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BLUE in the ガールズバンド  作者: あまだれ24
103/104

第103話 Session!! その7


「お願い!ギ…ギター貸してください!」


先輩らしく振舞おうとした矢先、相手がギャルであることにビビってしまう。


し、しまった…と思ってフリーズしていると向井さんがギターを渡してきた。


「春ちゃん先輩ならもちですよ〜」

「あっありがとう…ございます」


咲ちゃんばりの眩しい笑顔に当てられ、またしても本能的に敬語を使ってしまう。


根暗な私には絶対マネできない黄金に輝く太陽の如きスマイルだった。


ひょっとしたら女神の天照(アマテラス)もこういうキラキラした陽キャ女子が崇拝対象になって生まれたのかもしれない。


「お…お借り致します」


向井さんのレスポールを両手で慎重に受け取る。


ずっしりと重い。


レスポールはエレキギターの種類のひとつで、特徴は数字の8みたいな形のボディだ。


ヘッド部分のロゴを見るとメーカーはアメリカのエピフォン社。


私が使ってるフェンダー社のストラトキャスターより1キロほど余計に重い。けどその代わり、よりヘヴィで分厚い音が鳴るのだ。


「じゃあ…中尾くん」


向井さんに借りたレスポールをストラップで肩から斜めがけし、私はドラムの方を向いた。


「あっはい?!」


いきなり名前を呼ばれて驚いたらしく、中尾くんがやや裏返った声を出す。


やっぱり中尾くんには他人とは思えない親近感を覚えてしまう。その彼に私は頼んだ。


「一緒にセッションしよ。ドラムはさっきと同じブランキーの『ガソリンの揺れかた』でお願い」


「あの…俺と向井は?」とベースの稲沢くんが聞いてくる。私は首を振った。


「まず私のギターと中尾くんのドラムだけでプレイするから見てて」

「わかりました」


バンドとしての演奏を教える。


でも私は咲ちゃんみたいに言語化が上手くないから、言葉で教えるのは間違いなく不可能だ。


だから実戦形式で伝えるしかない。


「春ちゃんよ…これは後輩にカッコイイとこ見せてチケット売りさばくチャンスやで」


その咲ちゃんが突然背後から耳打ちしてきた。ドキッとして振り向くとしっかり目が合う。


すると真剣な表情で続けてきた。


「実はな…もしチケットが目標の150枚に到達したら好きなシチュでチェキ撮らせてくれるって葵様が約束してくれてん。もちろんツーショットやで!」


「あ…葵さんめ」


どうせ何かあるとは思ってたけどツーショットで釣ってたのか。またせこい真似して。


「絶対150枚達成してチェキ…華さんに勝とな!」


咲ちゃんはガッツポーズをすると振り返りタタタッと森園さんの横に戻った。


フーッとため息と深呼吸の混ざった息を吐き、私は改めて中尾くんを振り返る。


今はこっちに集中する時だ。ひとまず葵さんとチェキのことは忘れろ。


いつも持ち歩いてる予備のピックを財布から取り出しながら言った。


「ごめん。今度こそドラムお願い」


「はい」と中尾くんが頷く。そしてスティックを握る両手を大きく振りかぶった。


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