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BLUE in the ガールズバンド  作者: あまだれ24
101/104

第101話 Session!! その5


「準備OKです」と片手を挙げるベースの稲沢くん。


それを受けて森園さんが「じゃあ2人ともこっちに」と私と咲ちゃんをバンドの前に誘導した。


「みんなは後ろに」森園さんの指示で残る部員は全員私たちの背後にぞろぞろ移動する。


マイクスタンドがあるから昨日と同様ベースの稲沢くんがボーカルを兼任するらしい。


バンドの3人は30人程の観客の視線を浴びて、ちょっとだけ緊張してる雰囲気だ。


「春ちゃんその顔どしたん?」

「いや…なんでも」


私は初ライブの盛大な失敗を思い出し、キリキリと胃が痛くなった。コードに足を取られてころんだなんて咲ちゃんにも絶対言えない。


「じゃあ始めて」


森園さんの声にドラムの中尾くんが頷く。


そしてカンカンとドラムスティック同士を打ち鳴らしてカウントを開始した。


向井さんのギターがカントリー音楽風のメロディを鳴らす。1弦と2弦を同時に弾く印象的なフレーズ。


反射的に私は「あっ」と声を漏らした。


BLANKEY JET CITYの『ガソリンの揺れかた』だ。


カントリー風のフレーズが終わると同時にギター、ベース、ドラムの激しい演奏が始まる。


原曲はトリオによる荒々しいプレイをバックに、どこか気怠(けだる)いボーカルが乗るハードロックナンバー。


同じハードロックでもRUSHの冷徹でメカニカルな演奏とはまったく違う、感情のすべてをさらけ出すようなパワフルな音の渦。


はじめて聴いた時は「日本にもこんな凄いサウンドを出せるバンドがいたんだ」と、息が止まるほど感動したのを覚えてる。


森園さんが軽音部(私たち)の中で1番というだけあって、稲沢くん、中尾くん、向井さんの演奏は上手かった。


ひょっとしたら向井さんのカッティング奏法は去年の今頃の私よりずっと正確かもしれない。


3人は最後までミスする事なく4分ほどの演奏を終えた。


「すごーい!プロみたいやん!」


まっさきに声を上げたのは咲ちゃん。目を丸くしてパチパチと拍手する。


「あざっす」稲沢くんはちょっと照れくさそうに頭を下げた。


「マリリンめっちゃカッコよかったで!」

「咲ちゃんせんぱい愛してるぅ〜」


手を振る咲ちゃんにマリリンこと向井さんも嬉しそうに手を振り返す。


私も咲ちゃんに釣られて拍手しようとした時、横から森園さんに尋ねられた。


「春香さん…今の演奏どうだった?」

「あっそれは」


その時はじめて部員全員の視線が私に向いてること気付く。そうだ。今日はそのためにここに呼ばれたのだった。


「えーっと…そのぉ」


突き刺すような視線を全身に浴びながら私はゆっくり深呼吸し、正直に答えた。


「このままだと…オーディションは1次審査の合格も諦めたほうがいい思います」


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