぜひその目でご覧ください!




