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わたしだけのかみさま-宗像祈の配信録-  作者: 三嶋トウカ
資料①テキストファイル

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24/26

第18話:某日、中間地点の駅近く、カフェにて_2


「私は割と、こう、オカルト的なものは信じるタイプなんですよね。だから、これが神様の天罰だと言うなら、それはそうかもしれないなって信じると思います」


 私は素直にそう返した。


「なので、神様に祈った結果……というのは強ち間違っていないんじゃないかな、と」

「本当に、そう思いますか?」


 なーこさんは、不安そうな顔をしている。


「うーん。偶然にしちゃあちょっと出来過ぎですよね? 良いことも起こっているし、悪いことも起こっていて、でもそれって、そんなに頻発するようなものじゃないと思っています。どっちも」

「そう思いますよね。私が神様に祈った結果か、それとも怖いくらいの偶然が重なった結果か……どちらかですよね?」

「……えーっと」


 私は悩んだ。

 だって、残る可能性を、私はひとつしか思いつかない。

 ……もし。これが人為的に起こされた結果だとしたら。断然そっちのほうが怖いじゃないか――と。


「なーこさんが言いたいのは、誰かが何かしら手を下したんじゃないか……って可能性ですよね?」

「……はい」


 当たりだった。

 リスナーからも同じような意見はあったし、私もその線は視野に入れている。


「もしこれが全部、人の手によって起こされたものだとしたら、そっちのほうが怖くないですか?」


 私がそう言うと、なーこさんは泣きそうな顔をした。

 決して責めているわけじゃないのだが、今の彼女にとっては、少し言葉が強かったかもしれない。

 彼女を不安にさせないよう、私はゆっくりと、丁寧に話をするよう努めた。


「もし、犯人がいるとしたら。すべての出来事に対して、間接的にでも直接的にでも関わった人物がいて、その人物は野放しになってるってことですよね。 やられた側が、それだけ恨まれていたっていう怖さももちろんありますけど」

「そういうことになりますね」


 確かにこの可能性は捨てきれない。

 今までの件は偶然起こった出来事というよりは『たまたま相手に恨みを持つ人間が他にもいて、その人がなーこさんが悩んでいる間に行動に移していった』というリスナーからの意見もある。

 その意見を見たときは、何だか背中が寒くなった。人間って怖いなと思う反面、それだけ恨まれる相手がいるなんて、今までいったいどんな人生を送ってきたというのだろう、と。


 でも言われてみれば、その可能性は大いにあることに気が付いた。オカルトを信じるぶん、そっち寄りの考えしかしてこなかったから、私にとってまったく新しい視点だった。


「なーこさんは、どう思われているんですか?」

「私ですか?」


 驚いている。そんなに珍しい質問だっただろうか。


「はい。あ、いえ、最初は100%神様説推してるのかなと思ったんですけど。でも、それだったらその一択だけで、他の選択肢作らないんじゃないかなとも思って」


 私の言葉を聞いて、なーこさんは視線を外した。

 彼女なりに、思うところがあるのだろうと、私は思っていた。だから遠慮なく、私はそのまま話を続ける。


「今、神様と、本当に偶然と、人為的のみっつの選択肢がありますよね? 偶然か神様かのどちらかを念押しするように、さっき私に聞いたじゃないですか。だけどそれって、裏を返せば『他の選択肢もあるけど、それはあんまり候補に入れたくないんです。だからこのふたつのどちらかを一緒に推してください』って言っているように聞こえて」


 私は思ったことを、そのままなーこさんにぶつけた。

 きっと、リスナーが聞いていたら同じ質問が来るだろうし、私も配信中だったら率先して取り上げていたと思う。


「そう、ですか」

「……思い当たる節が、もしかしてありました?」

「その、実は多少……」


 バツの悪そうに、なーこさんはそう言った。

 正直、この回答には驚いた。あれだけ神様の話をしていたのに、オカルトから外れた人間説も既に視野に入れていたとは。

 そして、自分の勘が当たったことに、少しだけ嬉しくなる。


「怪しい人でもいるんです?」

「……怪しいのは、関わった人間全員怪しく見えます。他にも困っていた人や嫌がってた人はどの件もいましたし、見られていた可能性もありますし」

「あれ、待ってください」


 他に困っていた人、どの件にもいたわけではなかったような――?


「最初の次女ちゃんの習い事、あれは次女ちゃんピンポイントでしたよね? 他の人の恨みも、あの先生かってたんですか?」

「はい、そうなんです」

「あらまぁ」


 思わず間の抜けた声が出る。

 なかなか敵を作るのが上手そうな先生だな、とは思っていたが、まさか実際に他にも敵を作っていたとは。


「ちなみに、どんな感じだったんでしょう? お聞きしても大丈夫ですか?」


 これは正直、怖いもの見たさだった。

 聞いているこちらが憤り、ふざけるなと思うようなことを、子どもに平気でするような女なのだ。何をしていてもおかしくない。


「ええ。ただ、あんまり大きな声では言えないんですけど、生徒のパパさんと不倫していたみたいなんです」

「あー……それはまた」


 ある意味で想定内だった。

 『あー、やってそうですね』と思ったのは、なーこさんに伝えて良いのかわからなくて、心の中にしまっておくことにする。

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