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18話:心の崩壊

 帰りの会が終わった後、私はあれから紫苑となっちゃんが寄ってこなくなって少し心配になっていた。そして私は彩芽の目を掻い潜り、こっそり2人を探し出す。しばらく探していると、紫苑となっちゃんが屋上に続く階段のところに入っていくのを見かけた。私は急いで後を追い、階段に隠れ、2人の会話を盗み聞きする。

「でもやっぱり、はるちゃんは何かを隠している、きっと彩芽に、何か言われた」

「それは紫苑も思った、でも遙が話さない限り、紫苑達にも彩芽の厄災が降りかかる」

 どうやら2人は私についての話をしている様子。こんな人気のないところで話すことなら、何やら本人には秘密にしないといけないことを話していると確信する。私はさっきよりも息をひそめ、耳を傾ける。

「……もう遙と関わるの、やめよう」

「でも、それだとはるちゃんが……」

「元々、紫苑達は止めた、でも遙がそれを拒んだ、だから今の現状が起きてる。だったらもう、紫苑達にできることはない」

「……」

 衝撃だった。紫苑となっちゃんが私を助けるのをやめようと話をしている。私は驚きのあまり、階段から滑り落ちてしまい、音を立ててしまった。

「ん??今誰かいた??」

 そう言ってこちらに紫苑となっちゃんが迫ってくる足音が聞こえる。私は急いで立ち上がり、廊下を少し走って教室に逃げ込む。

「……気のせい、だと思う」

「……そっか」

 そう言って紫苑となっちゃんは階段を降りて行った。私は思わずその場に座り込んで、耳を塞いだ。正直信じられなかったのと同時に、仕方ないと私は思った。今まで紫苑は何度も私に忠告をしてくれていた。しかし私はその忠告をたかが自論である人に嫌われないためだけに、無視していた。それなのにも関わらず紫苑となっちゃんは私を助けるために、わざわざ自分から厄介ごとに突っ込んできてくれていた。正直全て自分のせいだ。こんなことになったのも、自分が彩芽にきちんと「嫌だ」を言わなかったから起きたことだ。もう後戻りはできない、今後は自分1人でどうにかするしかない。そう思っていたその時。

「はーるか!!」

 彩芽がやってきた。彩芽は何やらルンルンでスキップしながら私の隣にしゃがみ込み、私の顔を覗き込む。

「なんか嫌なことでも聞いた??すごいしょぼくれた顔になってるよ??」

「ちょっと、色々あって……」

 私はもう1度さっきの出来事を思い出す。紫苑となっちゃんが私に関わることをやめようと話していたあの出来事。信じられないが全て自分のせいだ。そう考えると、そこのない湖に沈んでいくように、心が重く感じる。そんな心の重みを感じながら俯いていると、彩芽が私の頬を突いてきた。

「まあまあ、元気出してよ!!何があったかは知らないけどさ、遙には親友であるあたしがいるじゃん!!」

 そう言って彩芽は立ち上がり、私の腕を引っ張って、私を立たせる。そしてなぜかその場で足踏みをしながら、話し続ける。

「可愛くて、優しくて、遙のことを誰よりも分かってるこのあたしがいるんだから!!あたしさえいれば、遙は何も心配しなくていいんだよ!!」

「そ、そうなの??」

「うん!!遙にはあたししかいないんだから!!」

「……そう、だね」

 そう、紫苑となっちゃんに見放された私には、もはや彩芽しかいない。つまり、私が一番恐れていた状況になってしまった。味方が彩芽しかいなくなる、それは何を意味するのか。誰も助けてくれない檻に自ら入るということだ。自分で自分の精神を殺しに行ってるのと何ら変わりない。その日はそのまま彩芽と一緒に帰った。帰る途中、いつも通り自慢話を聞いたが、私は何も思わず、ただ空っぽな心で相槌を打っていた。

 次の日の中休み、私は朝から憂鬱だった。もちろん紫苑となっちゃんは寄ってこないし、代わりに彩芽がしつこいほどに寄ってくる。

「ねえ遙!!今日は何で遊ぶ??」

「……」

 彩芽の会話が頭に入ってこない。耳から耳へ抜けていくようだった。それと同時に頭も回らず、何も考えられない。私はただ席に座り、黒板の方をぼーっとみている。そんな私を変に思ったのか、彩芽が心配してきた。

「遙、大丈夫??なんか今日元気ない??」

「……あはは、全然、大丈夫だよ」

 私は大丈夫、そう自分に言い聞かせる。私はひとりぼっちではない、なぜなら彩芽という味方がいるから。考えるだけでも吐き気がしてくるが、こうなってしまったのは自分のせいだから受け入れるしかない。

「おーい奈月、あそぼ!!」

「いいよ、何する??」

「うーん……クラス鬼ごっこに入れてもらう??」

「そうしよう、絶対負けない」

 後ろの扉の方から紫苑となっちゃんの声がする。2人は楽しそうな様子。私は正直何も思わなかった。だってこうなってしまったのは自分のせいだから。自分が招いた結果は自分だけでも受け入れなければならない、そんな気がした。そこで私は1つ名案を思いついて、ふらふらと教室を出ようとした。

「ちょっと、出かけてくる」

「どこにいくの??あたしもついて行っていい??」

「……大丈夫、すぐ戻ってくるから」

「そっか!!わかった!!なるべく早く戻ってきてね!!」

「……うん」

 そう言い残して私は教室をゆっくりと出る。そして向かってついた先は屋上。今日は風が吹いているから寒く感じる。そんなことを思いながら、私は校庭を見下ろす。下では生徒達が楽しく遊んでいる。それと比べて私の心はどうだろうか、まるでドス黒い絵の具で塗りつぶされたかのように空っぽでずっしりしている。

〜19話の宣伝〜

どもども、ろったりかです♪

おっと?これはだいーぶ不穏な終わり方ですねぇ……

屋上、ドス黒い心といえば……まあ、あれですよねぇ……

ぜひその目でご覧ください!

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