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わたしだけのかみさま-宗像祈の配信録-  作者: 三嶋トウカ
資料①テキストファイル

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25/26

第19話:某日、中間地点の駅近く、カフェにて_3


「しかも、一人じゃなくて、何人かいたみたいで」

「そりゃ恨みかいますね間違いなく」


 私は食い気味に答えた。

 想定内かつ、期待通りの回答。

 恨まれていてもおかしくない。おかしくなさすぎる。


 ――と、こんな感じで始まった私となーこさんの対談――と呼んでいいものなのかはわからないが――は、タイムリミットギリギリまで続いた。

 流石に一店舗で最後まで粘るのは申し訳なく、お店を移動して二回戦目を行い、話し終わってから子どもを迎えに行きご飯を食べてお風呂にも入り、今に至る。


 子どもは眠ったが、夫はまだ帰ってこない。私は少し振り返ろうと今日撮影した一本目の動画を再生した。


 なーこさんも望んでいないから、この音声をどこかへ流す予定もない。


 なかなか不憫だなと思えるくらい、なーこさんのこの半年の出来事は濃いものだった。

 こんなことを思うのは不謹慎であると理解しているが、まだ残っている最上級の悪役二人が、どんな末路を辿るのか知りたくなっている。末路、という言い方は良くないだろうか。だが、嫌がらせにストーカーをするような人間だ。それに、今までの内容だってある。きっとなーこさんと私が知るこの先は、彼らの末路である気がしてならないのだ。


 ……最悪、死ぬのではと思っている。

 これは、なーこさんも最初から言っていた。だから『怖くて誰かに話を聞いてほしかった』とも。

 その気持ちは良くわかる。自分のキャパシティを軽く超えてしまいそうな出来事があったら、落ち着くためにも誰かに話したいし『大丈夫』と言ってもらいたい時もある。

 私はなーこさんの知り合いではないが、なーこさんが一方的に知っているからそこそこ安全で、気にせず話を聞いてくれてさらに外に情報を出せる私は、こんな世間から浮いた話をするのにうってつけの存在だったのだろう。


 そしてひとつ、なーこさんから許可の下りたことがある。

 今回私に話した話をそのまま配信することはしないでほしいが、怒った出来事の内容レベルは変えずに、でもおおいに脚色してから流すのはアリだと言われた。

 確かに、細かい部分を流してしまえば、知っている人には薄っすらと見当がついてしまう。ピンポイントで『あ、これはこの人の話だ』とは思わないかもしれないが『もしかしてあの人の話なのでは……?』と勘繰られる可能性はあるのだ。

 そうすれば自分の知らないところで話が独り歩きして、思いもよらない結果になってしまったり、加害者にあたる人間が自分のことなのではと察してしまう可能性もある。


 私の配信のリスナー数は知れている。

 この後よっぽど爆発的にリスナー数が増えるか、この話がメディアに取り上げられでもしない限り、そんなことはないと思っている。

 だが、話す側の気持ちとしては、そうなるのは理解しているつもりだった。これはいわば秘密にしておきたい内容で、そういう話をするときは、いかなるマイナスの可能性も、話す側は排除しておきたいのが当たり前だろう。


 そこで私は、話の内容とレベルをできるだけ損なわないように、起こった内容を差し替えて配信することに決めた。もちろん、話ができあがったらなーこさんに確認してもらう。

 上手くできるか自信はあんまりないが、いろんな種類の結論が集まれば、なーこさんも安心できる気がしたのだ。

 もうメッセージに書いてあった、話の大枠はそのまま流してしまっている。それを今さら変えることはできない。具体的な内容は話していないが、一応気にしながら私は配信用の原稿を考え、いざ当日を迎えた。


「――はい、今日も始まりました『祈の雑談部屋』。こんにちは、宗像祈です」


 いつも通りの導入。だが、今日はいつも以上に緊張していた。


「今日は早速ですが、相談から入りたいと思います。ちょっと前からお話している、匿名希望さんのお話、覚えてらっしゃいますか?」


 ここで少し、間を置くことにした。自分の気持ちを落ち着けるため半分、リスナーが置いていかれないように半分だ。


「えー、神様のお話です。『軽い気持ちで、悩み相談がてら良いことが起こるように神様に祈ったら、本当に願いが叶って身の回りで嬉しいことが起こるようになった。そんなとき、反対に嫌なことも身の回りで起こるようになったから、ちょっとどうにかしたくて同じように神様に祈ったら、そのモノ自体は結果的に無事解決したけど、困った事態を作っていた相手がかなりの痛い目に遭っていた』というお話ですね」


 今回は、事前にこの話をすると告知している。今の入りは、それを見ていない人に向けてと、見た人にも相違がないように伝えるためのものだ。

 そのお陰かはわからないが、いつもよりもリアルタイムで接続してくれているリスナーが多かった。


「あの話、結構リスナーさんたちが拾ってくれて。自分の思ったこととか考えたこと、私の元に送ってくれてるんですよ。本当に、ありがとうございます!」


 協力へのお礼は大事だ。

 こうやって話しておけば、もっと意見が集まるかもしれない。

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