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14話:新しい風

 朝の会が始まり、いつも通りの流れが始まる。そこで担任の先生が、新しいお手伝いの先生が来たことを発表した。クラスは一気にざわつき始める。私はもしかしてと思っていたら、一人の眼鏡の女性が教室に入ってきた。

「三雲雫と言います、みなさん、よろしくお願いいたします」

 担任の先生曰く、三雲先生はスクールカウンセラー兼特別支援学校の先生らしい。普段はこの教室にいるお手伝いの先生的立ち位置のようだ。見た感じ真面目そうな先生だなと思いつつも私は拍手を送りつつ、スクールカウンセラーの先生を利用したことはなかったが、一度くらいは利用してもいいかもと少し思った。そう思っていた矢先、担任の先生が、今日の授業中に一人ずつ呼び出して、カウンセリングをするとのこと。私はいい機会だと思い、早くカウンセリングの時間が来ることを祈る。

 時はすぎ5時間目の途中、私はカウンセリングに呼ばれた。呼ばれたカウンセリング室は校長室にあるようなソファーが向かい合って真ん中に机がある小さな部屋だった。

「いらっしゃい、向かい合うように座ってください」

 私は言われるがまま先生の目の前のソファーにちょこんと座る。なぜか座った瞬間、ガチガチに緊張してきた。なぜだかわからない、けれどどうしても背中がピンと伸びるように座ってしまう。いいことだけれど、体が緊張している証拠だ。

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ、ただ少しお話しするだけですから」

 緊張していることがバレていた。私は少し恥ずかしい気持ちになる。私とは真逆で三雲先生は落ち着いた様子で手元にある紙を見ている。

「さてと、それでは少しお話ししましょう」

 そう言って三雲先生はメガネをクイっと整え、私の方を見る。

「まずは簡単な質問から、遙さんのことを教えて欲しいです。好きなものを、5個あげてください」

 私は好きなものを考えるが、パッとは出てこず少し悩む。

「私の好きなものは……お母さんの作ったハンバーグ、お父さんの作ったグラタン、折り紙、お団子……あとは家族です」

 私の答えを聞いた三雲先生は、何やら紙にメモをしながらうなづいて聞いてくれた。

「いいですね、お父さんとお母さんは料理上手なんですか?」

「はい、お父さんが作れない時はお母さんが作ってくれて、その逆もあります」

「私の家はお父さんは料理ができなかったので、羨ましいです」

 そんな感じで私の事を少し話して、時々先生の話も聞いた。そんな感じのやりとりが少し続いた後、三雲先生は急に真剣な眼差しで私を見つめてきて、こう言った。

「じゃあここからは大切な質問、最近何か、困っていることはありませんか??」

 最近ではないが、結構前から彩芽のことで困っている。しかしそれを今ここで言っていいのかわからない。もしかしたら彩芽に話が行くかもしれないし、そうなったら後で困るのは私だ。だったらここでは話さない方がいい、そう思った私は少し悩んだ末「特にないです」と答えた。

「そう、それじゃあ次の質問、クラスでいじめとかはありますか??」

 クラスでのいじめは聞いたことがない。しかしもし今の彩芽が私にやっていることがいじめになるのなら、それは言った方がいい。だがこれも彩芽の耳に入ったら面倒なことになる。つまり話さない方がいい、そう思った私は少し考えた後に「ないと思います」と答えた。

「遙さんから何か、聞きたいことはありますか??」

 私は少し考えた後に一つだけ思いついた。正直三雲先生がこのクラスについた理由が知りたい。不思議なことに紫苑のクラスにはついていないし、全学年のクラス一つずつについたわけでもなさそうだった。本当に私のクラスだけついた様子。その理由が知りたい。

「三雲先生が私のクラスに来たのって、なんでですか??」

 先生は不思議そうな顔をしながら一瞬間があいて、話し出す。

「そうですね……確か平井さんのクラスが少し心配だって担任の先生からお話がきたんです、それで私が配属されたんですよ」

 担任の先生が私のクラスを心配しているのは初耳だ。しかし私のクラスで心配するようなことって一体何なんだろうか。特に私が思い当たることはないが、やっぱり裏で大変な何かが起きているのだろうか。

「私のクラスで、いじめが起きてるから、三雲先生は来たんですか??」

 三雲先生は私の言葉を聞くなり、目を丸く開いて驚いていた。私が何か変なことを言ってしまったのではないかと困っていると、先生はすぐにいつもの落ち着いた表情に戻り、話し出す。

「いじめの一歩手前のようなことが起きかけているから、私は来たんですよ」

 やっぱりだ。いじめの一歩手前、それはほぼいじめと同じようなことが起きていると言うこと。私のクラスでそんなことが起きているなんて知らなかった。私は少し不安になる。もしそのいじめでクラスメイトといじめられている対象1人を敵に回してしまったら、きっと面倒くさいことになるからだ。そんなことを考えて私が俯いていると、先生が私の頭にポンっと手を置いた。

「大丈夫ですよ、私がついてますから。何か困ったことがあった時は、私に話しかけてください、私は常に教室にいますから」

 そう言っていた先生の声は暖かく、涙が出てきそうになる。なぜここで涙が出てくるのか、私にはわからなかったが、いざとなったら助けてくれる、そんな気がした。

 その後私はカウンセリング室を出て、普通に授業に戻った。授業中、私はふと疑問に思った。三雲先生の最後の言葉、あれはまるで私がいじめられているかのように言葉をかけていた気がする。気のせいかもしれないが、もしかしたら三雲先生は私が彩芽に嫌なことをされていることに気がついているのかもしれない。しかしそれはあくまで私の予想であって、本当かはわからない。聞くわけにもいかないため、真相は謎のまま1日が過ぎ去った。

〜15話の宣伝〜

どもども、ろったりかです♪

次回は再び紫苑の家にて!ですね

紫苑が誕生日らしいですよ?誕生日とはめでたいですねぇ

ぜひその目でご覧ください!

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