表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BLUE in the ガールズバンド  作者: あまだれ24
3/57

第3話 凛子さんとの出会い その1


凛子さんに初めて会ったのは2年前。私の高1の夏休みのことだ。


場所は神戸の海に浮かぶ人工島ポートアイランド。

この大きな島にある小さな集荷倉庫だった。


その夏。咲ちゃんの勧めで求人サイトに登録し、ものは試しと単発のバイトに入ってみたのだ。


よく女子高生の初めてのバイトが集荷倉庫だった事に驚かれるけど、何を隠そう極度の人見知りの私だ。

コンビニみたいな接客業はたぶん、死んでもできない。


求人にあった『高校生・人見知りOK』の一文でそこに決めた。


で、そのバイト先の先輩が凛子さんだった。


仕事着は全員私服。はじめて会った時の凛子さんは全身まっ黒。黒のTシャツに黒のデニム。


スラリと背が高くて、背筋を伸ばして立っているだけで本当にプロのモデルみたいだった。


その一方で、カラーリングとサバサバした口調が相まって、ちょっとだけ怖い印象だった。


けど、2度目に単発バイトで入った時。私の事を覚えてくれていて、凛子さんから話しかけて来てくれた。


第一印象と違ってすごくお喋りで、話しやすいお姉さんだった。


休憩室で一緒にお昼を食べることになり、趣味の話から私のギターの話になった。


「それじゃなに、ギターやってんの?」

「あ、はい。エレキですけど」

「いいじゃん。歴は?」

「えーと、中1からなんで…3年ちょっとですね」


私はお母さんが作ってくれたお弁当。凛子さんは近くのコンビニで買ってきたカップ麺とおにぎり2つ。


凛子さんはご飯を食べながら、自分は神戸の東灘区に住んでる大学生で、趣味でドラムをやっていると教えてくれた。


「かっこいいですよね。ドラムロールっていうんですか? こうドラムを縦横無尽にタツタツタツドゥダダダダダパーンって」

「おー擬音上手いね」

「へへ」

「春香ちゃんさ、ニール・パートってドラマー知ってる?」

「あー、わかんないです」

「じゃあ暇な時にでも聴いてみてよ。マジでカッコイイからさ」


凛子さんは笑顔でそう言うと、ズズッと豪快にカップ麺をすすった。


この人が「カッコイイ」と言うなら本当にかっこいいのかもしれない。


その時私はそう思い、帰りのモノレールの中ではじめてハードロックを聴いた。


それまで邦ROCKしか聴いて来なかった私には、あまりにも鮮烈な音楽体験だった。


『A Farewell to kings』


その日聴いた凛子さんの尊敬するドラマーのバンドのアルバム。そして今は私の大好きなロックアルバムだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ